「公務員って安定してるけど、給料は民間より低いの?」
「30代・40代になったらどのくらいもらえるの?」
「年功序列で上がるって聞くけど、どの程度なの?」
こうした疑問を持つ人は多いと思います。
実は私(伯爵)は、県庁で9年間、地方公務員(林業職)として働いていました。
大卒で入庁した当初の手取りは16万円台。
周りの民間の友人がボーナスをもらっている中、「本当にこのままで大丈夫か?」と不安を感じていました。
しかし、年齢を重ねるごとに少しずつ昇給し、40代手前では手取りが30万円近くまで上昇。
安定はしていましたが、「高給」とは程遠い現実でした。
本記事では、そんな元県職員でFP資格保有者の私が、公務員と民間企業の給料を「データ+実体験」で徹底比較します。
この記事を読めば、
公務員の年齢別の給料・給与のリアル
民間企業との生涯賃金・昇給ペースの差
公務員でもお金を増やす資産運用の方法
がすべてわかります。
- 同年代で比べると、国家公務員や県庁職員よりも大都市の市役所職員(指定都市)の給与のほうが高い。
 - 公務員は諸手当が高い。
 - 大企業の会社員と公務員の平均給与は、会社員のほうが圧倒的に高い。
 
【執筆者↓】

公務員の給料は民間より高い?低い?【結論から解説】

結論:公務員は「安定型の中間層」。大企業には劣るが、中小企業よりは上
まず結論からお伝えします。
公務員の給料は、民間の大企業よりは低く、中小企業よりはやや高い水準に設定されています。
これは、政府(人事院)が毎年発表する「民間給与実態調査」の結果に基づき、民間の平均給与に準拠して調整されているためです。
つまり、極端に高くも低くもならない「中間層の安定ゾーン」に位置づけられているのです。
平均年収を比較してみると…
| 区分 | 平均年収(令和6年度) | 
|---|---|
| 国家公務員(行政職) | 約680万円 | 
| 地方公務員(都道府県) | 約660万円 | 
| 民間企業(全体平均) | 約550万円 | 
| 大企業(従業員1000人以上) | 約750万円 | 
| 中小企業(300人未満) | 約440万円 | 
(出典:人事院「令和6年職種別民間給与実態調査」、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」)
この表からも分かるとおり、公務員は全国平均よりやや上でありながら、大企業サラリーマンの平均には届かない位置にあります。
公務員が「安定している」と言われる理由
ではなぜ「給料は高くないのに人気がある」のでしょうか?
理由は主に3つです。
リストラがほぼない安定性
昇給・昇任が制度化されており、予測しやすい
各種手当・退職金・共済年金が手厚い
つまり、リスクを抑えて安定収入を得たい人に最適な職種です。
実際、私が勤務していた県庁でも、景気に関係なく毎年3〜4号俸ずつ昇給していました。
一方で、民間のように「成果主義で一気に年収が上がる」ことはまずありません。
公務員の昇給ペースの目安
平均的な昇給額は以下のとおりです。
| 年代 | 平均月給 | 年収目安 | 特徴 | 
|---|---|---|---|
| 20代前半 | 約20〜25万円 | 約350万円前後 | 新人 | 
| 30代前半 | 約25〜35万円 | 約500万円前後 | 主任クラス | 
| 40代前半 | 約35〜40万円 | 約600万円前後 | 係長クラス | 
| 50代前半 | 約45〜50万円 | 約700万円前後 | 課長・次長クラス | 
若手時代はかなり低めですが、40代〜50代にかけては確実に上昇していく「年功序列型」です。
この昇給カーブが、「安定している」と言われる所以です。
民間との違いは「伸びしろ」と「天井」
民間と比べたとき、公務員の特徴は明確です。
伸びしろ(上限)が小さい
底(下限)が高い
つまり、年収1000万円以上を狙うことは難しい一方で、不況でも給料が下がることはありません。
「安定してコツコツ上がる」一方、「飛躍的な昇給はない」という点が最大の特徴です。
元県職員としてのリアルな感想
私は県職員時代、30代前半で手取り約25万円+ボーナス約100万円ほどでした。
結婚しておらず家族を養う必要がなかったため、貯金は全然ありませんでしたがちょっとした独身貴族状態でした。
一方で、友人の中には20代で手取り40万円以上の民間管理職もいて、「同じ努力をしても給与差が開く」という現実にモヤモヤしたこともあります。
しかし、公務員には「給料が下がるリスク」がありません。
不況でも安定しており、共済年金・退職金の安心感は絶大でした。
この安定性こそが、公務員の最大の魅力。
一方で、「努力しても給与があまり変わらない」というもどかしさも確かにあります。
だからこそ、私は資産運用(株式投資)を学び始め、今では公務員でも「給与+投資」で経済的自由を目指せることを確信しています。
国家公務員・地方公務員の年齢別給料データ(最新)
公務員の給与は、「俸給表」という昇給ルールに基づいて決まっています。
基本給にあたる「給料」に、各種手当を加えた「給与(総支給額)」が実際の月収です。
給料と給与の違いは以下のとおりです。
【給与=給料+諸手当】
諸手当(国家公務員) → 地域手当、広域異動手当、本府省業務調整手当、扶養手当、住居手当、単身赴任手当、寒冷地手当、特殊勤務手当等
諸手当(地方公務員) → 扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、時間外勤務手当(残業代)等
ここでは、国家公務員・地方公務員の最新データをもとに、年齢別にどの程度もらえるのかを具体的に見ていきましょう。
国家公務員の年齢別給与(行政職俸給表一)
国家公務員の平均月額給与(大卒・高卒別)は次の通りです。
出典:人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査の結果」(参考1)
| 年齢 | 大卒 | 高卒 | 
|---|---|---|
| 20歳未満 | 247,373円 | 207,170円 | 
| 20〜23歳 | 260,652円 | 236,539円 | 
| 24〜27歳 | 284,339円 | 275,362円 | 
| 28〜31歳 | 319,737円 | 305,907円 | 
| 32〜35歳 | 354,615円 | 339,909円 | 
| 36〜39歳 | 399,718円 | 365,868円 | 
| 40〜43歳 | 448,206円 | 397,556円 | 
| 44〜47歳 | 482,819円 | 424,733円 | 
| 48〜51歳 | 509,441円 | 458,514円 | 
| 52〜55歳 | 529,236円 | 477,885円 | 
| 56〜59歳 | 534,800円 | 498,690円 | 
地方公務員(都道府県職員)の年齢別給与
続いて、地方公務員(都道府県)のデータです。
出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果」(第7表)
| 年齢 | 給料(大卒) | 給与(大卒) | 給料(高卒) | 給与(高卒) | 
|---|---|---|---|---|
| 20〜23歳 | 201,935円 | 251,698円 | 186,355円 | 235,778円 | 
| 24〜27歳 | 218,787円 | 291,007円 | 211,425円 | 274,482円 | 
| 28〜31歳 | 244,811円 | 328,405円 | 236,902円 | 305,720円 | 
| 32〜35歳 | 272,229円 | 362,317円 | 262,299円 | 334,312円 | 
| 36〜39歳 | 301,949円 | 402,206円 | 293,932円 | 374,591円 | 
| 40〜43歳 | 337,621円 | 450,089円 | 328,207円 | 418,526円 | 
| 44〜47歳 | 366,509円 | 480,291円 | 355,903円 | 455,437円 | 
| 48〜51歳 | 387,656円 | 499,742円 | 376,010円 | 471,585円 | 
| 52〜55歳 | 404,100円 | 511,893円 | 387,888円 | 482,379円 | 
| 56〜59歳 | 418,413円 | 526,555円 | 396,948円 | 487,564円 | 
特別区(東京23区)の年齢別給与
| 年齢 | 給料(大卒) | 給与(大卒) | 給料(高卒) | 給与(高卒) | 
|---|---|---|---|---|
| 20〜23歳 | 197,623円 | 279,062円 | 173,747円 | 257,539円 | 
| 24〜27歳 | 213,698円 | 318,595円 | 199,299円 | 294,297円 | 
| 28〜31歳 | 243,349円 | 353,166円 | 227,448円 | 325,095円 | 
| 32〜35歳 | 275,916円 | 390,608円 | 259,169円 | 360,318円 | 
| 36〜39歳 | 309,482円 | 435,223円 | 298,404円 | 414,683円 | 
| 40〜43歳 | 345,979円 | 492,191円 | 329,536円 | 465,334円 | 
| 44〜47歳 | 369,821円 | 528,994円 | 353,916円 | 500,320円 | 
| 48〜51歳 | 386,045円 | 554,524円 | 369,043円 | 517,195円 | 
| 52〜55歳 | 396,496円 | 564,048円 | 374,935円 | 526,803円 | 
| 56〜59歳 | 403,774円 | 567,483円 | 379,317円 | 526,988円 | 
指定都市(大都市)の年齢別給与
| 年齢 | 給料(大卒) | 給与(大卒) | 
|---|---|---|
| 24〜27歳 | 216,352円 | 302,279円 | 
| 28〜31歳 | 245,004円 | 335,659円 | 
| 32〜35歳 | 276,801円 | 371,167円 | 
| 36〜39歳 | 310,255円 | 417,871円 | 
| 40〜43歳 | 345,144円 | 465,919円 | 
| 44〜47歳 | 374,270円 | 506,123円 | 
| 48〜51歳 | 397,637円 | 531,408円 | 
| 52〜55歳 | 416,435円 | 551,166円 | 
| 56〜59歳 | 432,135円 | 564,894円 | 
※指定都市=札幌・仙台・横浜・名古屋・大阪・福岡など20市。
市の年齢別給与
| 年齢 | 大学卒 | 高校卒 | ||
|---|---|---|---|---|
| 給料 | 給与 | 給料 | 給与 | |
| 18・19 | 170,898 | 195,496 | ||
| 20~23 | 202,177 | 245,185 | 187,102 | 229,130 | 
| 24~27 | 218,720 | 282,452 | 212,062 | 263,279 | 
| 28~31 | 243,274 | 312,455 | 236,422 | 290,588 | 
| 32~35 | 269,042 | 341,091 | 260,950 | 321,541 | 
| 36~39 | 297,727 | 379,526 | 291,716 | 360,646 | 
| 40~43 | 333,236 | 425,746 | 326,473 | 400,860 | 
| 44~47 | 363,769 | 457,746 | 356,730 | 435,546 | 
| 48~51 | 385,457 | 476,162 | 377,548 | 453,942 | 
| 52~55 | 402,974 | 494,809 | 391,056 | 464,844 | 
| 56~59 | 418,670 | 514,759 | 401,240 | 475,308 | 
表から見える3つの傾向
20代はかなり低いが、昇給カーブはなだらかに上昇
40代以降でようやく平均500~600万円台に到達
手当が年収差を生む一つの要因
年齢別の手取り目安(ざっくり試算)
| 年齢層 | 総支給額 | 手取り額目安(共済・税控除後) | 
|---|---|---|
| 20代前半 | 約25万円 | 約20万円前後 | 
| 30代前半 | 約33万円 | 約26万円前後 | 
| 40代前半 | 約40万円 | 約31万円前後 | 
| 50代前半 | 約48万円 | 約37万円前後 | 
民間企業との給料差を徹底比較【データで見る現実】

公務員の給与を語るうえで避けて通れないのが、「民間企業との比較」です。
ここでは、最新の政府統計をもとに、年齢別・役職別・企業規模別に徹底的に比較していきます。
民間企業(大企業・中小企業)との平均給与比較
出典:人事院「令和6年職種別民間給与実態調査の結果」(職種別、企業規模別、年齢階層別平均支給額)
| 年齢 | 事務部長 | 事務課長 | 事務係長 | 事務係員 | 
|---|---|---|---|---|
| ~19 | ー | ー | ー | 225,723 | 
| 20~23 | ー | ー | ー | 280,962 | 
| 24~27 | ー | 515,229 | 339,834 | 336,314 | 
| 28~31 | 545,503 | 521,820 | 505,614 | 370,072 | 
| 32~35 | 646,054 | 775,624 | 494,673 | 391,479 | 
| 36~39 | 782,505 | 730,511 | 496,990 | 392,869 | 
| 40~43 | 857,131 | 668,851 | 499,759 | 397,240 | 
| 44~47 | 811,415 | 658,453 | 503,125 | 395,603 | 
| 48~51 | 793,623 | 650,914 | 500,078 | 401,527 | 
| 52~55 | 796,545 | 663,885 | 523,405 | 413,800 | 
| 56~59 | 791,454 | 654,129 | 535,860 | 446,628 | 
年齢別で見る!公務員と民間の差
例えば、若手時代の24~27歳、出世レースが終わりかけた52~55歳の平均月額給与(大卒)を比較すると、以下のようになります。
| 区分 | 24~27歳 | 52~55歳 | 
|---|---|---|
| 国家公務員 | 284,339 | 529,236 | 
| 都道府県職員 | 291,007 | 511,893 | 
| 特別区 | 318,595 | 564,048 | 
| 指定都市職員 | 302,279 | 551,166 | 
| 市職員 | 282,452 | 494,809 | 
| 大手民間企業会社員 (事務部長)  | ー | 796,545 | 
| 大手民間企業会社員 (事務課長)  | ー | 663,885 | 
| 大手民間企業会社員 (事務係長)  | 339,834 | ー | 
| 大手民間企業会社員 (事務係員)  | 336,314 | ー | 
「手当込み総支給」で見ると差はやや縮まる
公務員は基本給は控えめですが、諸手当が豊富です。
代表的な手当の例を見てみましょう。
| 手当名 | 概要 | 
|---|---|
| 地域手当 | 物価差補正(最大20%) | 
| 扶養手当 | 配偶者・子どもへの加算 | 
| 住居手当 | 賃貸家賃補助 | 
| 通勤手当 | 交通費支給 | 
| 寒冷地手当 | 北海道・東北など | 
「ボーナス」で見ると意外な結果に
(出典:総務省「地方公務員給与実態調査」、厚労省「民間給与実態統計調査」)
| 区分 | 年間賞与額 | 支給月数 | 
|---|---|---|
| 国家公務員 | 約165万円 | 約4.45ヶ月分 | 
| 地方公務員 | 約160万円 | 約4.3ヶ月分 | 
| 民間(全体) | 約138万円 | 約3.6ヶ月分 | 
| 大企業 | 約180万円 | 約4.7ヶ月分 | 
年功序列の実態と昇給の仕組み【俸給表で解説】
公務員の給料は「俸給表」という明確なルールに基づいて決まっています。
民間のように上司の評価や営業成績で変わるわけではなく、「年齢+勤続年数+昇任状況」の3つでほぼ決まります。
つまり、公務員は典型的な年功序列+定期昇給制度です。
ここではその仕組みを分かりやすく解説します。
俸給表とは?【昇給の設計図】
「俸給表(ほうきゅうひょう)」とは、職種や等級ごとに定められた基本給の一覧表です。
国家公務員では「行政職(一)」、地方公務員でも同様の体系が採用されています。
| 等級 | 概要(例) | 主な役職例 | 
|---|---|---|
| 1級 | 初任クラス | 新規採用職員 | 
| 2級 | 一般職 | 主事・主任クラス | 
| 3級 | 係長級 | 課内リーダー | 
| 4級 | 課長補佐級 | 中間管理職 | 
| 5級 | 課長級 | 管理職層 | 
| 6級〜7級 | 次長・部長級 | 幹部職員 | 
昇給の仕組み【毎年4月に自動で上がる】
国家公務員・地方公務員ともに、年1回(4月)に昇給があります。
「号俸(ごうほう)」という単位で、俸給表の段階を2〜4号程度ずつ上がります。
| 区分 | 年間昇給額(例) | 
|---|---|
| 若手(20代) | 約5,000〜6,000円 | 
| 中堅(30〜40代) | 約7,000〜9,000円 | 
| ベテラン(50代) | 約5,000円前後 | 
つまり、年収ベースで見ると毎年約8〜10万円ほど増える計算です。
10年勤続すれば、月給が5〜8万円アップするイメージになります。
昇任(昇格)による「ジャンプアップ」
昇給とは別に、「昇任(昇格)」によって等級そのものが上がると、給与が大きく増加します。
例えば、主任→係長→課長補佐に上がると、基本給が一気に跳ね上がります。
| 昇任 | 給料アップ幅(目安) | 
|---|---|
| 主任 → 係長 | 約2〜3万円増 | 
| 係長 → 課長補佐 | 約4〜6万円増 | 
| 課長補佐 → 課長 | 約8万円以上増 | 
昇給ペースのシミュレーション(モデルケース)
ここでは、地方公務員(大卒・一般行政職)が定年まで勤務した場合のモデルを見てみましょう。
| 勤続年数 | 年齢 | 職位 | 月給(概算) | 年収(概算) | 
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 22歳 | 一般職(1級) | 約21万円 | 約340万円 | 
| 18年目 | 40歳 | 主任〜係長級(2〜3級) | 約31万円 | 約500万円 | 
| 28年目 | 50歳 | 課長補佐級(4級) | 約39万円 | 約620万円 | 
| 36年目 | 58歳 | 課長〜次長級(5〜6級) | 約48万円 | 約750万円 | 
昇給・昇任を見越したライフプラン設計
公務員の昇給は安定しているため、ライフプランを立てやすいという利点があります。
住宅購入・教育資金・老後資金など、長期的な家計設計がしやすい職業です。
💡 FP視点のアドバイス
30代で住宅ローンを組んでも返済リスクが低い
共済年金+退職金で老後の基礎資金は確保可能
若手期からのNISA・iDeCo活用で「老後のゆとり」をプラス
章末まとめ:年功序列のメリット・デメリット
| メリット | デメリット | 
|---|---|
| 昇給・昇任が制度化されており安心 | 成果を出しても急激に上がらない | 
| リストラ・降格のリスクがない | モチベーションが下がりやすい | 
| 生活設計・家計管理がしやすい | 出世に上限(ポスト数)がある | 
公務員の手取り額と家計感覚【FP視点でリアル解説】
公務員の給与表を見て「けっこう高いな」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、実際の手取り額はそこまで多くはありません。
なぜなら、公務員は共済組合費や税金、各種保険料が毎月かなり天引きされるためです。
ここでは、「手取りの実態」と「家計感覚」を、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点で具体的に解説します。
給料と手取りの違いをまず整理
給与明細に書かれる「支給額」は総支給額(=給与)で、実際に銀行口座に入る金額は「手取り額」です。
| 用語 | 意味 | 備考 | 
|---|---|---|
| 給与(総支給) | 基本給+諸手当 | ボーナス除く月額 | 
| 手取り | 給与から税金や保険料を差し引いた金額 | 生活に使える実際の金額 | 
公務員の天引き項目(控除)の内訳
毎月の給与から引かれる主な項目は以下のとおりです。
| 控除項目 | 概要 | 月額目安 | 
|---|---|---|
| 所得税 | 国に納める税金 | 約5,000〜15,000円 | 
| 住民税 | 地方自治体に納める税金 | 約10,000〜20,000円(6月〜翌年5月) | 
| 共済組合掛金 | 健康保険+年金の役割 | 約25,000〜35,000円 | 
| 雇用保険 | 失業時の補償制度 | 約1,000円前後 | 
| 財形・互助会費 | 任意だが加入率高め | 約3,000〜5,000円 | 
つまり、総支給の約20〜25%が差し引かれます。
月給30万円の人なら、実際の手取りは約23万円前後が目安です。
年齢別の手取り額シミュレーション(独身の場合)
| 年齢層 | 総支給(月給+手当) | 手取り目安 | 
|---|---|---|
| 20代前半 | 約25万円 | 約20万円 | 
| 30代前半 | 約33万円 | 約26万円 | 
| 40代前半 | 約40万円 | 約31万円 | 
| 50代前半 | 約48万円 | 約37万円 | 
家族持ちのケース(共働き・子どもあり)
共済費や扶養手当を考慮した、家族4人(妻+子2人)世帯の目安は次のとおりです。
| 年齢層 | 総支給 | 手取り | 備考 | 
|---|---|---|---|
| 30代後半 | 約36万円 | 約29万円 | 妻が扶養内パート、子ども2人 | 
| 40代後半 | 約45万円 | 約35万円 | 妻フルタイム共働き | 
| 50代前半 | 約50万円 | 約38万円 | 教育費ピーク期 | 
「実際の生活レベル」はどんな感じ?
FPとして多くの公務員の家計を見てきた経験から言えば、以下のような感覚に近いです。
| 手取り月収 | 生活レベルの目安 | コメント | 
|---|---|---|
| 20万円前後 | 独身・実家暮らし | 貯金可能だが余裕なし | 
| 25〜30万円 | 夫婦共働き・賃貸暮らし | 普通の生活+少しの貯蓄 | 
| 35〜40万円 | マイホーム・子ども2人 | 教育費で貯蓄圧迫 | 
| 45万円以上 | 管理職・持ち家完済 | ゆとりのある生活水準 | 
公務員の給与が上がらない理由と今後の将来性
「なぜ公務員の給料はなかなか上がらないのか?」
「今後、公務員の年収はどうなっていくのか?」
この章では、公務員の給与が上昇しにくい構造的な理由と、将来の見通しをわかりやすく解説します。
公務員の給与は「民間準拠制度」で決まる
公務員の給与は、「民間準拠の原則」というルールに基づいて設定されています。
これは、「民間企業の給与水準にできるだけ近づける」という仕組みです。
根拠となるのが、毎年行われる人事院勧告制度です。
▶ 人事院勧告とは
国家公務員の給与を、民間企業(約1万人規模の調査)と比較し、調整を勧告する制度
地方公務員の給与も、国家公務員の結果を参考に設定される
給与が上がらない3つの根本原因
① 成果主義ではなく「職務給」体系
公務員は成果報酬ではなく、「どんな職務を担当しているか」で給与が決まります。
営業成績や個人スキルで大幅に上がることはありません。
どれだけ頑張っても、同じ等級・号俸であれば給与は同じ。
結果よりも「在職年数」と「職務内容」で決まるため、報酬の伸びは緩やかです。
② 財政制約(人件費の上限)
地方自治体では、歳出の約2割が人件費です。
財政健全化のため、人件費総額を抑制する動きが続いています。
③ 少子高齢化による税収減
人口減少によって税収が伸び悩む中、公務員給与の大幅アップは政治的にも難しいのが実情です。
特に地方では「公務員の給料が高すぎる」との批判を避けるため、あえて民間平均より低めに抑える自治体もあります。
将来の展望①:AI・デジタル化による業務効率化
近年、自治体業務にもAI・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が導入されています。
住民票・税務処理の自動化
AIによる文書作成支援
職員の負担軽減・人員削減
将来の展望②:成果連動型人事の導入が進む
一部の自治体では、既に成果連動評価制度(人事評価制度)が導入されています。
将来の展望③:副業・兼業解禁の流れ
これまで公務員は原則副業禁止でしたが、「地域貢献型副業」「兼業解禁」が徐々に進んでいます。
今多いのは、「自治体が認めたNPO・地域活動であれば許可される」という副業です。
今後様々な活動が兼業OKとなっていくことでしょう。
将来の展望④:給与カーブの「フラット化」
今後のトレンドとして、「若手を厚く・高齢層を抑える」方向へのシフトが進んでいます。
| 年代 | 現状 | 今後の方向性 | 
|---|---|---|
| 20代〜30代 | 給与が低く昇給遅い | 初任給アップ傾向 | 
| 40代〜50代 | 給与高い・昇給鈍化 | 頭打ち・フラット化 | 
章末まとめ:公務員給与の今と未来
| 現状の課題 | 将来の方向性 | 
|---|---|
| 年功序列・昇給鈍化 | 成果・能力評価の導入 | 
| 財政制約・税収減 | 若手重視・高齢層抑制 | 
| 副業禁止 | 一部副業・兼業解禁 | 
| 公務員大量採用時代 | 少数精鋭+デジタル職重視 | 
まとめ|安定か年収か、どちらを取るか?

ここまで、公務員と民間企業の給料・昇給・手取り・将来性を、データと実体験の両面から解説してきました。
結論として、公務員の給与は「決して高くないが、安定して右肩上がり」という特徴があります。
公務員の給料の本質をもう一度整理
| 項目 | 特徴 | 
|---|---|
| 給与水準 | 民間平均より上・大企業より下 | 
| 昇給制度 | 年功序列+定期昇給(年1回) | 
| 手当 | 地域・扶養・住居などが充実 | 
| 賞与 | 年4.3〜4.5ヶ月分、景気に左右されにくい | 
| 手取り | 総支給の約75〜80%(税・共済で控除) | 
| 将来性 | AI化・少子化により給与は横ばい傾向 | 
「安定を取る」か「挑戦を取る」か
公務員と民間企業の違いを一言で表すと、次のようになります。
| タイプ | 特徴 | 向いている人 | 
|---|---|---|
| 公務員 | 安定・予測可能・着実に昇給 | コツコツ型・長期志向 | 
| 民間企業 | 成果連動・収入変動あり | 挑戦志向・スピード重視 | 
今後の時代、公務員に求められる3つの力
家計を守る力(マネーリテラシー)
→ 節約よりも、仕組みでお金を残す発想を。資産を育てる力(投資・運用知識)
→ NISA・iDeCoなど制度を活用して「給与以外の柱」を育てる。自分で選ぶ力(情報選択力)
→ “安定だけに依存しない働き方”を意識する。
未来へのメッセージ|公務員という生き方をどう活かすか
公務員は「稼ぐ」職業ではなく、「安定して生活を守る」職業
ただし、その安定を活かして資産を作れば「経済的な自由」も手に入る
昇給はゆるやかでも、積立と複利の力で“お金は加速的に増える”
私は公務員時代、「お金が増えない」と不満ばかり言っていました。
けれど退職して気づいたのは、安定収入がどれほど貴重だったかということ。
今は在宅で働きながら、公務員時代に学んだ堅実さを土台に、資産形成を続けています。
公務員として働く方も、これから目指す方も――
「安定 × マネーリテラシー」で、将来の安心を自分の手で作っていきましょう。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!
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