公務員試験(県職員)のなかで「小中学校事務職」という試験区分があります。
小中学校事務職で採用された県職員は、県内の公立小中学校で総務や経理など学校事務だけの仕事に携わります。
地方公務員行政職受験者の併願先として知られていますが、そもそも「学校事務」という職種を知らない人も多くいます。
学校事務は公務員の中でも大変人気があり、高校生・大学生に限らず社会人も多く受験しています。
その人気の理由はズバリ、公務員の中でも特にホワイトな職業だからです。
この記事では、元小中学校事務職員の私が、学校事務の「試験の特徴」&「勉強法」について、簡単にご紹介します。
おもに、
- ホワイトな仕事・転職先を探している人
- 公務員になれればどんな仕事でもいいと思っている人
- 小中学校事務職に興味がある人
- 公務員試験の併願先で迷っている受験生
- 学校関係の仕事に就きたい人
に役立つ内容となっています。
- 競争倍率が高い(けど、実質倍率はそこまで高くない)
- 教養試験のボーダーラインは7割(私が受験した県)
- 高卒程度の試験だけど、大学生や社会人が結構混じって受験している
- 勉強法は他の公務員試験と同様でOK(独学でも十分合格できる)
- 参考書のレベルに注意(高卒程度の試験レベルなのに大卒程度の参考書を買わないように)
- 勉強期間は6ヶ月は確保したい(公務員試験初学者)

小中学校事務職とは?|県職員として学校に勤務
小中学校事務職とは、都道府県が実施する公務員試験のうち「学校事務職員」として採用され、県内の公立小中学校で総務・経理業務を行う職種です。
行政職とは異なり、勤務先は小学校・中学校であり、児童・生徒・教職員を支える“縁の下の力持ち”的な存在として活躍します。
【学校事務の具体的な仕事内容を知りたい方は↓】
【小中学校事務(公務員)】具体的な仕事内容を元学校事務職員がさくっと紹介!
学校事務職が人気の理由とは?|ホワイトさが魅力
小中学校事務職は
- 「ホワイトな職場環境」
- 「定時で帰りやすい」
- 「長期休暇が取りやすい」
- 「教員免許がなくても学校教育に関われる」
- 「仕事が簡単(基本毎年のルーチンワーク)」
といった点で人気を集めており、毎年多くの受験者が集まります。
【最新データ】倍率の実例(2024年度)
学校事務の一番の特徴は競争倍率が高いことです。
自治体によって多少違いますが、行政職よりも競争倍率が高いことが多いです。
自治体 | 試験区分 | 最終倍率 |
---|---|---|
神奈川県 | 1種(大卒) | 3.4倍 |
神奈川県 | 3種(高卒) | 4.1倍 |
埼玉県 | 大卒 | 4.8倍 |
埼玉県 | 高卒 | 4.4倍 |
愛知県 | 高卒 | 5.5倍 |
新潟県 | 高卒 | 6.1倍 |
長野県 | 高卒 | 4.7倍 |
群馬県 | 短大卒 | 9.8倍 |
群馬県 | 高卒 | 4.9倍 |
横浜市 | 高卒 | 5.1倍 |
※ 試験区分(大卒・高卒など)は自治体によって異なるため、受験案内での確認が必要です。
試験内容の特徴|教養試験のみ・専門試験なし
学校事務職の一次試験は「教養試験」のみで構成され、行政職で実施されるような専門試験(法律・経済など)は課されません。
その分、教養試験で高得点を取らなければならないのがポイントです。
※自治体によっては、大卒程度の学校事務職採用試験に専門試験が課される場合もありますのでご注意ください。
【2023年度長野県小中学校事務職員第1次試験(教養試験)の平均点・合格ライン(満点400点)】
平均点 246.1点(得点率約62%)
合格ライン 280点(得点率70%)
【2024年度徳島県小中学校事務職員第1次試験の平均点・合格ライン(満点100点)】
~大卒程度試験(教養試験+専門試験)~
平均点 45.9点(得点率45.9%)
合格ライン 53.8点(得点率53.8%)
~高卒程度試験(教養試験のみ)~
平均点 55.4点(得点率55.4%)
合格ライン 56点(得点率56%)
高卒程度の試験区分でも受験者には大学生や社会人が混じっている
試験レベルが高卒程度となっていても、実は大学生や社会人も受験しています。
私の受験した県では、学校事務は高卒程度となっていて、受験者の大半は高校生らしき人達でした(制服で判断)。
そのなかで、1~2割は大学生・社会人と思われる人達が受験していました(試験会場を見渡し、顔や服装で判断)。
そして、驚愕の真実ですが、実際合格した人は社会人・大学生・公務員予備校生だけ、高校生は1人もいませんでした。
【私の同期の経歴例】
- 県庁職員(私)
- 他県の学校事務職員
- 市の学校事務職員
- 銀行員×3人
- スクールサポートスタッフ
- 大学生(法学部)
- 公務員予備校生×7人
小中学校事務職の勉強法|独学でも十分合格可能
専門試験がないため、教養試験に集中すればOKです。
✅ 対策のポイント
- 教養試験範囲は他の公務員試験とほぼ同じ
- 受験区分(高卒・大卒)に合わせた参考書を使用
- 基本的に独学でも合格可能
市販の「公務員試験 初級(高卒)向け参考書」や「過去問題集」が有効です。
高卒程度の試験に大卒用の問題集を使うのは非効率なので注意しましょう。
同じ小中学校事務でも、都道府県ごとに
- 「高卒程度・初級試験レベル」
- 「短大卒程度・中級試験レベル」
- 「大卒程度・上級試験レベル」
と試験レベルが異なりますので、事前に受験案内でしっかりと自分がどの区分で受験するのか確認してください。
なお、基本的に小中学校事務用の参考書はないので、公務員試験初級・上級の参考書で対応してください。
具体的な「勉強法のコツ(独学)」「通信講座の選び方」については、下記の記事を参考にしてください。
勉強期間の目安|初学者は6ヵ月確保を
都道府県の学校事務の教養試験はだいたい9月下旬に実施されます。
私が独学で試験勉強を始めたのは6月下旬頃だったので、実質3ヶ月間で合格できました。
【関連記事↓】
【公務員試験】大学生&社会人向け|タイプ別の勉強時間&最適な開始時期を解説!
筆記試験受験の感想(体験談)
私の教養試験の得点率は74%(満点400点中296点)で、約250人の受験者のうち28位でした。
(面接でかなり挽回し、最終的に4位で合格できました)
ちなみにトップで合格した学校事務の同期は、「教養試験は9割取れた」と言っていました。
私が学校事務を受験した時は、大学4年時に県庁を受験してからすでに10年以上経過している30代前半。
かなりのブランクがあり、受験勉強にはだいぶ手こずりました。
しかも勉強のモチベーションがなかなかあがらず、日によっては勉強時間ゼロ、あるいは1時間程度しか勉強しないという日もチラホラありました。
正直、十分対策が出来ていたわけではなく、「合格は厳しいかな」という状態で本番を迎えました。
試験本番もイマイチの出来で、「これは落ちた」と思っていましたが、なんとか筆記試験を通過することができました。
面接対策も重要|独学でも対策は可能
小中学校事務の面接試験のときは、私は以下の面接対策(独学)をしていき、面接で上位の点数を取ることができました。
【私の面接対策】
一次試験合格後から面接対策を開始しました。
(合格通知に面接カードが同封されてきました)
- 公務員試験用の面接対策本を2冊読む(一般用と社会人用)(4日間)
- 面接カードに書く志望動機や自己PRをwordで事前にしっかり作り込み(3日間)
- 清書(1日)
- 想定問答集作り(3日間)
- 想定問答集でセルフ模擬面接を繰り返す(本番まで)
私と同じように小中学校事務職を受験する人のなかには独学の人も多いと思います。
そのため、面接対策に苦慮している受験生も多いはず。
実際、私も独学で小中学校事務職を受験したので、面接対策では大変苦労しました。
- 面接カードは添削を一切受けず
- 模擬面接はゼロ
と今考えると本当によく合格できたなと思います(^^;)
(一度公務員受験の経験があったから感覚をつかんでいたからなんとか合格できたのだと思います)
もし、当時の私のように面接対策にお困りの方には、オンラインスキルマーケット「ココナラ 」の利用をおすすめしています。
ココナラでは元公務員や現役の予備校講師などがオンラインで「面接カードの添削」や「模擬面接」のサービス提供をしています。
ちなみに、私も面接カードの添削サービスをしていますので興味がある受験生は以下のリンクから私のココナラの紹介ページをご覧ください。
自分自身が小中学校事務職(県)を合格した経験があり、またココナラで実際に小中学校事務職を志望する受験生の面接カードの添削をしていますし、合格実績もあります。
試験日の注意点|併願可能な自治体を探そう
まとめ|学校事務職は教養特化型の人気職
小中学校事務職は専門試験がなく、教養試験と面接で評価される試験です。
倍率は高めですが、しっかりと対策すれば独学でも十分合格可能。
特に教養試験で7割以上を目指すことが重要です。
転職や第二新卒にも人気の高い職種なので、ホワイトな公務員を目指す方は、ぜひ学校事務職へのチャレンジを検討してみてください!
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