今回は公務員の残業代(正式名称:時間外勤務手当・超過勤務手当)の平均額や上限などについて、ご紹介します。
おもに、
- 残業代を申請しようか迷っている新人公務員
- 残業代の平均を知りたい公務員
- 公務員はサービス残業が多いのか知りたい受験生
に役立つ内容となっています。
- 国家公務員の残業代は年217時間(本府省は383時間、本府省以外は179時間)
- 都道府県職員(一般行政職)の月平均残業代「37,707円」
- 市町村職員(一般行政職)の月平均残業代「32,873円」
- 公務員は残業代に上限がある
- 残業代の申請は職場、管理職、職員の考えによるところが大きい
【執筆者↓】
公務員の残業代の計算方法
残業代は正規の勤務時間を超えて勤務した職員に支給されます。
計算方法は以下のとおりです。
【計算方法】(国家公務員の場合)
支給額=勤務1時間あたりの給与額(※1)×支給割合(※2)×勤務時間数
※1:(月額給料+地域手当等)×12÷1週間当たりの勤務時間×52
※2:支給割合
- 正規の勤務時間が割り振られた日の勤務の残業(平日)→ 125/100
- それ以外の日の残業 → 135/100
- 午後10時以降から翌日の午前5時まで(深夜) → 25/100が支給割合にプラス
- 月60時間以降の残業 → 150/100 (深夜は175/100)
地方公務員もおおよそ国家公務員に準じた残業代となっていますが、自治体によって多少違います。
残業代の支給日はいつ?
残業代は通常の給料日に支給されます。
公務員はいくら残業代をもらっているのか
つづいて、公務員がいくら残業代をもらっているのかについて紹介します。
国家公務員の残業代
国家公務員の平均年間残業時間は
「220時間」
(本府省は397時間、本府省以外179時間)
となっていました。
単純に12ヶ月で割ると、1ヶ月当たり18時間残業していることになります。
地方公務員の残業代ランキング
地方公務員の月平均残業代は以下のようになっています。
参考資料:総務省「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果第2統計表Ⅰおよび別冊第3都道府県別、市区町村別給与等の一覧表」
都道府県職員(一般行政職)
月平均残業代「37,286円」(前年度37,707円)
順位 | 自治体名 | 残業代(月額) |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 30,800円 |
2位 | 宮城県 | 30,000円 |
3位 | 徳島県 | 29,800円 |
最下位 | 長野県 | 6,100円 |
政令指定都市職員(一般行政職)
月平均残業代「41,653円」(前年度44,323円)
順位 | 自治体名 | 残業代(月額) |
---|---|---|
1位 | 仙台市 | 31,800円 |
2位 | さいたま市 | 30,400円 |
3位 | 熊本市 | 29,200円 |
最下位 | 浜松市 | 12,300円 |
特別区職員(一般行政職)
月平均残業代「35,408円」(前年度35,076円)
順位 | 自治体名 | 残業代(月額) |
---|---|---|
1位 | 足立区 | 46,100円 |
2位 | 台東区 | 45,400円 |
3位 | 中央区 | 39,700円 |
最下位 | 墨田区 | 14,600円 |
市職員(一般行政職)
月平均残業代「32,421円」(前年度32,873円)
順位 | 自治体名 | 残業代(月額) |
---|---|---|
1位 | 福島県相馬市 | 91,300円 |
最下位 | 複数 | 支給なし |
全く残業代を申請しない職員もいるので、職員同士でもかなりの差があります。
また、残業代にはそのときの管理職の意向も強く影響してきます。
(参考)民間企業の平均月額残業代
従業員500人以上、大学卒の場合
- 事務職係長(平均年齢45.5歳)65,934円
- 事務職主任(42.5歳)60,284円
- 事務職係員(37.5歳)47,579円
(参考資料:人事院HP 令和5年人事院勧告 参考資料 民間給与関係)
民間企業は職種や年齢階層で大きく異なります。
公務員の残業代の上限(法的規制)
国家公務員の残業代については人事院により「上限」が決められています。
(平成31年4月、人事院規則に上限を設定)
【上限】
- 原則 月45時間かつ年間360時間
- 他律的な業務の比重の高い部署 月100時間未満かつ年間720時間
- 特例業務 上限なし
※他律的な部署とは、国会答弁や予算折衝など部署外とのやりとりが多く、それに勤務時間が左右・拘束されてしまう本省の部署だと思われます。
【特例業務】
- 大規模災害への対処
- 重要な政策に関する法律の立案
- 他国または国際機関との重要な交渉
など
参考文献:e-Gov法令検索 人事院規則一五ー一四 第十六条の二の二
地方公務員でも時間外手当の上限は定められています。
私の県庁では上限を超えた場合は、
- 管理職との面談
- 改善策の検討(業務の方法、分担、人員配置見直し)
をすることが義務づけられていました。
残業代についての現場のリアルな声(経験談)
公務員の残業代(時間外勤務手当・超過勤務手当)は、事前に管理職から超過勤務命令を受けた業務をした勤務時間のみが対象です。
なので、管理職が認めなければ残業代は支給されません。
(良くないですが後日事後申請する場合もあります)
管理職が細かったり口うるさかったりパワハラ系だったりすると、残業代は申請しづらいし、申請をせずサービス残業をする人もでてきます。
また、職員の中には「残業代は税金なので申請しづらい」という方もいます。
現場のリアルな声として言えるのは、
- 職場の考え方
- 管理職の考え方・人柄
- 個人の考え方
- 業務量・業務内容
しだいで残業代が決まっているということです。
また通常業務の残務整理的なことはサービス残業(定時から1~2時間)でやっている職員が圧倒的に多いです。
ただし、臨時的な対応の際には、上司から必ず残業代を申請するように言われることもあります。
(災害対応、会計検査対応、選挙対応など)