安定した給料やステータスで人気がある「公務員」。
最近では、どこの都道府県でも社会人枠の採用を増やしていて、幅広い年齢層の人が公務員試験を受験できます。
しかし、社会人枠で受験しようとしている中には、
「今の仕事がきつい。だから少しでも楽で給料が良い公務員になれば人生安泰」
と思い込んでいる、いわゆる「隣の芝生は青く見える」状態になっている人が一定数いると思います。
そこで今回は元県庁職員の私が本音で、公務員のデメリット(嫌だった点、ギャップ)を挙げたいと思います。
公務員を目指している学生や社会人に、公務員という仕事の実態を知ってもらい、入庁してからのミスマッチを少しでも減らしてもらえたら幸いです。
※今回は県職員を例にして紹介しています。(国家公務員や市役所などではまた違ったデメリットがあると思います)
- 某県庁職員(地方上級職)を約9年。
- 某県小中学校事務職員を約1年。
公務員に就職・転職する前に絶対に知っておきたいデメリット(元県庁職員の本音)
それでは早速、以下についてのデメリットを紹介していきます。
- 給料・昇任・福利厚生など
- 残業
- 配属・異動
- 仕事内容
- その他(パワハラとか)
公務員の給料・昇任・福利厚生など
公務員の給料は決して高くない
給料は高望みしないでください。
大手民間企業と比べるとその差は歴然です。
【地方公務員の平均給料】
2019年4月1日現在、都道府県職員の平均給料月額は325,365円、平均給与月額は412,987円。(給与=給料+諸手当)
某県の月収は、経験年数10年で27万円、経験年数20年で約35万円、経験年数25年で約38万円、経験年数30年で約40万円となっています。(大卒で入庁した場合)
初任給が安い
特に初任給は安いです。
都道府県によりますが大卒で17~20万円の範囲です。
給料が高い東京都でも、初任給は約20万円です(Ⅰ類Aの場合)。
給料の最高上限額があらかじめ決まっている(しかも低い!)
どんなに仕事を頑張って出世して「部長」まで上り詰めても、給料表以上には給料は上がりません。
(知事は選挙で選ばれます。地方公務員ではなれません。)
某県の最高号給の給料月額(給料表の最高値)は538,800円、これがマックスです、、、。
出世しても仕事が多忙になるだけで給料は同期と全然差がつかない
県職員の中にも、いわゆる出世コースというものはありますが、公務員で出世しても別に給料がすごい上がるとかいう話ではありません。
響きの良い肩書がもらえるだけ。
県庁内でちょっとちやほやされるだけ。
ただの自己満足の世界。。。
人事評価制度はあるが、、、
一応、「人事評価制度」がありますが、あまり機能しているとは言えません。
評価がすごく良ければ、ボーナスがほんのすこ~しアップしますが、それは限られたほんの一握りの職員です。
そもそも配属先の業務内容によって、評価があげられるような仕事を担当していない人がいるので、全く公平ではありません。
職員宿舎は抽選
公務員には職員宿舎が用意されています。
しかし、月1万円未満で住めるキレイな職員宿舎(単身用)は、人気があり「抽選」となります。
逆に、汚く古い職員宿舎や世帯用職員宿舎は空いていることが多いです。
完全な年功序列
能力主義となってはいますが、公務員はほぼ完全な年功序列です。
100人超の同期の中で、優秀な何人かが先に昇任・昇給していくぐらいです。
他の職員はそろって定期昇給していきます。
そして、本当に仕事が全くできない人でも給料は確実に定期昇給していきます。
公務員の残業
残業が常態化
かなり忙しい部署では土日出勤・午前様が常習化しているところもあります。
毎日定時で帰っているのは管理職や暇な部署の職員ぐらいで、本庁・現地機関の係員と本庁の係長は毎日2~3時間ぐらいは基本毎日残業しているのが実態です。
基本サービス残業
サービス残業も常態化しています。
残業代は、基本的に本人が残業をする前に係長に申請し、係長が必要な仕事と判断すれば、残業代は認められます。
ですが、職場の雰囲気、課長・係長の考え方も大きく影響してきます。
そしてあとは申請する本人次第です。
残業代ももちろん税金であり、予算に限りがありますので、一定時間を超える残業代の申請は、面談が必要になったり対策案を講じる必要があったりなど、めんどくさいことが増えてきます。
【関連記事】
公務員は月に平均どのくらい残業代(時間外勤務手当)をもらってるの?
公務員の配属・異動
異動先の希望は聞いてもらえるが、そのとおりになる人は少ない
年に一回管理職と面談があり、異動の希望を聞いてはもらえます。
私の県では5箇所異動先を希望できました。
しかし、そう簡単には希望通りになりません。
何かしら理由がある人(病気関係、介護、子育てなど)が優先され、特段ただその仕事をしたいというだけでは希望どおりにいくことは少なかったです。
異動するたびに、専門知識をイチから覚える必要がある(公務員はなんでも屋)
せっかく仕事を覚えても必ず1~4年程度で異動となりますので、また一から新しい専門知識を覚えることになります。
昨日まで税務関係を担当していたのに、今日から観光PR関係の担当、そして次の異動先は人事、次は環境、次は防災とか当たり前にあります。
4月1日に異動して、その日から容赦なく県民や市町村や国からバンバン質問や照会が来ますから、異動した年の4月5月6月は中々ハードですよ。
よく言われますが、公務員はジェネラリストでいて、かつ担当する業務はスペシャリストでなければいけません。
公務員の仕事内容
文書主義
公務員はその仕事の特性上、意思決定の過程をしっかりと残す必要があり、「文書主義」となります。
そのため、何をするにも、どんな小さいことにも、まずは文書で起案して、上司、係長、課長などに決裁をもらわなければなりません。
これには非常に時間がかかります。
ソリの合わない人から決裁をもらう際にパワハラが発生しやすいし、、、決裁を中々してくれない面倒な上司もたくさんいます。
多忙な部署と暇な部署の差がヒドイ。(給料は一切変わらない)
担当する業務の質・量にどんなに差があっても給料は基本変わりません。
本庁と現地機関でも給料の差はありません、本庁のほうが仕事の質と量が何倍もあるのに。
定型的な事務処理をしている部署はごくわずか
公務員は定型的な事務処理が主な仕事だと思っている人が相変わらず多いですが、そんなことはありません。
特に本庁では、政策立案、企画立案、人事、経理、広報活動、予算折衝、議会・議員対応、国や市町村からの板挟み、難しい根回し、複雑な調整など、一筋縄ではいかない質の高い仕事・高いコミュニケーション能力が必要な仕事が大変多いです。
その他~パワハラ・アルハラ~
民間企業にもあるように、公務員にも当然パワハラは存在します。
私も受けたことがありますが、まあ書類を全く決裁してくれませんので、どんどん処理しなくてはいけない書類が山積みになっていきます。
ノルマの進捗具合が悪く、ゴミ箱蹴飛ばされたり。
説明会についてきてくれと言われ、行くと突然「あとはお前に任せた」と言われたり。
お酒大好き上司からはアルハラも受けました。
仕事が全く追いついていないので残業したいのに、「おい飲みに行くぞ」の一言、行かないと機嫌悪くなるし、飲み代は一切だしてくれないし。
あと、現地機関にはクセのある職員が多く、本庁には出世欲の強い管理職が多いので当然下に求めるハードルは上がります。
【関連記事】公務員のパワハラの定義・具体例・事例を紹介!(元県庁職員の経験談あり)
まとめ~それでも公務員になりたい志高き人へ~
ここまで公務員になるデメリットをいくつか挙げてきました。
しかし、メリットももちろんたくさんあります。
【関連記事】
元公務員による公務員メリット大全(公務員になって本当に良かったところ)
メリット・デメリットをよく把握してもらい、それでも
「高給取りでなくていい、仕事が大変でもいい。私は仕事のやりがいを重視したい、県民の役に立ちたい」
という人はぜひとも公務員を志望してください!
私は本気で応援します!