今回の記事では、公務員の通勤手当について、さくっとご紹介します。
この記事は、
通勤手当の手当額や算出方法などについて知りたい人
通勤手当の注意事項を知りたい人
に役立つ記事となっています。
国家公務員の通勤手当
根拠法令
法令根拠は以下の2つとなります。(以下のリンクをおすとe-Gov法令検索で条文を参照できます)
「一般職の職員の給与に関する法律」 第12条
内容
通勤のため、交通機関等を利用又は自動車等を使用することを常例とする職員に支給(対象は「片道2km以上」)
(引用:「国家公務員の諸手当の概要」令和4年11月時点)
支給日
給料支給日に給料とあわせて支給
支給額・計算方法
支給額については、
- 交通機関等の利用者 → 6ヶ月定期券等の価格により支給(ただし、一ヶ月あたり55,000円が上限)
- 自動車等の交通用具使用者(自転車もココ) → 通勤距離に応じた月額(2,000円~31,600円)を毎月支給
となっています。
(引用:「国家公務員の諸手当の概要」令和4年11月時点、一部改変)
【自動車等の交通用具使用者の支給額一覧(通勤距離別)】
通勤距離(片道) | 通勤手当 |
---|---|
5km未満 | 2,000円 |
5km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,100円 |
15km以上20km未満 | 10,000円 |
20km以上25km未満 | 12,900円 |
25km以上30km未満 | 15,800円 |
30km以上35km未満 | 18,700円 |
35km以上40km未満 | 21,600円 |
40km以上45km未満 | 24,400円 |
45km以上50km未満 | 26,200円 |
50km以上55km未満 | 28,000円 |
55km以上60km未満 | 29,800円 |
60km以上 | 31,600円 |
通勤手当の注意点
通勤届の受給にあたって、注意しなければならない以下の5点を解説します。
- 距離の算出方法
- 徒歩は対象外
- 駐車場代はでない
- 新幹線や高速道路の利用条件
- 不正がないか定期的にチェックがある
注意点1:距離の算出方法
通勤距離については、
- 「一般に利用しうる最短の経路の長さ」(人事院規則九一二四 第二条)
- 「運賃・時間・距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法」(人事院規則九一二四 第六条)
とされています。
通勤者が「この道が空いていて、いつもこのルートで通勤している」と申請しても、審査では客観的・機械的に「最短距離」を算出されます。
通勤ルートや距離を巡って、申請者と審査者でたまに口論となることがありました^^;
注意点2:徒歩は通勤手当対象外
一般職員の徒歩については、距離に関係なく通勤手当対象外となっています。
通勤手当はあくまで「交通用具」(自動車、原動機付きの交通用具、自転車)を利用していなければなりません。
そのため、通勤届で自転車利用として申請しておいて、健康のために徒歩で通勤していた場合はアウトです。
注意点3:駐車場代は出ない
自動車通勤の場合、勤務地に駐車場内がない場合は、付近の月極駐車場に停めることになりますが、残念ながら駐車場代は通勤手当の対象外です。
自家用車での通勤で通勤手当をもらっていても、駐車場代で赤字になるという職員もいました。
注意点4:新幹線や高速道路の利用条件
新幹線や高速道路の利用については、30分以上の時間短縮効果がなければ通勤手当は支給されません。(人事院規則九一二四 第十二条)
計算例:高速道路の場合、「一般道路利用所要時間ー高速自動車道利用所要時間=30分以上」
※一般道路:時速40km、高速自動車道:法定速度で計算
注意点5:不正していないか定期的にチェックされる
通勤手当が適正に支給されているか、定期的に確認が行われます。
例えば、交通用具の確認や定期券の提示など。
通勤手当に関する懲戒処分

- 公務員住宅から勤務官署へ通勤する旨の通勤届を提出しながら、自宅から通勤し、通勤手当差額合計38万9,200円を不正に受給
(国家公務員 平成14年度 戒告) - 通勤届と異なる経路および方法により通勤を行い、通勤手当1,065,092円を不正受給
(練馬区 平成30年度 停職15日) - 主な通勤方法をバイクに変更していたにもかかわらず、通勤届の変更手続きを怠り、バス及び電車を利用するものとして不正に受給していた
(世田谷区 令和2年度 減給5分の1) - 電車での通勤を届け出ていたが、徒歩や途中駅での乗降を繰り返して通勤手当を不正受給していた(静岡県 令和4年度 減給10分の1)
まとめ
