今回は公務員試験の「受験者数と競争倍率の推移」についてさくっと紹介します。
- 国家公務員試験の申込者数は9年間で約31%減少(一般職・大卒程度)
- 地方公務員試験の受験者数は7年間で約35%減少(地方上級・都道府県)
- 国家公務員試験の競争倍率は9年間で13.7倍→3.6倍に激減(一般職・大卒程度)
- 地方公務員試験の競争倍率は7年間で6.3倍→4.6倍に減少(地方上級・都道府県)
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公務員試験の受験者や競争倍率はどのくらい減少しているの?
公務員試験の受験者は一体どの程度減少しているのか、国家公務員と地方公務員のデータをそれぞれご紹介します。
国家公務員試験の申込者数・合格者数・採用者数・競争倍率
まずは国家公務員の申込者数・合格者数・競争倍率です。
総合職試験
年度 | 申込者数 | 最終合格者数 | 採用者数 | 競争倍率 |
---|---|---|---|---|
2012 | 25110 | 1457 | 389 | 17倍 |
2013 | 24360 | 1881 | 603 | 13倍 |
2014 | 23047 | 2080 | 655 | 11倍 |
2015 | 24297 | 1887 | 643 | 13倍 |
2016 | 24507 | 2178 | 658 | 11倍 |
2017 | 23425 | 2025 | 657 | 12倍 |
2018 | 22559 | 1953 | 686 | 12倍 |
2019 | 20208 | 1957 | 712 | 10倍 |
2020 | 19926 | 1897 | 723 | 11倍 |
2021 | 17411 | 2056 | 719 | 9倍 |
2022 | 18295 | 2137 | 777 | 9倍 |
2023 | 18386 | 2450 |
(※競争倍率=申込者数÷合格者数)
総合職試験(いわゆるキャリア組の試験)は、11年間で申込者数は約30%減少、競争倍率は17.2倍から8.5倍に減少しました。
採用者数は微増傾向となっています。
一般職試験(大卒程度試験)
年度 | 申込者数 | 最終合格者数 | 採用者数 | 競争倍率 |
---|---|---|---|---|
2012 | 39644 | 2893 | 1364 | 14倍 |
2013 | 35840 | 6017 | 2728 | 6倍 |
2014 | 35508 | 6183 | 2620 | 6倍 |
2015 | 35640 | 7347 | 2863 | 5倍 |
2016 | 35998 | 7583 | 2931 | 5倍 |
2017 | 35142 | 7205 | 2997 | 5倍 |
2018 | 33582 | 7782 | 3211 | 4倍 |
2019 | 29893 | 7605 | 3324 | 4倍 |
2020 | 28521 | 6031 | 3433 | 5倍 |
2021 | 27317 | 7553 | 3446 | 4倍 |
2022 | 28103 | 8156 | 3512 | 3倍 |
2023 | 26319 | 8269 |
(※競争倍率=申込者数÷合格者数)
一般職(大卒程度)の試験では、11年間で申込者数は約30%減少、競争倍率は13.7倍から3.4倍に減少しました。
採用者数は微増傾向となっています。
一般職試験(高卒程度試験)
年度 | 申込者数 | 最終合格者数 | 採用者数 | 最終競争倍率 |
---|---|---|---|---|
2012 | 8051 | 812 | 305 | 10倍 |
2013 | 9752 | 1715 | 803 | 6倍 |
2014 | 12482 | 1902 | 867 | 7倍 |
2015 | 12483 | 2514 | 966 | 5倍 |
2016 | 13393 | 2392 | 1083 | 6倍 |
2017 | 13958 | 2690 | 1127 | 5倍 |
2018 | 14455 | 3289 | 1230 | 4倍 |
2019 | 15338 | 3037 | 1407 | 5倍 |
2020 | 13824 | 3075 | 1314 | 5倍 |
2021 | 12970 | 3118 | 1399 | 4倍 |
2022 | 11191 | 3333 | 1525 | 3倍 |
2023 | 9889 | 3407 |
(※競争倍率=申込者数÷合格者数)
一般職(高卒程度)の試験では、11年間で申込者数は約40%増加、競争倍率は9.9倍から3.4倍に減少しました。
合格者数は微増傾向です。
国家公務員は合格しても採用されるとは限りません。合格者は希望官庁訪問(面接)に行き、その面接結果で官庁側から内々定が出た段階でようやく採用決定となります。そのため最終競争倍率は今回示した数値よりさらに上がります。
地方公務員試験(大卒程度)の受験者数・合格者数・競争倍率
続いて、地方公務員(大卒程度)の受験者数などをご紹介します。
データ元:総務省「令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」
都道府県職員採用試験
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 競争倍率 |
---|---|---|---|
2014 | 129078 | 20613 | 6.3 |
2015 | 123709 | 21465 | 5.8 |
2016 | 118257 | 21164 | 5.6 |
2017 | 111795 | 19828 | 5.6 |
2018 | 102606 | 19628 | 5.2 |
2019 | 89220 | 19013 | 4.7 |
2020 | 78438 | 18822 | 4.2 |
2021 | 83701 | 18271 | 4.6 |
2022 | 81091 | 19422 | 4.1 |
都道府県職員採用試験では、9年間で受験者数は約37%減少、競争倍率は6.3倍から4.1倍に減少しました。
市区役所
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 競争倍率 |
---|---|---|---|
2014 | 193903 | 22983 | 8.4 |
2015 | 184360 | 23583 | 7.8 |
2016 | 178865 | 22776 | 7.9 |
2017 | 170799 | 23034 | 7.4 |
2018 | 161278 | 23830 | 6.8 |
2019 | 150906 | 22968 | 6.6 |
2020 | 171563 | 23553 | 7.3 |
2021 | 176251 | 25586 | 6.9 |
2022 | 167638 | 27175 | 6.2 |
市区役所職員採用試験では、9年間で受験者数は約14%減少、競争倍率は8.4倍から6.2倍に減少しました。
公務員になるには競争倍率が落ちている今がチャンス
ご紹介したとおり、公務員試験の申込者数・受験者数は国家公務員(高卒程度試験は除く)、地方公務員ともに激減しています。
自治体、職種によっては、定員割れを起こしているところさえあります。
「採用試験の科目が多く、受験準備で負担が大きい」
「民間企業よりも採用試験の時期が遅い」
「民間企業の就職内定率が増加傾向」
「少子化で受験者の母数が減少」
「民間よりも給与・待遇面で見劣りする」
「コロナ禍だから」
と理由は色々言われていますが、国家公務員の高卒程度試験では申込者数が約40%増えているので、決定打となる理由にはなりません。
人事院の学生向け意識調査では、国家公務員を志望しなかった理由として「採用試験の勉強や準備が大変」を挙げた人が多数と結果がでています。
それを受けて、人事院では受験しやすい採用試験の在り方を検討し、具体的な施策を実施しています。
- 総合職春試験の実施時期の前倒し
- 一般職試験における新区分の創設
- 受験しやすい基礎能力試験の検討
- 受験可能年齢の引下げ
など
【参考資料↓】
人事院:令和3年度人事院年次報告書 人材確保に向けた国家公務員採用試験の課題と今後の施策
ひとつ言えることは、競争倍率が下がっているので公務員志望者にとって今が大チャンス!ということ。
しかも、現在は社会人枠や障害者枠、就職氷河期世代枠など、様々な試験タイプが導入され、少し昔に比べ公務員になる入口は格段に広がっています。
しかし、これだけ受験者数が減ってしまうと、人材の質の確保が問題になってきます。
教員試験においても同様の問題が指摘されています。
今後、国や自治体は受験者数確保のために様々な施策を実行し、受験者数の確保・拡大に取組むので、公務員になりたい人は今がチャンスです!
他にも公務員試験などについてさまざまな記事を書いていますので、良かったらご覧ください。