今回の記事では公務員試験の教養試験・専門試験の「平均点やボーダーライン(合格者最低点)」について、シンプルにご紹介します。
おもに、
- 公務員試験での目標点数を決めたい受験生
- 公務員試験に興味がある受験生
に役立つ内容となっています。
- 国家公務員の教養試験・専門試験の基準点 → 満点の約30%(基準点未満だと不合格)
- 国家公務員(総合職)の教養試験の平均得点率 → 約42%
- 国家公務員(一般職)の教養試験の平均得点率 → 約57%
- 国家公務員(就職氷河期世代枠)の教養試験のボーダーライン → 50~72.5%(地域区分で異なる)
- 地方公務員(大卒・行政職)の一次試験(教養+専門)ボーダーライン → おおよそ45%~55%
【公務員試験】教養試験・専門試験の平均点とボーダーライン
それでは、教養試験・専門試験の平均点とボーダーラインについて、調べて分かった自治体の情報を紹介していきます。
まずは、国家公務員です。
国家公務員試験の「基準点」と「平均点」(就職氷河期世代枠はボーダー公表)
国家公務員試験の筆記試験の得点は、平均点や標準偏差を用いて算出するため、ボーダーライン(合格最低得点)は分かりませんが、「基準点」と「平均点」は公表されています。
【基準点】:いわゆる「足切りライン」のことで、満点の30%以上を取らないと「不合格」
総合職(大卒程度・教養区分除く)の平均点
【教養試験(基礎能力試験)】平均点16.6点(得点率約42%)(満点40点)
【専門試験(多肢選択式)↓】(一部抜粋)
区分 | 平均点(満点40点) |
---|---|
政治・国際 | 16.6点(得点率約42%) |
法律 | 19.5点(49%) |
工学 | 17.2点(43%) |
森林・自然環境 | 18.2点(46%) |
※数値は2022年度国家公務員採用総合職試験(大卒程度)(教養区分を除く)合格点及び平均点等一覧より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
一般職(大卒程度)の平均点
【教養試験(基礎能力試験)】平均点22.9点(57%)(満点40点)
【専門試験(多肢選択式)↓】(一部抜粋)
区分 | 平均点(満点40点) |
---|---|
行政 | 21.0点(53%) |
土木 | 20.7点(52%) |
林学 | 23.2点(58%) |
農学 | 21.4点(54%) |
※数値は2022年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度)合格点及び平均点等一覧より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
就職氷河期世代枠の平均点とボーダーライン
【教養試験(基礎能力試験)】平均点21.345点(約53%)(満点40点)
【教養試験(基礎能力試験)】ボーダーライン(満点40点)(事務区分のみ掲載)
地域 | ボーダーライン(得点率) |
---|---|
北海道 | 23点(57.5%) |
東北 | 22点(55%) |
関東甲信越 | 29点(72.5%) |
東海北陸 | 23点(57.5%) |
近畿 | 26点(65%) |
中国 | 21点(52.5%) |
四国 | 22点(55%) |
九州 | 20点(50%) |
沖縄 | 25点(62.5%) |
(参考データ:「2022年度中途採用者選考試験(就職氷河期世代)第1次選考通過得点及び平均点等一覧」)
地方公務員試験の「平均点」と「ボーダーライン」
全都道府県と全政令指定都市の受験案内のHPを調べてみましたが、平均点とボーダーライン(合格者最低点)を公表している自治体は、あまり多くありませんでした。
今回は私が調べたなかで見つけることのできた以下の自治体のみ紹介します。
- 北海道
- 長野県
- 愛媛県
- 高知県
- 徳島県
- 熊本県
- 佐賀県
- 大分県
- 沖縄県
- 千葉市
北海道
数値は2022年度北海道行政職員等採用試験合格者の平均点等一覧より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
北海道は教養試験・専門試験の代わりに、職務基礎力試験(社会事情・言語能力、数的・論理的能力)が課されています。
試験区分(上級) | 平均点(得点率) | 合格ライン(得点率) | ||
---|---|---|---|---|
社会事情・言語能力 (30点満点) | 数的・論理的能力 (30点満点) | 社会事情・言語能力 (30点満点) | 数的・論理的能力 (30点満点) | |
一般行政A 第1回 | 13.39点 (約45%) | 13.41点 (約45%) | 9点 (30%) | 9点 (30%) |
教育行政A 第1回 | 13.81点 (約46%) | 13.13点 (約44%) | 9点 (30%) | 9点 (30%) |
警察行政A 第1回 | 13.15点 (約44%) | 13.27点 (約44%) | 9点 (30%) | 10点 (約33%) |
小中学校事務A | 16.20点 (54%) | 12.37点 (約41%) | 12点 (40%) | 9点 (30%) |
長野県
数値は2022年度長野県職員等採用試験1次試験結果(平均点及び合格ライン)より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
また、長野県の基準点は満点の40%となっています。(40%未満の場合は不合格)
試験区分 | 平均点(教養試験) | 平均点(専門試験) | 1次試験合格ライン | 配点 |
---|---|---|---|---|
行政A(大卒程度) | 256(63%) | 441(55%) | 600(50%) | 教養400/専門800 |
行政(高卒程度) | 276(69%) | ー | 312(78%) | 教養400 |
警察職員(大卒) | 186(47%) | 144(36%) | 380(48%) | 教養400/専門400 |
小中学校事務 | 256(64%) | ー | 280(70%) | 教養400 |
※行政A、警察職員は加算後の点数(外国語資格のスコア等)
愛媛県
数値は令和4年度愛媛県職員等採用候補者試験結果より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
試験区分(上級) | 教養試験(50点満点) | 専門試験(40点満点) | 教養+専門(90点満点) | ||
---|---|---|---|---|---|
行政事務A | 平均点 | ボーダーライン | 平均点 | ボーダーライン | ボーダーライン |
28.2点 | 23点(46%) | 19.5点 | 16点(40%) | 44点(49%) | |
学校事務 | 平均点 | ボーダーライン | 平均点 | ボーダーライン | ボーダーライン |
24.6点 | 15点(30%) | 16.5点 | 12点(30%) | 27点(30%) | |
警察事務 | 平均点 | ボーダーライン | 平均点 | ボーダーライン | ボーダーライン |
23.0点 | 20点(40%) | 14.5点 | 14点(35%) | 37点(41%) |
高知県
数値は高知県職員採用試験実施状況令和4年度より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は教養試験50点・専門試験50点です。
また、合格基準点(3割)に達しない種目がある場合は不合格となります。
試験区分(上級) | 1次試験平均点(満点100点) | 一次試験合格者最低点(満点100点) |
---|---|---|
行政 | 49点 | 48点(48%) |
警察事務 | 49点 | 42点(42%) |
教育事務 | 49点 | 44点(44%) |
徳島県
数値は令和4年度徳島県職員等採用試験第1次試験得点状況より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は、
- 大卒程度試験は教養40点・専門60点
- 高卒程度試験は教養100点
です。
試験区分 | 平均点(得点率) | 合格ライン(得点率) |
---|---|---|
行政事務 (大卒程度) | (教養)21.4点(約54%) (専門)27.6点(46%) (一次総合)49.0点(49%) | (教養)19.2点(48%) (専門)24.0点(40%) (一次総合)56.5点(約57%) |
一般事務 (高卒程度) | (教養)57.7点(約58%) | (教養)78.0点(78%) |
熊本県
数値は熊本県職員採用試験実施結果令和4年度より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は教養試験200点・専門試験240点です。
試験区分(上級) | 一次試験合格者の合格ライン(満点440点) |
---|---|
行政 | 192点(44%) |
警察行政 | 185点(42%) |
教育行政 | 176点(40%) |
佐賀県
数値は佐賀県職員採用試験実施結果令和4年度より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は教養試験80点・専門試験120点です。
試験区分(上級) | 平均点(得点率) | 一次試験合格者の合格ライン (満点200点) |
---|---|---|
行政 | (教養)52.9点(約66%) (専門)77.6点(約65%) | 112.8点(約56%) |
※合格最低点には、語学加点の点数を含む
大分県
数値は令和5年度大分県職員採用上級・中級・医療Ⅰ試験実施結果より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は教養試験80点・専門試験120点です。
試験区分(上級) | 平均点(得点率) | 一次試験合格者の合格ライン (満点200点) |
---|---|---|
行政 | (教養)27.2点(34%) (専門)18.2点(約15%) | 106.46 点(約53%) |
※合格最低点には、語学加点の点数を含む
沖縄県
数値は令和5年度沖縄県職員採用試験第1次試験結果より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点は教養試験50点・専門試験40点です。
試験区分(上級) | 平均点(得点率) | 一次試験合格者の合格ライン (満点90点) |
---|---|---|
行政 | (教養)24.6点(約49%) (専門)17.2点(約34%) | 49点(約54%) |
千葉市
数値は千葉市職員募集試験実施データ2022年度より抜粋しています。
(他の区分も全て公表されています)
配点内訳は
- 上級行政A及び中級学校事務は教養試験100点・専門試験100点
- 初級事務は教養試験100点
です。
試験区分 | 一次試験合格者最低点 |
---|---|
上級行政A | 110点(55%)※満点200点 |
中級学校事務 | 94点(47%)※満点200点 |
初級事務 | 60点(60%)※満点100点 |
以上、紹介しましたとおり、自治体や試験区分で「合格者最低点」にはあまり差がありませんでした。
【行政職(大卒程度)の一次試験合格者最低得点率(教養+専門)】
- 長野県 50%
- 愛媛県 49%
- 高知県 48%
- 徳島県 57%
- 佐賀県 56%
- 大分県 53%
- 熊本県 44%
- 沖縄県 54%
- 千葉市 55%
得点率は、その年の試験問題の難易度や競争倍率によっても変わります。
注意点として、最低得点を上回っていても、合格基準点を満たさない試験種目がある場合は不合格となります。
(基準点を設定している場合のみ)
競争倍率が高倍率の場合は「数問」「数点」の差で合否が決まる
今回紹介したなかで、長野県行政職(高卒程度)の競争倍率が高く(1次試験倍率3.4倍、最終倍率9.2倍)、それに伴い一次試験のボーダーラインが78%と非常に高くなっています。
このように競争倍率が高い試験では「数問」「数点」の差で合否がわかれます。
以下に私の公務員試験の得点率を参考までに書いておきます。
【県職員採用試験(地方上級・技術職)の得点率】
教養試験約80%、専門試験約80%で1位採用でした。(最終倍率33倍)
【県職員採用試験(小中学校事務職)の得点率】
一次試験合格最低ラインが70%、一次試験合格者が56人。
私が得点率74%で28位、ですので28人が70~74%の中にいたことに。
一次試験1位の人は得点率85%だったと本人から聞きました。(最終倍率約14倍)
今回調べて分かりましたが、「平均点」や「ボーダーライン」を公表している自治体は少ないです。
(私の調べ方が足りないのかもしれませんが^^;)
そのため、試験申込み期間終了後に公表される申込者数で、その年の競争倍率がおおよそ分かるので、そこからボーダーラインを予測してもいいと思います。
世間一般的には「一次試験は7割以上を目指せ」と言われることが多いので、とりあえず70%以上を目指して試験勉強を頑張りましょう!
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