今回の記事では国家公務員・地方公務員・民間企業の退職金比較(定年退職・自己都合別)について、シンプルにご紹介します。
(退職金の正式名称は「退職手当」。本記事では分かりやすくするため「退職金」と表記。)
本記事を書いている伯爵さんは県庁職員(約9年)及び学校事務職員(約1年)の経歴があります。
【平均退職金】
- 国家公務員(行政職・定年退職) 21,114,000円
- 地方公務員(行政職・定年退職) 22,071,000円
- 民間企業(企業規模1000人以上・定年退職) 27,276,000円
- 国家公務員(行政職・自己都合25~29歳) 557,000円
- 地方公務員(行政職・自己都合25~29歳) 462,000円
【定年退職の場合】公務員はどのくらい退職金をもらっているの?
まずは定年退職の場合の退職金を紹介していきます。
【定年退職】国家公務員の平均退職金
60歳で定年退職した国家公務員(行政職俸給(一))の場合
「21,114,000円」
【定年退職】地方公務員の平均退職金
25年以上勤続後、60歳で定年退職した地方公務員の場合
【一般行政職員】
「22,071,000円」
【教育公務員(教員など)】
「22,656,000円」
【警察官】
「22,268,000円」
(引用元:総務省「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」)
(※数値:支給総額を支給人員で割った数値)
【定年退職】民間企業の平均退職金
勤続年数37年で定年退職した会社員の場合
【社員1,000人以上の会社の平均退職金】
「27,276,000円」
【社員500人以上1,000人未満の会社の平均退職金】
「19,131,000円」
【社員100人以上500人未満の会社の平均退職金】
「17,756,000円」
【社員50人以上100人未満の会社の平均退職金】
「15,951,000円」
やはり公務員は大企業には勝てませんでした。
それにしても、会社規模で退職金がこれほど変わるのも驚きです。
【自己都合の場合】公務員はどのくらい退職金をもらっているの?
【自己都合】国家公務員(行政職)の平均退職金
年齢 | 退職金 |
---|---|
20歳未満 | 99,000円 |
20歳~24歳 | 266,000円 |
25歳~29歳 | 557,000円 |
30歳~34歳 | 1,417,000円 |
35歳~39歳 | 2,838,000円 |
40歳~44歳 | 5,124,000円 |
45歳~49歳 | 9,362,000円 |
50歳~54歳 | 12,881,000円 |
55歳~59歳 | 15,331,000円 |
【自己都合】地方公務員(行政職)の平均退職金
年齢 | 退職金 |
---|---|
20歳未満 | 88,000円 |
20歳~24歳 | 222,000円 |
25歳~29歳 | 462,000円 |
30歳~34歳 | 1,003,000円 |
35歳~39歳 | 2,049,000円 |
40歳~44歳 | 4,122,000円 |
45歳~49歳 | 7,748,000円 |
50歳~51歳 | 10,100,000円 |
52歳~53歳 | 10,485,000円 |
54歳 | 11,975,000円 |
55歳 | 13,210,000円 |
56歳 | 12,968,000円 |
57歳 | 13,181,000円 |
58歳 | 14,940,000円 |
59歳 | 15,211,000円 |
引用元:総務省「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」
【自己都合】民間企業の平均退職金
大学・大学院卒で1,000人以上の企業規模の場合
勤続年数 | 退職金 |
---|---|
20~24年 | 9,010,000円 |
25~29年 | 17,320,000円 |
30~34年 | 23,930,000円 |
35年以上 | 22,700,000円 |
やはり自己都合の場合の退職金は、定年退職と比べるとガクッと減ります。
公務員の場合、20代で退職すると退職金は平均50万円未満というわずか額に。
ちなみに公務員は雇用保険に加入できないので、いわゆる失業手当はもらえませんのでご注意を。
【参考記事↓】
公務員は雇用保険(失業保険)未加入なので失業給付はもらえません!(退職時注意!)
メンタルを病み、仕方なく自己都合で退職することになってしまった公務員には、条件しだいで「傷病手当」(給料の2/3程度)が長期間支給される場合がありますので退職前に要チャックです!気になる方は下記の記事を参考にしてみてください。
【参考記事↓】
傷病手当金は退職後でも受給可能!公務員の受給方法をしっかり解説!
退職金の計算方法
国家公務員の退職金については、民間企業と差が出ないよう調整する「官民均衡」を基本としています。
国家公務員の退職手当の支給水準については、退職給付(退職手当及び年金払い退職給付(使用者拠出分))の官民均衡を図るため、おおむね5年ごとに行う民間企業の企業年金及び退職金の実態調査を踏まえて見直しを実施することとしています。
計算式は
となっていますが、細かいことは省きます。
退職金を計算したい公務員の方は、
CASIOさんが運営している「Ke!san生活や実務に役立つ計算サイト」
で簡単に計算できますので、ぜひご利用ください。
(他にも年金や税金の計算が簡単にできしまう非常に秀逸なサイトです!)
まとめ ~退職後も働きつづけないと、ゆとりある生活は厳しい~
人事院が行った「令和5年度退職公務員生活状況調査」の結果、世帯の収支状況は、
- 公務員退職後も働いている人(就労者) → 平均収入39.8万円/月、平均支出35.7万円/月
- 公務員退職後は働いていない人(非就労者) → 平均収入19.2万円/月、平均支出29.0万円/月
という結果となりました。
つまり、退職後も働かないと月に約10万円赤字になるということです。
皆さん、足りない分は「預貯金」や「退職金」を取り崩していると回答されています。
100年時代と言われる現代、退職後それなりの生活をしていくためには、できる限り現役世代から「預貯金」や「資産運用」をすることが重要となります。
退職金頼みで現役時代豪遊し預貯金が全くない人は、きっときっと後悔することになるでしょう。
なお、退職金の使用予定割合(公務員退職後働いていない世帯)は、
- 将来やいざというときの備え 約41%
- 日常生活費への充当 約24%
- 住宅・土地の取得、住宅の増改築 約13%
という答えが大多数で、
海外旅行・国内旅行の費用に当てられる費用は全体の約2%
に過ぎませんでした。
何十年間も必死に公務員として働いても、老後に海外旅行にちょくちょく行くなど優雅に楽しく暮らせる世帯はあまりいない、、、。
副業が基本できない公務員が老後ゆとりのある暮らしをするためには、支出をおさえた「貯金」と「資産運用」ぐらいしか手立てはないように個人的に思います。
あまり退職金に期待を持ちすぎないことが大切ですね。