公務員試験に合格し採用となると、晴れて4月1日より公務員として働き出すことになります。
しかし、実はこの4月1日より9月1日までの間は「試用期間」という扱いになり、正式採用されていません。
今回の記事では、試用期間の基本、期間中の身分や給料、正式採用されないケースなどをご紹介したいと思います。
公務員の試用期間(条件付採用)とは?
国家公務員や地方公務員は以下の法律により試用期間などが定められています。
【目的】
競争試験などだけでは能力の見極めが難しいため、条件付で採用し、一定期間、実務を行った中で職務遂行能力を観察し、能力が確認された段階で正式採用とするもの。
【法律】
国家公務員法第59条(条件附任用期間)、地方公務員法第22条(条件付採用)、教育公務員特例法第12条(条件附任用)
【期間】
国家公務員・地方公務員は6ヶ月間(6ヶ月間中に勤務した日数が90日間に達するまで条件付採用期間は1年を超えない日まで延長できる)
ちなみに地方公務員の中でも教諭については1年間と長くなっています。
【正式採用の条件】
「6ヶ月間の職務を良好な成績で遂行したときに正式採用となる」とされています。
ただ、良好な成績といっても普通に上司から支持された仕事をしていれば大丈夫です。
試用期間は形式的なものと思ってもらって構いません。
正式採用にならないことはあるの?
ほぼ間違いなく正式採用になる
普通に仕事をしていれば分限免職(クビ)になることはありませんので心配はいりません。
ただし、懲戒処分レベルの非違行為やあんまりにも職務遂行能力がなく公務員不適合の場合は、容易に免職されてしまう身分ではあります。
正式採用にならないケース
ここで正式に採用とならないケースについて紹介します。
以下の内容は、大阪府の「自治大阪H30年5月号 相談室 条件付採用期間中の職員の分限免職について」より引用しています。
まもなく採用から6ヵ月を経過するが、X市長はAに対して分限免職の処分を行うべきか。または、現時点では処分を見合わせ、条件付採用期間を延長すべきか。
分限免職とはようは「クビ」のことです。
分限免職を行うにあたっては十分に「裏付け」が必要だとされています。
裏付け→【勤務実績に関する詳細な記録】
- 事務処理上の過誤
- 職務遂行全般にわたる態度
- 上司の職務命令に対する態度
などを個別に記録し、評価し、分限免職するか判断します。
給料や福利厚生などは他の職員と違う?
試用期間中の職員の身分の取扱いについては、ほとんど正式採用の職員と変わりません。
免職(クビ)になりやすい?
試用期間中は身分保障を与えられていませんが、自治体独自に条例を設けた場合は身分保障を受けることができます。
試用期間中は、地方公務員法で定められている分限事項が適用除外となっているため、任命権者がいつでも職員の意向に反して、免職(クビ)ができる状態です。
ただし、任命権者が好き勝手に免職ができるわけではなく、あくまで地方公務員法の平等取扱の原則や公正の原則が適用されています。
給与やボーナスや昇給は?
試用期間中といっても勤務内容が正式採用職員と全く一緒であるため、同一の給与となります。
転任、昇任、降任も禁止されていませんが、勤務成績の良好さが確認できていない状態なので、事実上、試用期間中は昇任や昇給の対象とならないと考えられています。
勤務時間、休暇、各種手当は?
正式採用職員と全く一緒の扱いとなります。
退職手当の期間に算定されますし、共済組合や労働組合にも加入できます。
車の運転には制限あり
試用期間は公用車の運転はできない、自家用車での通勤は禁止されている自治体が多いです。
公用車が運転できないので、出張するときは多忙な上司にお願いして運転手をしてもらうことになります。
(正直頼みづらかったです、、、。)
まとめ
以上、公務員の試用期間についてご紹介してきました。
よっぽどのことがない限り、10月1日から正式採用となります。
ただし、事例にも挙げましたが、資質・能力・性格等に欠陥があって職務遂行ができないと判断された場合は、免職(クビ)になることもあります。
新規採用者の方には、試用期間中であることを忘れずに、気を引き締めて公務員としてスタートを切ってもらいたいと思います。
他にも公務員の記事を書いていますので、良かったらご覧ください。