公務員試験の面接対策は、筆記試験以上に重要です。
特に社会人受験生は、仕事や家庭の都合で勉強時間が限られ、模擬面接の機会も少なくなりがちです。
しかし、面接は合否を大きく左右する重要な要素であり、ここでしっかりと準備をしておくことが合格への近道です。
公務員の面接は、単に質問に答えるだけではなく、自分の考えや価値観を明確に伝える力が求められます。
志望動機や自己PRはもちろん、突発的な質問への対応力や表情・態度も評価の対象です。
本記事では、独学の社会人でも取り組める面接対策の方法や模擬面接ができる施設・サービスについて、元県職員が詳しく解説します。

なぜ模擬面接が重要なのか?
模擬面接は、単なる「練習」以上の効果を持っています。
本番の面接で高評価を得るためには、事前に実戦形式の練習を重ねることが極めて重要です。
以下に模擬面接が重要である理由を詳しく解説します。
1. 緊張感への慣れ
実際の面接は緊張感が高く、頭が真っ白になることもあります。
模擬面接を繰り返すことで、緊張感に慣れ、プレッシャー下でも冷静に対応できる力が身につきます。
- メリット:本番で動揺せず、自然な振る舞いができるようになる
- 実例:初回の模擬面接では汗だくで言葉に詰まったが、回数を重ねることで自信がつき、堂々と答えられるようになった
2. 自己PRや志望動機のブラッシュアップ
面接で必ず問われる「志望動機」や「自己PR」は、何度も口に出して練習することで精度が増します。
模擬面接で他者からのフィードバックを受けることで、回答の質が飛躍的に向上します。
- メリット:言葉の選び方や伝え方が洗練される
- 実例:模擬面接で「曖昧な表現が多い」と指摘され、具体的なエピソードを交えた回答に改善
3. 非言語コミュニケーションの改善
面接は言葉だけでなく、態度や表情、視線、身だしなみも評価されます。
模擬面接を通じて、こうした非言語の要素も意識して磨くことができます。
- メリット:自信に満ちた印象を与えられる
- 実例:姿勢や目線に注意するようになり、面接官から「堂々としている」と評価された
4. 突発的な質問への対応力
面接では予想外の質問が飛んでくることも珍しくありません。
模擬面接を通じて、そうした質問に対する反射的な対応力を鍛えることができます。
- メリット:考え込まずにスムーズに回答できる
- 実例:「あなたの弱みは何ですか?」と聞かれ、即答できなかった経験から、事前に準備する重要性を痛感
5. 自信の強化
模擬面接を繰り返すことで、自信が自然と身についてきます。
これは本番でのパフォーマンスに大きく影響します。
- メリット:面接本番で堂々と振る舞える
- 実例:最初は声が小さく自信なさげだったが、練習を重ねることで明るくハキハキと話せるようになった
民間面接と公務員面接の違い
公務員面接と民間企業の面接には、多くの共通点がある一方で、いくつかの重要な違いがあります。
その違いを理解しておくことは、公務員試験対策において非常に重要です。
1. 目的の違い
- 民間企業:即戦力としての適性やポテンシャルを重視し、即戦力となるかどうかが重要視されます。
- 公務員:長期的な視点での適性が重視され、公共の利益を守るために誠実さや協調性、使命感が求められます。
2. 質問内容の違い
- 民間:「なぜこの会社か?」が重要
- 公務員:「なぜ公務員か?」「なぜこの自治体か?」が問われやすい
3. 評価基準の違い
- 民間:成果主義、実績重視
- 公務員:安定性、誠実さ、協調性、公共への貢献
4. 面接官の視点
- 民間:短期間での利益貢献が期待される
- 公務員:長期的な視野での社会貢献が重視される
公務員試験の面接スキル向上には場数が最重要(経験談紹介)
面接スキルを向上させるために最も大切なことは「場数」を増やすことです。
これは筆記試験の過去問演習と同様に、繰り返し実践することで自然に身についていくものです。
数回の模擬面接や併願先での本番面接を経験するだけで、格段にスキルが向上します。
私が考える理想の模擬面接回数としては、
- 模擬面接:3回以上
- 本番面接:1回以上
です。
私の実体験からも、この回数は非常に効果的でした。以下に、私自身が経験した段階的な改善プロセスを示します。
模擬面接1回目(大学のキャリアセンター職員)
- 状況:完全に準備不足で、質問に対する回答や表情、仕草が散々な状態
- 結果:面接官役の人から厳しいフィードバックを受け、自信喪失
- 改善点:まずは基本的な質問への対応力を強化する必要があると痛感
模擬面接2回目(教授)
- 状況:1回目の指摘を意識するあまり、新しい質問にあたふた
- 結果:まだまだ不十分だと感じる
- 改善点:過去の失敗を踏まえ、セルフディベートを繰り返して対応力を強化
模擬面接3回目(大学のキャリアセンター職員)
- 状況:徐々に落ち着いて対応できるように
- 結果:1〜2回目に比べ、格段に改善
- 改善点:表情や話し方、声のトーンにも気を配る余裕が出てきた
併願先の本番面接(併願の国家公務員面接試験&官庁訪問)
- 状況:実際の官庁訪問や試験に臨む
- 結果:模擬面接の成果が発揮され、実際の面接に対する自信が大幅に向上
社会人が直面する面接対策の課題
しかし、仕事が多忙な社会人にとって、何回もの模擬面接を受ける時間的余裕は限られています。
また、学生と比べて模擬面接を提供する機会が少なく、社会人向けのサポートが充実していないことも課題です。
公務員面接試験の模擬面接を受けられる施設・サービス
それでは、公務員面接試験の模擬面接を受けられる施設・サービスを紹介します。
私が調べたなかでは、以下の施設・サービスがおすすめです。
- 公務員予備校(自宅で可能)
- ジョブカフェ(無料)
- ハローワーク(無料)
- ココナラ(自宅で可能)
- 大学キャリアセンター
- 教授
- 公務員のOB・OG
- その他
公務員予備校(自宅で可能)
独学の社会人でも、オンラインで模擬面接を受けられる公務員予備校があります。
ここでは、以下の2社を紹介します。
- 「アガルート」
- 「大原」
アガルート
資格予備校のアガルートが面接対策のみの単科講座を開講しています。
【内容】
面接対策講義:約6.5時間(テキスト1冊)
再現オプション動画:2.5時間
模擬面接:1回(オンラインでの実施)
【価格】
面接対策講座:32,780円(税込み)
面接対策講座(面接再現動画オプションあり):49,280円(税込)
【面接再現動画とは?】
どんなに講義やテキストで説明されてもイメージが湧かないのが面接マナーや話し方です。また、どんな人がメンバーになるかわからない集団討論での対応方法も、不安材料のひとつです。そこで、個人面接や集団討論で想定されるシチュエーションの再現動画をご用意しました。小林講師が再現動画に講評をしていきますので、それぞれの場面での具体的な立ち振る舞いを視覚的に理解することができます。
(引用:アガルートHP)
また、アガルートでは集団討論(グループワーク)対策の単科講座もあり、模擬の集団討論を体験することができます。
集団討論が心配な人は助かりますね。
気になる方はこちらから詳細ページへ↓
大原
資格取得で有名な「大原」でもSkypeを利用したオンライン面接対策を行っています。
ありがたいことに、面接対策の受講のみでもOKとなっています。
【内容】
面接対策のプロ講師陣がマンツーマン指導します。
オンラインなので、校舎へ通えなくても大丈夫です。
また、面接カードの添削も行っています。(事前送付が必要)
【価格】
価格は1回25分3,000円と格安となっています。
気になる方はこちらから詳細ページへ↓
ジョブカフェ(無料)
ジョブカフェとは、
若者が自分に合った仕事を見つけるためのいろいろなサービスを1か所で、もちろんすべて無料で受けられる場所です。
就職セミナーや職場体験、カウンセリングや職業相談、職業紹介などさまざまなサービスを行っています。
「ジョブカフェ」という言葉は聞いたことがあるけど、無料で面接対策まで行ってくれることは知らなかった人も多いのではないでしょうか。
ジョブカフェは各都道府県にありますので、まずはご自身の住まわれている地域のジョブカフェについて、下記より調べてみてください。
ハローワークに併設されている場合もあります。
模擬面接を受ける際は、事前予約が必要なので利用したい方は面接日から逆算して早めに予約するようにしましょう。
施設によっては、「面接セミナー」を開催しているところもあります。
ハローワーク(無料)
求職者にはお馴染みのハローワークですが、求人の紹介以外にも
- 「面接対策」
- 「履歴書の書き方サポート」
- 「自己分析による自己PRの作成」
などを行っているハローワークもあります。
ココナラ(自宅で可能)
有料にはなりますが、スキルマーケットの「ココナラ」の利用もおすすめです。
大手資格就職予備校で実際に面接指導している担当者や元公務員など、様々な方がココナラ上でサービスを展開しています。
プロの指導を自宅にいながらオンライン上で受けることが可能となっていて、時間がない社会人にとってはかなり重宝するサービスになると考えられます。
まずはココナラで好きなサービスを検索して、内容を確認してみましょう!
その他
- マイナビ模擬面接シミュレーター
- セルフ面接(自分で受け答えしている姿を撮影して、声の大きさ・表情・仕草などをチェック)
- 大学キャリアセンター(卒業生も利用できる場合あり)
など、模擬面接を行うためには様々な方法が他にもあります。
公務員面接試験に臨む心構え
模擬面接で実力を高めることも重要ですが、面接本番での心構えも欠かせません。
以下は、面接に臨む際に意識すべきポイントです。
1. ポジティブなマインドセット
面接は自分をアピールする場です。
失敗を恐れるのではなく、自分の強みを伝えることに集中しましょう。
- 具体例:過去に困難を乗り越えた経験や、成功体験を振り返り、自信を持って臨む
2. 第一印象を大切に
人の印象は最初の数秒で決まると言われます。
身だしなみ、笑顔、しっかりとした挨拶が基本です。
- 具体例:「おはようございます」「よろしくお願いいたします」とハキハキと挨拶する
3. 自然体で臨む
無理に良く見せようとするよりも、自分らしさを大切にすることが重要です。
誠実な態度は面接官にも伝わります。
- 具体例:過度に取り繕うのではなく、素直な気持ちで質問に答える
4. 面接官も人間であることを意識する
面接官も感情や人間味を持っています。
相手に敬意を払いながらもリラックスして臨むことが大切です。
- 具体例:「よろしくお願いします」といった丁寧な言葉遣いとアイコンタクトを意識する
5. フィードバックをポジティブに受け止める
たとえ厳しい質問や指摘があっても、それを成長のチャンスと捉えることが重要です。
- 具体例:「なるほど、その視点も大切ですね」と前向きに受け止める
まとめ
模擬面接は必須ではありませんが、合格率を大幅に向上させるためには非常に有効な手段です。
忙しい社会人受験生こそ、オンラインや無料サービスを積極的に活用し、効率的に準備を進めましょう。
模擬面接を通じて、自己PRや志望動機を磨くだけでなく、突発的な質問やプレッシャーへの対応力も鍛えられます。
最初はうまくいかなくても、回数を重ねることで確実に自信がつきます。
ぜひ本記事で紹介したサービスや方法を活用し、面接対策を万全にして本番に臨んでください。
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