この記事では、「公務員試験の難易度(合格率)」「公務員試験で知っておいた方がいいポイント」「合格者の学歴・合格ライン」「勉強法」を紹介しています。
おもに、
- 公務員試験に興味がある人
- 合格率が高い自治体を知りたい人
- 公務員試験受験生
に役立つ内容となっています。
- 国・総合職の合格率は26%(官庁訪問があるためさらに合格率は下がる)
- 国・一般職の合格率は43%(官庁訪問があるためさらに合格率は下がる)
- 都道府県の合格率は31%
- 特別区の合格率は39%(各区役所の面接があるためさらに合格率は下がる)
- 政令指定都市の合格率は22%
- 受験率は7割(3割の受験生は申し込みして受験しない)
- 面接は3人に1人が不合格
【この記事を書いた人↓】
【2023年度】公務員試験難易度(合格率)
公務員試験の難易度の目安として、以下の「合格率」を紹介します。
- 国・総合職
- 国・一般職
- 全都道府県
- 全政令指定都市(20市)
※合格率(%):「最終合格者/1次試験受験者×100」(小数点以下四捨五入)
都道府県、特別区、政令指定都市については、すべて地方上級(大卒程度)行政職の数値です。
国家公務員(総合職・一般職)の合格率
まずは、国家公務員の「総合職(大卒程度)」と「一般職(大卒程度)」の合格率です。
試験区分別にまとめてあります。
【総合職】
試験区分 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
政治・経済 | 993 | 415 | 211 | 21% |
法律 | 6,363 | 825 | 352 | 6% |
経済 | 813 | 290 | 142 | 18% |
人間科学 | 258 | 64 | 33 | 13% |
デジタル | 111 | 98 | 49 | 44% |
工学 | 640 | 561 | 294 | 46% |
数理科学・物理・地球科学 | 124 | 40 | 21 | 17% |
化学・生物・薬学 | 234 | 61 | 32 | 14% |
農業科学・水産 | 368 | 224 | 116 | 32% |
農業農村工学 | 126 | 84 | 55 | 44% |
森林・自然環境 | 175 | 117 | 55 | 31% |
(出典:国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)実施状況2023年度)
総合職では、
一番高い合格率 : 工学の46%
一番低い合格率 : 法律の6%
平均合格率 : 26%
という結果でした。
【一般職】
試験区分 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
行政・北海道 | 798 | 599 | 457 | 57% |
行政・東北 | 1,221 | 823 | 594 | 49% |
行政・関東甲信越 | 5,787 | 2,845 | 2,098 | 36% |
行政・東海北陸 | 1,922 | 1,068 | 712 | 37% |
行政・近畿 | 2,312 | 1,164 | 822 | 36% |
行政・中国 | 1,071 | 804 | 580 | 54% |
行政・四国 | 764 | 469 | 360 | 47% |
行政・九州 | 1,994 | 1,115 | 692 | 35% |
行政・沖縄 | 449 | 238 | 161 | 36% |
デジタル・電気・電子 | 255 | 225 | 173 | 68% |
機械 | 154 | 140 | 116 | 75% |
土木 | 648 | 603 | 449 | 69% |
建築 | 88 | 84 | 54 | 61% |
物理 | 193 | 180 | 155 | 80% |
化学 | 298 | 257 | 210 | 71% |
農学 | 555 | 533 | 342 | 62% |
農業農村工学 | 128 | 116 | 71 | 56% |
林学 | 309 | 295 | 223 | 72% |
(出典:国家公務員採用一般職試験(大卒程度)実施状況2023年度)
一般職では、
一番高い合格率 : 物理の80%
一番低い合格率 : 行政九州の35%
平均合格率 : 56%(行政のみだと43%)
という結果でした。
総合職の合格率は平均26%でしたが、総合職は東大・京大・旧帝大・有名私立など高学歴の受験者のなかでの倍率ということを忘れてはいけません。
偏差値の低い大学生はそもそも総合職を受験しません。
また、総合職も一般職も試験合格後、「官庁訪問」を経て採用となるため、採用者は最終合格者よりもさらに減ります。
(合格率はもっと低いということ)
※【最終合格者と採用者】
2023年度総合職試験最終合格者は、
総合職(院卒者試験):667人
総合職(大卒程度試験):1360人
総合職(大卒程度・教養区分):423人
合計2,137人です。
そのうち、官庁訪問を経て、最終的に採用になった受験生は、
総合職(院卒者試験):269人
総合職(大卒程度試験):506人
です(過年度試験の合格者で採用された者を含む)。
都道府県の合格率
つづいては、都道府県別の合格率(大卒程度・行政職)です。
複数の試験タイプがある場合は、最終合格者が最も多い区分の数値をピックアップしています。
※数値:各都道府県の採用情報ページの実施状況より引用
自治体 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
北海道 | 641 | 471 | 266 | 42% |
青森県 | 227 | ー | 90 | 40% |
岩手県 | 139 | 117 | 52 | 37% |
宮城県 | 330 | 165 | 63 | 19% |
秋田県 | 133 | 85 | 55 | 41% |
山形県 | 188 | 94 | 49 | 26% |
福島県 | 354 | 246 | 172 | 49% |
茨城県 | 381 | 218 | 128 | 34% |
栃木県 | 225 | 136 | 64 | 28% |
群馬県 | 334 | 180 | 86 | 26% |
埼玉県 | 1,034 | 772 | 339 | 33% |
千葉県 | 635 | 301 | 175 | 28% |
東京都 | 1,525 | ー | 626 | 41% |
神奈川県 | 616 | 577 | 195 | 32% |
新潟県 | 213 | 172 | 80 | 38% |
富山県 | 195 | ー | 79 | 41% |
石川県 | 168 | 100 | 73 | 44% |
福井県 | 148 | 92 | 58 | 39% |
山梨県 | 251 | 124 | 77 | 31% |
長野県 | 376 | 177 | 65 | 17% |
岐阜県 | 226 | 153 | 71 | 31% |
静岡県 | 285 | 197 | 94 | 33% |
愛知県 | 1,225 | 579 | 207 | 17% |
三重県 | 253 | 110 | 71 | 28% |
滋賀県 | 237 | 132 | 75 | 32% |
京都府 | 316 | 176 | 141 | 45% |
大阪府 | 1,032 | 552 | 169 | 16% |
兵庫県 | 458 | ー | 110 | 24% |
奈良県 | 222 | 175 | 118 | 53% |
和歌山県 | 223 | 180 | 70 | 31% |
鳥取県 | 136 | 60 | 33 | 24% |
島根県 | 57 | 49 | 28 | 49% |
岡山県 | 288 | 183 | 82 | 29% |
広島県 | 362 | 253 | 117 | 32% |
山口県 | 148 | 95 | 45 | 30% |
徳島県 | 299 | 119 | 79 | 26% |
香川県 | 222 | 98 | 65 | 29% |
愛媛県 | 204 | 129 | 55 | 27% |
高知県 | 157 | 86 | 46 | 29% |
福岡県 | 474 | 80 | 45 | 10% |
佐賀県 | 150 | 40 | 20 | 13% |
長崎県 | 151 | 88 | 55 | 36% |
熊本県 | 307 | 233 | 91 | 30% |
大分県 | 218 | 96 | 32 | 15% |
宮崎県 | 156 | 125 | 67 | 43% |
鹿児島県 | 213 | 101 | 44 | 21% |
沖縄県 | 709 | 170 | 108 | 15% |
合格率ランキングは以下のとおりです。
【合格率が高い都道府県(合格しやすい都道府県)】
順位 | 都道府県 | 合格率 |
---|---|---|
1位 | 奈良県 | 53% |
2位 | 福島県 | 49% |
3位 | 京都府 | 45% |
4位 | 石川県 | 44% |
5位 | 宮崎県 | 43% |
【合格率が低い都道府県(難しい都道府県)】
順位 | 都道府県 | 合格率 |
---|---|---|
1位 | 福岡県 | 10% |
2位 | 佐賀県 | 13% |
3位 | 大分県 | 15% |
4位 | 沖縄県 | 15% |
5位 | 大阪府 | 16% |
また、平均は以下の数値となりました。
平均合格率:31%
一番合格率が高い奈良県(合格率53%)は2人に1人が合格できましたが、一番合格率が低い福岡県(合格率10%)では10人に1人しか合格できませんでした。
特別区の合格率
つづいては、特別区の合格率(Ⅰ類・大卒程度・事務)です。
自治体 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
特別区(Ⅰ類・事務) | 7,668 | 5,955 | 3,013 | 39% |
政令指定都市の合格率
つづいては、政令指定都市(全20市)の合格率(大卒程度・行政職)です。
自治体 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
大阪市 | 1,129 | 387 | 260 | 23% |
名古屋市 | 1,473 | 562 | 146 | 10% |
京都市 | 296 | 194 | 86 | 29% |
横浜市 | 1,451 | 596 | 180 | 12% |
神戸市 | 226 | 156 | 45 | 20% |
北九州市 | 159 | 60 | 32 | 20% |
札幌市 | 807 | 279 | 188 | 23% |
川崎市 | 784 | 348 | 193 | 25% |
福岡市 | 511 | 108 | 65 | 13% |
広島市 | 362 | 293 | 110 | 30% |
仙台市 | 505 | 106 | 79 | 16% |
千葉市 | 420 | 194 | 112 | 27% |
さいたま市 | 645 | 391 | 182 | 28% |
静岡市 | 385 | 137 | 89 | 23% |
堺市 | 893 | 528 | 99 | 11% |
新潟市 | 178 | 120 | 47 | 26% |
浜松市 | 136 | 105 | 49 | 36% |
岡山市 | 179 | 130 | 62 | 35% |
相模原市 | 445 | 273 | 58 | 13% |
熊本市 | 277 | 126 | 63 | 23% |
政令指定都市では、
一番高い合格率 : 浜松市の36%
一番低い合格率 : 名古屋市の10%
平均合格率 : 22%
という結果でした。
【2023年度】公務員試験難易度(合格率)ランキング
都道府県と政令指定都市合わせての難易度(合格率)ランキング上位5位は以下のとおりです。
難易度が高い(合格率が低い)自治体ランキング
順位 | 自治体 | 合格率 |
---|---|---|
1位 | 福岡県 | 9.5% |
2位 | 名古屋市 | 9.9% |
3位 | 堺市 | 11.1% |
4位 | 横浜市 | 12.4% |
5位 | 福岡市 | 12.7% |
難易度が低い(合格率が高い)自治体ランキング
順位 | 自治体 | 合格率 |
---|---|---|
1位 | 奈良県 | 53.2% |
2位 | 島根県 | 49.1% |
3位 | 福島県 | 48.6% |
4位 | 京都府 | 44.6% |
5位 | 石川県 | 43.5% |
一番合格率が低い福岡県、一番合格率が高い奈良県、かなり差があります。
でも仕事内容は県職員行政職なので一緒、世間からみたら同じ公務員です。
どうしても公務員になりたい人で、特に居住地に制限がないなら、合格率が高い自治体を狙うのも作戦の一つだと私は思います。
公務員試験の合格率は30%
都道府県&政令指定都市の合格率の平均は「約30%」でした。
ざっくり、3人に1人が合格できる試験難易度ということがいえます。
例えば、資格試験の合格率をみると、
司法書士:約5%(令和5年度司法書士試験 受験者13,372人、合格者695人)
(引用:令和5年度司法書士試験の最終結果について)
税理士:約22%(令和5年度税理士試験 受験者32,893人、合格者7,125人)
(引用:令和5年度税理士試験結果)
行政書士:約14%(令和4年度行政書士試験 受験者46,991人、合格者6,571人)
(引用:令和5年度行政書士試験実施結果の概要)
となっています。
- 受験生のレベルが一緒ではない
- そもそも受験資格があり受験者のレベルが高い
など、一律に比較はできませんが、「行政書士や税理士になるよりは簡単」って感じで捉えておくといいですね。
公務員試験の知っておいたほうがいいポイント
ここでは、自治体の合格率を調べているなかで気づいたことや私の経験に基づく公務員試験のポイントを紹介します。
試験区分で倍率は全然違う(様々な試験タイプがある)
行政職の試験には、「一般枠」以外にも様々な試験タイプがあります。
- SPI型
- アピール型
- プレゼンテーション型
- 創造力型
- Uターン型
- 先行実施型
- 社会人型
- キャリア活用型
これらの試験は専門試験がなかったり、一般枠との併願もできることが多いため、とても人気で狭き門です(合格率が低い)。
申込者数にビビりすぎない(受験者は大幅に減る)
公務員試験の申込者数は多くなりがちですが、実際に受験する人は大幅に減ります。
申込して実際に試験を受けた人の割合(受験率)を調べたところ、
- 国・総合職 約78%
- 国・一般職 約70%
- 都道府県 約74%
- 政令指定都市 約73%
という結果でした。
受験しない理由としては、
- 併願のつもりで申し込んだけど結局受けなかった
- 申し込みしたけど、勉強が間に合わなかった
- 予定が入ってしまった
- 体調不良
- なんとなく申し込んでみた
などが考えられます。
公務員試験は無料で受験できるので、その点も影響していると思います。
そして、受験したとしても、「記念受験」が多いのも事実です。
そのため、実際の合格率よりは難易度が低いと推察されます。
地方より都市部のほうが合格率が低い?
私は「都市部の自治体は受験生が多いので合格率が低くなる」と思っていました。
しかし、調査してみると、地方でも合格率が低い自治体はたくさんあり、逆に都市部でも合格率が高い自治体もありました。
都市部は受験者は多いですが、その分多く採用している自治体があるので、合格率が高くなっています。
面接試験で落とされる受験生が結構いる
実は公務員試験では、筆記試験に合格しても面接試験で結構落とされます。
面接試験の合格率は、以下のとおりです。
- 国・総合職 約68%
- 国・一般職 約87%
- 都道府県 約61%
- 政令指定都市 約64%
筆記試験に合格しても、3人に1人ぐらいは不合格になっていることが分かります。
国は面接試験後に個別面接みたいな官庁訪問があるので、さらに落とされる受験生は多くなります。
合格者の出身大学&1次試験合格ライン
ここでは、合格者のデータとして、私の県庁時代の知り合いの出身大学を紹介します。(地方の県庁)
また、筆記試験を合格ライン(ボーダーライン)も紹介しますので、勉強の参考にしてください。
私の県庁時代の知り合いの出身大学(地方の県庁)
私の先輩・同期・後輩(地方上級で採用された人たち)39人分の出身大学を紹介します。
【行政職】
国立大学:地元国立大学2人、京都大学、東北大学、神戸大学大学院、金沢大学、筑波大学、横浜国立大学2人、新潟大学、群馬大学
私立大学:早稲田大学2人、中央大学4人、法政大学、中堅私立大学大学院(大学名忘れ)、中堅私立大学(大学名忘れ)
【技術職】
国立大学:地元国立大学(総合土木3人、建築、農業、林業2人)、東大(林業)、新潟大学(林業2人、建築)、名古屋大学(林業)、金沢大学(総合土木)、宇都宮大学(林業2人)、三重大学(林業)
私立大学:北里大学(獣医師)、日本大学(薬剤師)
【参考記事↓】
【公務員試験合格率】国立大学と私立大学どっちが高い?(県庁職員の出身大学名も紹介!)
【参考】1次試験合格ライン
1次試験の合格ライン(合格者最低得点)はいくつかの自治体で公表されています。
私が調べたところ、以下のようになりました。
【都道府県行政職(大卒程度)の1次試験合格ライン(得点率)】
- 長野県 50%
- 愛媛県 49%
- 高知県 48%
- 徳島県 57%
- 佐賀県 56%
- 大分県 53%
- 熊本県 44%
- 沖縄県 54%
- 千葉市 55%
※得点率は教養+専門の数値
【参考記事↓】
公務員試験(教養・専門)の平均点やボーダーライン(合格者最低点)はどのくらい?
勉強法
簡単に公務員試験の勉強法について、紹介します。
勉強法(独学・通信講座・予備校)
公務員試験の勉強法には、
- 独学
- 予備校(通信講座)
- 予備校(通学)
があります。
それぞれの勉強法を比較すると以下のようになります。
独学 | 通信講座 | 予備校(通学) | |
---|---|---|---|
費用 | 安い(1~3万円程度) | まあまあ安い(5~30万円程度) | 高い |
面接対策 | ー | ○ | ○ |
論文対策 | ー | ○ | ○ |
担任制 | ー | △ | ○ |
質問受付 | ー | ○ | ○ |
向いてる人 | 独学が得意 とにかく安く済ませたい | 講義形式で勉強したい 面接対策までサポートしてほしい | 近くに予備校がある 独学が苦手 モチベ維持が苦手 面接が苦手 |
【参考記事↓】
【公務員試験(教養試験)】合格できる人の独学の方法9選(教養の勉強は独学で十分)
公務員試験独学受験生必見!最新のおすすめ参考書10選(教養試験・大卒程度)
おすすめの予備校(通信講座・通学)
予備校といってもたくさんあるので、私のおすすめを紹介します。
【参考記事↓】
【公務員予備校11社比較】もう迷わない!おすすめ「通信講座」はズバリここ!(元県職員監修)
まとめ
ここまで、
- 「公務員試験の難易度(合格率)」
- 「公務員試験で知っておいた方がいいポイント」
- 「合格者の学歴・合格ライン」
- 「勉強法」
を紹介してきました。
公務員試験の合格率が高く感じた人、低く感じた人、予想通りだった人、色々と感じ方があると思います。
受験生のなかで、万全の対策ができている人はあまり多くないと思います。
そのため、最後まで諦めずに努力し続けた人が報われる試験だとも言えます。
ぜひ、受験生には「頑張れは合格できる試験なんだな」と思って、試験勉強に励んでもらいです。
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