今回の記事では、元県職員(約9年)の私が、公務員の初任給などについて紹介します。
【大卒の初任給】
- 国家公務員、地方公務員(県、市)、民間で初任給の平均はそこまで大きく変らない。(約18万円~24万円程度)
- 地域手当がもらえるか、もらえないかで大きく変わる。
- 一部の大手民間企業は桁違いに初任給が多い。
【支払い日】
初任給は4月中旬(省庁自治体で日にちが異なる)に満額支給
国家公務員の初任給
国家公務員(令和7年度採用時)の初任給は以下のとおりとなっています。
- 総合職(大卒) 200,700円
- 一般職(大卒) 196,200円
引用:「国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)受験案内」「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」
さらに働く地域によっては「地域手当」が支給される場合があり、地域によって額は大きく変わってきます。
東京都特別区内で勤務した場合の初任給は以下のように地域手当がプラス支給されます。
- 総合職(大卒) 240,840円
- 一般職(大卒) 222,240円
民間賃金水準の高い地域に勤務する職員に支給されます。
などとなっていて、最高クラスは東京都特別区です。
なお、地方公務員も自治体独自に地域手当が支給されていて、総務省の令和4年地方公務員給与実態調査結果では全地方公共団体の約3割の団体において地域手当が支給されているとなっています。
地方公務員(一般行政職)の初任給
地方公務員の初任給の平均は以下のとおりです。
- 都道府県 大卒187,686円(1位岡山県194,300円、最下位秋田県181,928円)
- 市(政令指定都市) 大卒183,307円(1位浜松市192,134円、最下位大阪市169,600円)
- 市 大卒184,552円
- 町村 大卒182,414円
※「令和4年地方公務員給与の実態(総務省)」の第4表初任給の一般行政職から抜粋。
大きな差はありませんが、高い「地域手当」が支給されている都市部の地方公務員と田舎の地方公務員とを比べるとやはり初任給に差はでてきます。
そして、大卒と高卒でかなり差があるようにみえますが、4年間差があるだけのことで、高卒の職員の4年後の給料は大卒の初任給と同程度となります。
(公務員は毎年昇給していきます)
民間企業の初任給
「令和4年職種別民間給与実態調査の結果(人事院)」によると、新卒事務員(大卒)の平均初任給は、211,512円です。
(企業規模500人以上の場合)
国家公務員の初任給の推移(9年間)
国家公務員の初任給の推移は以下のとおりです。
【国家公務員(大卒一般職)】
※「国家公務員の初任給の変遷」(行政職俸給表(一)より抜粋、金額は学卒後直ちに採用した場合、諸手当(地域手当等)は含まれていない)
初任給の支払日はいつ?手取りでいくら?
初任給に関するよくある質問に回答します。
支給日はいつ?
- 国家公務員 4月16日~18日 (人事院規則で定められていて、省庁で異なります。)
- 地方公務員 4月16日や21日など (各自治体で異なります。)
4月の初任給は?
初任給が満額支給されます。
そこにプラスして諸手当(地域手当、住居手当、通勤手当など)が支給されます。
たたし、住居手当と通勤手当は書類が間に合わないので、5月に4月分を合わせて支給されると思います。
さらに引っ越し代などが旅費として支給されます。(多分5月中に支給、支給額は自治体によります)
手取りはどのくらい?
満額支給されますが、その支給された給料から社会保険料(厚生年金、健康保険など)や所得税などが天引きされますので、手取り額はある程度減ります。
【支給一例】
- 4月支給:初任給+地域手当ー社会保険料ー所得税
- 5月支給:給料+地域手当+通勤手当(4月と5月分合算)+住居手当(4月と5月分合算)+赴任旅費(引っ越し代等)ー社会保険料ー所得税ー財形貯蓄(該当者のみ)
4月の給料は大学出の新卒だと、約15~18万円程度に地域手当がつくというイメージを想定していれば良いと思います。
(地域手当は地域差あり、一番高い東京都特別区だとざっくりいうと月給の20%が支給されます)
大学卒業直後はあまり貯金がなくところに、引っ越し代、家具代、仕事関係の道具代、飲み会代など支出がかさなり、非常にカツカツの生活になると思います。
できれば大学生のうちにある程度は貯金しておくことをおすすめします。
(参考)公務員の給与の決まり方
国家公務員の給与は国の機関である人事院の「こうしたほうがいい」(人事院勧告)という内容をもとに決まります。
簡単なイメージとしては、それなりに大きな民間に勤める会社員の平均給料になるべく近づくように毎年給料が調整されています。(民間準拠)
(引用:人事院HP)
まとめ
以上、公務員の初任給についてご紹介しました。
大卒の初任給平均をみると
- 国家公務員(一般職) 196,200円
- 国家公務員(一般職) 222,240円(東京都特別区の地域手当含む場合)
- 地方公務員(都道府県) 187,686円
- 地方公務員(政令指定都市) 183,307円
- 民間 211,512円
となっていて、これだけみると民間が約1~2万円高いですが、地域手当を加味すれば、公務員のほうが高い場合もあり、
- 平均初任給については公務員も民間もほとんど差はない
- 地域手当の金額次第(働く地域次第)
と言っていいと思います。
少し違った見方からすると、東大出身の国家公務員総合職(キャリア組)の初任給は、地域手当も含めて240,840円となっています。
一般の人からしてみれば高いあるいは普通くらいだと思いますが、東大出身者にしてみたら「なんて安いんだ」と思っている人も多いのではないでしょうか。
東大出身者の多くは大手の優良企業に就職したり、ベンチャー企業を起業する人が多く、そういった会社の初任給と公務員の初任給と比べると雲泥の差があると推察されます。
特に一部の企業では桁違いに初任給が多いです。
そう思うのも、キャリア組は入省後、地獄の激務が待っていて、午前様は当たり前の世界で身を粉にして働かなければならないので、あまりに給料が安すぎると優秀な人材は逃げていってしまうと個人的には思っています。
自分が受験する自治体の初任給を知りたい方は、各自治体の採用試験関連のページにある「受験案内」に掲載されていますので、事前に確認してみてください。
今年はコロナ禍で相当経済状況が悪くなり、民間企業では給料やボーナスの減額やカットがなされています。
そのため、民間準拠で給料を決めている公務員にも当然影響があると想定されます。
今後、公務員試験を受験される方は、公務員の給料に関連する情報を注視していたほうが良さそうです。
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