今回の記事では公務員の「せどり」と「副業」について、シンプルにご紹介します。
なお、本記事を書いている伯爵さんは、県庁職員(約9年)及び学校事務職員(約1年)の経歴をもっています。
- 国家公務員の「せどり」は禁止!ヤフオクやメルカリにも注意が必要!
- 公務員が副業を行う際は、事前に職場に確認し、許可を得てから行うべき!自己判断厳禁!
公務員の副業は「グレーゾーン」化
公務員の兼業に関しては、法律があり「あらゆる兼業を制限」されていて、禁止あるいは許可がなければ原則行うことはできません。
細かい法律の話は別記事の「【公務員副業】兼業は許可制。ただし、具体的な許可基準がない。」をご覧ください。
ただし、法律はありますが、実際は公務員の副業については「グレーゾーン」となっている部分があります。
その一番の原因は「副業ごとの基準」がないためです。
そのため、アフィリエイトはダメ、YouTubeは良い、ココナラはダメ、クラウドワークスは良いなど、しっかり判別できないため、唯一ある法律を拡大解釈したり、厳しく捉えたり、個人で判断してしまう公務員がいるなど「グレーゾーン」化してしまっています。
ネットを見ても副業について賛否両論さまざまな意見がありますし、現役公務員ブロガーで広告を貼り付けている方も見かけます。
ちなみにですが、不動産または駐車場の賃貸はなぜか詳しく法律で基準が定まっています。
【不動産又は駐車場の賃貸】
独立家屋・・・5棟以上。
アパート・・・10室以上。
土地・・・10件以上。
駐車台数・・・10台以上。
賃貸料収入が年額500万円以上
等の場合は、「所轄庁の長等の承認を得た場合には、自営兼業を行うことができる」となっています。
「せどり」は禁止!メルカリやヤフオクには注意!
グレーゾーンが多い公務員の副業ですが、人事院が令和2年3月に発行した「義務違反防止ハンドブック」でいわゆる「せどり」については、はっきり禁止と書かれています。
このように人事院がはっきりと禁止と言っています。
ここで、注目したいのが「自営に該当し、禁止」です。
「せどり」が自営にあたるなら、ブログアフィリエイトだって「定期的に・継続的に」「不特定多数」「営利追求」に該当するので、「禁止」とみなすのが筋でしょう。
バレると場合によっては懲戒処分
兼業・副業関係もバレると懲戒処分の対象となる場合があります。
例えば、
- 家族から賃貸不動産を含む全財産を相続し、アパート及び駐車場の賃貸を行っていたにもかかわらず、自営兼業の承認申請を怠っていた → 減給処分
- 任命権者の許可を得ることなく、勤務時間外に、飲食店でアルバイトを行い、報酬を得ていた → 減給処分
(引用元:人事院「義務違反防止ハンドブック」)
このほか公務員の懲戒免職の事例を知りたい方を以下の記事もよかったらご覧ください。
公務員の懲戒免職(クビ)などの事例(受験生、採用予定者、試用期間中も要注意)
まとめ ~副業をしたい場合は職場に事前確認・許可を受けるべき!自己判断厳禁!~
公務員が副業で報酬を得る場合は、基本的に「許可制」だと思ってください。
人事院の「義務違反防止ハンドブック」の兼業について簡単に整理すると、
「役員兼業」 → 禁止 (国公法第103条)
「自営兼業」 → 禁止 (ただし、一定規模以上の不動産又は駐車場の賃貸、太陽光電気の販売は承認を得れば行うことが可能)(国公法第103条)
「役員・自営以外のあらゆる有報酬兼業」 → 許可制 (国公法第104条)
となっています。
ポイントは行いたい副業が「自営兼業」か「役員・自営以外のあらゆる有報酬兼業」のどちらに該当するかです。
そして、結論として、その判断は自分で行うのではなく「許可権限をもつ管理職の判断に委ねる」ことが大切です。
法律の文言を自分で拡大解釈して、セーフと決めつけて許可を取らずに勝手に行っている現役公務員がいますがかなり問題だと思います。
実際に、懲戒処分の事例はたくさんあります。
最後に、国公法第104条の兼業に該当する場合の許可基準の中に、
「国家公務員としての信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるおそれがある」
と認められるときは不許可となるとあります。
例えば、自分が問題ないと思ってブログを書いていたとしても、世の中には様々なご意見をお持ちの方々がいます。
その不特定多数の人の一部分でも、不信感を抱けばダメということです。
その点からいうと、公務員がブログで稼いだり、YouTubeなどで稼ぐことは法改正がない限り私はあまり良くないのではと思います。
公務員でこれから副業をしようと計画している人は、リスクを理解した上で検討してみてください。
なお、今回の記事はあくまで国家公務員の場合です。
地方公務員は自治体ごとに決まりがありますので注意してください。
また、「資産運用」は自営のような労働性の性質ではありませんし、国公法第103条第3項「株式所有の報告」・国家公務員倫理法第7条第1項「株取引等報告書提出」が定められているので、株式投資が禁止されていないことは明白です。