公務員を退職した理由と後悔・本音を全公開|元県庁職員が語る「辞めて気づいたリアル」

「公務員、もう限界かもしれない…」そんなふうに感じたことはありませんか?

公務員は安定した仕事と思われがちですが、実際には「人間関係」「やりがいのなさ」「理想とのギャップ」に苦しみ、退職を考える人も少なくありません。

事実、地方公務員の離職率は約2%(民間は15%程度) と低い一方、毎年6万人以上が「自ら辞める」選択をしています。

私自身、県庁で9年間働いたあと、公務員を退職しました。

理由は「働き方・生き方の違和感」や「メンタル不調」など、いくつもの要因が重なった結果です。

この記事では、

  • 実際の退職理由の実態

  • 私自身の退職の経緯と本音

  • 退職後に感じた後悔とリアルな現実

  • そして、これから辞めようか悩むあなたへのアドバイス

を、元県庁職員(FP資格保有・公務員試験アドバイザー) の立場から包み隠さずお伝えします。

 

ねこさん
伯爵さんはなんで辞めたんだっけ?
伯爵さん
色々事情はありますが、「公務員という働き方・生き方が合わなかった」が本音です

 

記事を書いた人

プロフィール

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公務員の離職率と退職者の実態

公務員は「安定している」「一度入れば一生安泰」と言われる仕事ですが、実際には毎年一定数の人が退職しています。

民間との離職率比較

令和5年の厚生労働省「雇用動向調査」によると、民間企業の離職率は約15%

一方で、総務省「地方公務員の退職状況等調査」では、地方公務員の離職率は約2%にとどまっています。

つまり、民間の10分の1という低さです。

🔹民間離職率:15.0%(厚生労働省令和5年雇用動向調査結果
🔹地方公務員離職率:2.0%前後(総務省令和5年度地方公務員の退職状況等調査
🔹離職者数:67,046人(自己都合退職など)
🔹地方公務員総数:281万1749人(総務省HP地方公務員数の状況令和6年4月1日時点)

この数字だけ見ると「ほとんど辞める人はいない」と感じるかもしれません。

しかし、裏を返せば 「2%=毎年6万人以上が辞めている」 という事実でもあります。

しかもこの中には、うつ病などのメンタル疾患で退職した人、転職・結婚・地元への帰省など、さまざまな事情を抱える人が含まれています。

「安定」を捨てる公務員が増えている理由

ここ数年、SNSや転職サイトを見ても「公務員を辞めた」という声が増えています。

背景には以下のような社会変化が関係しています。

  • 働き方の多様化(副業・リモート・フリーランスなど)

  • 終身雇用の崩壊による「安定神話」の揺らぎ

  • ハラスメント問題・メンタル不調の増加

  • 仕事の裁量の少なさ・評価制度の限界

かつての「安定=幸せ」という価値観が崩れ、「やりがい」「自由」「家族との時間」を優先する人が増えています。

公務員が退職する主な理由(実例と傾向)

私は県庁で9年間勤務しましたが、その間に退職した知人はほんの数人でした。

それほど公務員の退職は珍しく、ひとり辞めただけで庁内に噂が広まるほどです。

しかし、その数少ない退職者の理由をたどると、驚くほど共通点があります。

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主な退職理由一覧(実際の事例)

理由カテゴリ具体的な内容
メンタル疾患うつ病・適応障害・過労などによる離職
人間関係・ハラスメント上司のパワハラ・アルハラ・派閥など
結婚・家庭配偶者の転勤や育児による退職
地元回帰実家や地元に戻りたいという理由
キャリア転換民間企業や独立への挑戦
やりがいの欠如ルーチンワークに疲れた、達成感がない

中でも目立つのは メンタル疾患・ハラスメント系の退職

近年は「病休→休職→退職」という流れで職場を離れる人も少なくありません。

実際の現場で見た退職傾向

私の勤務先(県庁)では、最も多かったのが 女性職員の結婚に伴う退職 でした。

夫の転勤に合わせて他県へ引っ越すケースです。

また、男性職員ではメンタル不調や異動ストレス民間企業からの引き抜きが原因の人が多かった印象です。

一方で、近年は「自分の力で生きたい」「起業したい」という理由で辞める若手職員も増えています。

特に30代前半の職員がキャリア転換を考える傾向が顕著です。

年代・性別別に見た傾向

区分主な退職理由傾向
20代前半メンタル不調・理想とのギャップ入庁3年以内に離職するケース多い
30代結婚・育児・転職生活の変化に伴いキャリア見直し
40代以降家庭・健康・定年前転職第二の人生を意識しはじめる層
女性結婚・育児・夫の転勤制度はあるが、柔軟な運用が課題
男性ハラスメント・やりがい・独立「我慢しても報われない」意識が強まる

「退職を考えるけど踏み出せない」人の特徴

公務員を辞めたいと思っても、実際に行動に移す人は一握りです。

なぜなら、公務員は「辞めづらい構造」にあるからです。

  • 「親・家族の反対」が強い

  • 「次の仕事が見つかるか不安」

  • 「退職金・ボーナス・安定収入を失う恐怖」

  • 「同僚や上司の目が気になる」

これらが、退職を決断できない最大の要因です。

私はこの葛藤を9年間抱え続けていました。

公務員を退職した理由は?(元県庁職員の本音)

それでは公務員の退職理由についてご紹介していきます。

公務員の退職理由(実態)

まずは私が県庁時代に実際に退職した知り合い達の退職理由をご紹介します。

  • メンタル疾患
  • 引き抜き
  • 結婚・離婚
  • 地元に戻る
  • 仕事に嫌気がさした(人間関係、組織、待遇)
  • 起業

私が勤めていた約9年間で実際に退職した知り合いはごくわずかでした。

公務員の退職は非常にレアなケースなので、噂が一瞬で広まります。

伯爵さん
一番多かった退職理由は女性職員の結婚に伴う退職で、旦那さんの住んでいる都道府県に移住するケースです

私の退職理由(県職員)

私の退職理由は、いくつかの理由が重なりあっています。

  • 働き方・生き方の迷い
  • 将来を悲観
  • やりがいのなさ
  • 理想との違い(ギャップ)
  • 土日を含むサービス残業の多さ
  • パワハラ
  • アルハラ
  • メンタル不調
  • 公務員への適性のなさ

正直、私は社会人1年目からすでに公務員を退職したいと思っていました。

「人の役に立ちたい」と思い、入庁したのですが、事務処理に忙殺されて、とても人の役に立っている感覚が得られませんでした。

そして、約9年間の勤務でやりがいを感じたことはほぼありませんでした

また、10年、20年、30年後に今の管理職や上司のようになりたいかと考えたときに「絶対に嫌だ」と思ったことも退職理由の一つです。

辞めたいと思って何回かそのときの上司に相談しましたが、

  • 「3年は続けたほうがいい」
  • 「自分のやりたい部署に異動するまで続けたほうがいい」
  • 「本当にやりたい仕事が見つかるまで辞めないほうがいい」

と色々とアドバイスはもらいましたが、残留に値するほどの回答は聞くことができませんでした。

そんな状況の中で、

  • 土日を含むサービス残業の悪化
  • パワハラ・アルハラ
  • メンタル不調

も重なったこともあって、退職する決意を固めました。

今振り返ってみると、公務員として働く、組織の中で働くこと自体に適性がなかったことも原因の一つでした。

伯爵さん
最後の方では、「なんのために自分は働いているのだろう」と自問する毎日で、仕事中でもぼ~とすることがありました^^;

公務員の退職方法

退職を決意してからは行動が早かったです。

退職を止められると思って、ほぼ周囲には相談せずにことを進めていきました

伯爵さん
唯一親だけには退職することを事前に伝えました。息子が公務員になったことを誇りに思っていたので、かなりがっかりした様子でした、、。申し訳ない気持ちで一杯になりました

退職を決めたら、まずは係長に事前に口頭で退職する旨、伝えましょう

そして、管理職との面談を経て、総務担当者から退職願の様式をもらいます。

退職の詳しい流れについては以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

【参考記事】【公務員の辞め方】県職員の退職までの具体的な流れをまとめました。(体験談)

ちなみに、退職願には提出期限が特にありませんが、事務手続きの関係上できれば退職日2週間前ぐらいまでに提出したほうが良いみたいです。

【参考記事】【公務員の辞め方】退職願は「いつまで」に提出すればいいの?(県庁職員経験談)

公務員の自己都合退職の退職金

「自己都合」で退職する際の具体的な退職金は以下のとおりです。

【都道府県職員(一般行政職員)自己都合の平均退職金】

年齢退職金
20歳未満約104,000円
20歳~24歳約235,000円
25歳~29歳約518,000円
30歳~34歳約984,000円
35歳~39歳約2,016,000円
40歳~44歳約3,379,000円
45歳~49歳約5,423,000円
50歳~51歳約7,162,000円
52歳~53歳約8,594,000円
54歳約8,976,000円
55歳約10,302,000円
56歳約10,258,000円
57歳約11,574,000円
58歳約12,408,000円
59歳約13,320,000円

(データ:総務省「令和6年4月1日地方公務員給与実態調査結果」自己都合の退職手当総額を支給人員で割った数値)

 

公務員になって数年で退職する場合は、「約20万円程度」しかもらえません。

20代で退職する場合は、退職金に期待するのは止めておいたほうが無難です。

【参考記事】国家公務員・地方公務員の退職金ってどのくらい?(定年退職・自己都合の場合)

なお、注意として「公務員は失業保険がもらえません!」

特に、貯金がなく、退職金がわずかな20代前半で退職する公務員は数ヶ月間で次の稼ぎ口を見つけないと生活がなりたたくなるのでご注意を!

【参考記事】公務員は雇用保険(失業保険)未加入なので失業給付はもらえません!(退職時注意!)

公務員を退職して後悔したこと・よかったこと

退職から7年以上経った今、「後悔していること」も、「辞めて良かったこと」も、両方あります。

それぞれを率直に書きます。

後悔①:収入が不安定になった

最も大きな後悔は収入の不安定さ

公務員時代は毎月の給料+ボーナスが確実に支給されていましたが、今は自営業として月によって収入が大きく変動します。

後悔②:社会的信用を失った

もうひとつの後悔は、社会的信用の低下です。

クレジットカードや住宅ローンの審査で「職業:自営業、個人事業主」と書くと、審査通過率が明らかに下がります。

また、アパート契約でも「連帯保証人が必要」と言われることが増えました。

公務員という肩書がいかに社会的信用の盾だったか、痛感しました。

公務員の安定性は、収入だけでなく「社会的信用力」という無形資産でもあります。

それを失ったあとに気づく人が多いです。

【参考記事】公務員を辞めたい20代のあなたへ。辞めたあと困ること7選!

それでも「辞めてよかった」と思える理由

一方で、後悔よりも「辞めて良かった」と感じる瞬間も多くあります。

① 自分の時間が増えた

休日もイベントで潰れることが多かった公務員時代に比べ、今は平日でも家族と過ごす時間を自由に確保できています。

育児や散歩、趣味の株式投資など、心から楽しめる時間が増えました。

② ストレスからの解放

パワハラ・無意味な会議・忖度文化…。

そうしたストレス要因が一気になくなったことで、精神的な安定を取り戻しました。

「月曜日が怖くない生活」は、本当に価値があります。

③ 収入の上限が自分次第に

公務員時代は「給料表」で昇給が固定化されていましたが、今は努力次第で収入を上げられる環境。

収入が減っても、「自分の力で稼げた」という手応えがあります。

辞めて後悔しないために必要な準備

分野準備すべきこと
お金貯金・退職金・生活防衛資金の確保
仕事転職活動・副業・スキル習得
家族退職の理解・生活費の共有・協力体制
メンタルカウンセリング・休養・セルフケア
将来設計退職後のキャリアプランと生活設計

「後悔はあるけど、前を向いている」

私は今も「退職して良かった」と心から言える状態ではありません。

ただし、それは“まだ途中だから”です。

辞めて後悔することは確かにありますが、同時に「自分の人生を取り戻すプロセス」にもなっています。

今は種まきの時期。

5年後・10年後に「辞めて正解だった」と胸を張って言えるよう、日々小さな挑戦を続けています。

伯爵さん
「後悔は一瞬、納得は一生」辞める選択も、働き続ける選択も、自分の人生の責任ある一歩です。

退職を考えている公務員へのアドバイス

ここまで読んで「自分も辞めたいけど、まだ迷っている」という方も多いと思います。

私も何年も悩み続けました。

辞めたい気持ちと、安定を失う恐怖の間で、ずっと揺れ動いていたからです。

そんな経験を踏まえて、今悩んでいるあなたに伝えたい「退職前に考えるべき3つの視点」をお話しします。

①「逃げ」ではなく「選択」として辞める

公務員を辞めると、「もったいない」「逃げだ」と言われることがあります。

しかし本当にそうでしょうか?

公務員を辞めることは、「逃げ」ではなく「自分の生き方を選び直す行為」です。

人生100年時代、1つの組織に40年縛られることだけが正解ではありません。

伯爵さん
私が思う「本当の後悔」は、“辞めなかったことを後悔すること”です。

もし今、毎朝の出勤が苦痛で、心や体が悲鳴をあげているなら、それはあなたの人生が「方向転換を求めているサイン」かもしれません。

② 退職を決める前に「お金とメンタル」の準備を

退職を感情だけで決めると、後から経済面で苦しむことがあります。

特に公務員は収入が安定していた分、支出感覚が鈍っている人も少なくありません。

FPとして伝えたいのは、“お金の安心は、心の安心につながる”ということ。

退職を考えるなら、まずは以下の準備をしておきましょう。

準備項目目安・ポイント
💰 貯金最低3〜6ヶ月分の生活費を確保
📅 次の仕事転職活動は退職前から始める
🏠 支出見直し固定費を削減(保険・通信・車など)
🧘 メンタル休職制度・産業医相談・カウンセリングを活用

「退職=人生の終わり」ではなく、「新しいステージの準備期間」と捉えることが大切です。

③ 「辞めても大丈夫」と言える根拠をつくる

私が最終的に退職を決意できたのは、「もう一度、やり直せる力がある」と自分を信じられたからです。

今は、副業・資格・転職支援サービス・SNS発信など、公務員を辞めても挑戦できる環境が整っています。

💡 たとえば…

  • 転職なら「マイナビ転職 公務員特集」や「リクルートエージェント」

  • 副業なら「クラウドワークス」や「ココナラ」

  • スキルアップなら「FP」「宅建」「Webライティング」「行政書士」など

退職を「終わり」ではなく、「始まり」と考えれば、恐怖よりも希望が勝ちます。

💬 著者からのメッセージ

「辞めたいと思うのは、甘えではありません。」

それは“あなたがまじめに働いてきた証拠”です。

真剣に向き合ったからこそ、理想と現実のギャップに気づいた。

そして、「このままでは自分が壊れる」と感じた。

それなら、次の道に進む準備をしてもいい。

自分の心を守ることは、逃げではなく、勇気ある決断です。

まとめ|辞める勇気と、準備する冷静さを両立させよう

最後にこの記事の要点をまとめます。

🔹この記事のまとめ

  • 公務員の離職率は低いが、毎年6万人以上が辞めている

  • 退職理由の多くは「メンタル不調」「人間関係」「やりがいのなさ」

  • 自己都合退職の退職金は少なく、失業保険ももらえない

  • 辞めるなら「お金と心の準備」が不可欠

  • 後悔もあるが、「自由」と「自分らしさ」を取り戻せた

  • 退職は“逃げ”ではなく、“生き方の選択”である

🔹後悔しないための3つの心得

1️⃣ 「感情で動かず、冷静に準備する」
2️⃣ 「家族・信頼できる人に相談する」
3️⃣ 「辞めた後の生活設計を立てておく」

この記事をここまで読んだあなたは、きっと本気で悩んでいます。

けれど、その悩みは「新しい人生を切り開くサイン」です。

私は、公務員を辞めたことを“失敗”とは思っていません。

なぜなら、「自分の人生を自分で選んだ」からです。

伯爵さん
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます☆
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