近年、「育児休業」を取得する男性国家公務員が急増しています。
この記事では、男性国家公務員の育児休業の制度、収入面や出世に不利益がでるのかについてシンプルにご紹介します。
- 育児休業は「3年間」取得可能、ただし「無給」
- 無給中は共済組合から「育児休業手当金」が支給される(最大約67%)
- 育児休業以外にも育児サポート制度があり(短時間勤務など)
- 育児休業取得による不利益は明確に禁止されている(昇給・昇任に影響なし)
男性国家公務員の育児に関わる制度
育児休業
子が3歳になるまで、休業できます。
給与は支給されませんが、共済組合から一定の育児休業手当金が支給されます。
なお、1人の子につき1回取得できます。
育児短時間勤務
子が小学生になるまで、通常勤務よりも短い時間で勤務ができます。
勤務時間は以下の4つから選択します。
- 月~金曜日に1日3時間55分勤務
- 月~金曜日に1日4時間55分勤務
- 月~金曜日のうちの3日7時間45分勤務
- 月~金曜日のうちの3日に、2日7時間45分、1日3時間55分勤務
給料は勤務時間で決まり、手当(扶養手当、住居手当など)は通常勤務と同額支給されます。
育児時間
子が小学校になるまで、始業後あるいは終業前に2時間以内勤務をしなくてもよくなります。
その分給料は減額されますが、扶養手当・通勤手当・住居手当等は減額されません。
育児参加のための休暇
妻の産前産後期間中に5日間与えられる休暇です。
有給扱いで給与は満額支給されます。
配偶者出産休暇
妻の出産に伴う入院や出産時の付添等を行う場合に2日間与えられる特別休暇です。
有給扱いで給与は満額支給されます。
保育時間
生後1年未満の子を育児する職員が授乳や託児所等への送迎を行う場合に与えられる休暇です。
1日2回それぞれ30分以内取得可能で、有給扱いで給与は満額支給されます。
子の看護休暇
子が小学生になるまでの間、看護する必要があるときに与えられる休暇です。
年5日取得でき、有給扱いとなります。
超過勤務の免除
子が3歳になるまでは超過勤務を免除されます。
早出遅出勤務
子が小学生になるまでの間、1日の勤務時間を変更することなく、始業・終業時刻を変更して勤務できます。
男性国家公務員はどのくらい育児休業期間を取得している?
令和4年度に新たに育児休業を取得した職員の休業期間の平均は、男性2.0月。
休業期間の分布について、1月以下の割合が低下する一方、1月超の割合が増加。
引用:「国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ及び男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の1ヶ月以上取得促進に係るフォローアップについて」
育児休業中の収入面
給与
育児休業中は「無給」となります。
給料のほか諸手当もでません。
ただし、後述しますが、共済組合から手当がでますので、収入がゼロということにはなりませんので安心してください。
育児休業手当金(共済組合)
育児休業の無給期間中は、共済組合から「育児休業手当金」が支給されます。
【支給期間】
- 子の「1歳」の誕生日の前日まで
- 1歳の時点で保育所に入所できない場合など特別な事情がある場合は「1歳6ヶ月」まで
- 1歳6ヶ月時点で未だ同事情がある場合はさらに「2歳」になるまで
父母ともに育児休業を取得する場合は子が1歳2ヶ月になるまでの間の1年間。
【支給額】
休業開始後180日までは給与の約67%、それ以降の期間は約50%となっています。
ボーナス(期末・勤勉手当)
基準日(6月1日又は12月1日)以前6ヶ月以内に勤務した期間がある場合に、その期間に応じて支給されます。
期末手当は休業期間を2分の1除算、勤勉手当は休業期間を全期間除算してボーナスを計算します。
ただし、休業期間が1ヶ月以下の場合は全額支給されます。
退職手当
全日を勤務しなかった月を対象に、その2分の1(子の1歳の誕生日の前日の属する月までの期間は3分の1)の月数を勤続期間から除算されます。
長期間育児休業を取得すると退職手当はその分減りますよということです。
社会保険料
申請すれば休業期間中は免除となります。
年次休暇
年次休暇については、年の途中から復職した場合でもちゃんと20日間付与されます。
諸手当
諸手当については育児休業中は支給されません。
育児休業を取得すると出世にひびく?
男性公務員が1番心配なのは、「育児休業を取得すると出世に響くのか」だと思いますが、内閣官房内閣人事局「イクメンパスポート2021改訂版」では以下のように回答されています。
まとめ~これからは育児休業を取得しないと出世しないかも?~
ここまで男性国家公務員の育児休業についてご紹介してきました。
育児休業取得での不利益は明確に禁止され、昇給等にも影響せず、また収入面も共済組合から手当金が支給されます。
ここまで育児休業が取れる環境が整っている上に、政府が数値目標を掲げ育児休業取得を推進している以上、今後は取得しない職員のほうが人事評価に悪影響を与える可能性もあるのではと個人的には勘ぐってしまいます。
民間企業の男性社員の育児休暇取得率は17.13%(厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」)と公務員に比べるとまだまだ低調です。
男性公務員の育児休業取得率は3割を超え過去最高を記録しましたが、その取得した期間をみると、約7割が1ヶ月以下となっていて、その内訳は2週間以上1月以下は約50%、5日未満も約3%います。
今後、育児休業を取得した若年層世代が管理職などに上がっていけば、自然と部下にも育児休業を勧めるだろうし、取得した人でも問題なく出世した実績がでてくれば育児取得率も自然と増加するのではと私は考えています。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
参考サイト:内閣官房「男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進」
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