公務員試験の合格を目指す受験生にとって、予備校選びは合格への大きな鍵となります。
しかし、数ある予備校の中でどこが本当に強いのか、合格実績の見極めは意外と難しいものです。
そこで、本記事では、公表されている最新の合格実績をもとに、主要な公務員予備校10社を徹底比較します。
合格者数や合格率、各予備校の特徴も含めて解説するので、予備校選びに迷っている方はぜひ参考にしてください。
- 各予備校の合格実績には「実人数」と「延べ人数」が入り混じっていて、どの予備校が最も合格者を輩出しているかは分からない
- 合格者数よりも「合格率」に着目
- 「合格率」は5社のみ公表
【執筆者】
公務員予備校の合格実績を比較する意味
合格実績は、その予備校がどれだけの受験生を合格に導いてきたかを示す信頼性の指標です。
しかし、単純に合格者数が多ければ良いというわけではありません。以下のポイントを理解しておくことが重要です。
合格実績を見る際の3つのポイント
- 「実人数」と「延べ人数」の違い
- 実人数:同一受験生を1回のみカウント。
- 延べ人数:同一受験生が複数の試験に合格しても、それぞれカウントされる。
- 注意点:延べ人数は合格者数を多く見せる傾向があるため、注意が必要です。
- 対象とする試験種別の違い
- 国家総合職、国家一般職、地方上級、市役所など、各試験で難易度や受験者層が異なる。
- 合格率が高くても対象となる試験が異なれば単純比較は難しい。
- データの信頼性
- 公表している合格実績が実際の合格率を正確に反映しているかは、各予備校の透明性に依存します。
- 一部の予備校はデータを公開していないため、比較が困難な場合もあります。
【10社比較】公務員予備校の合格実績

私が合格実績(合格者数or合格率)を確認できた予備校は、
- 大原
- TAC
- 伊藤塾
- 大栄
- 東京アカデミー
- EYE
- アガルート
- クレアール
- ユーキャン
- LEC
の10社になります。
それでは順番にみていきましょう。
参考までに各予備校のHPのURLも貼っておきますので、ご利用ください。
目安として、国家公務員と地方公務員の合格率を紹介しておきます。
- 国家公務員一般職(大卒程度):43%(受験者数17,463人、合格者数7,557人)
- 都道府県職員(大卒程度):28%(受験者数72,807人、合格者20,112人、採用者13,108人)※採用者率18%
(参考:人事院「2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況」、総務省「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」)
大原
公務員1次・筆記試験合格率:95.5%(全国専門課程 受験者5,605名中合格者5,357名)
公務員1次・筆記試験延べ合格者:20,202名(全国専門課程)
2023年度公務員行政事務系採用試験最終合格者実人数:3,055名(※大原生)
※大原生:全国大原グループの公務員講座および警察官・消防官講座(公務員採用試験に合格するための授業、模擬試験等がすべて含まれたコース)で学習された方を対象
【特徴】:通学型での徹底した指導が強み
(HP:資格の大原 )
TAC
2024年度最終合格者累計延べ人数:5,809名(※公務員講座生)
※公務員講座生:公務員試験対策講座において、目標年度に合格するために必要と考えられる、講義、演習、論文対策、面接対策等をパッケージ化したカリキュラムの受講生。単科講座や公開模試のみの受講生は含まれていない。
2024年度最終合格者累計実人数:3,099名(※公務員講座生)
自治体別最終合格者占有率(2023年度)
- 特別区Ⅰ類(事務):3.9人に1人がTAC・Wセミナー生
- 東京都Ⅰ類(行政一般方式):3.0人に1人
- 横浜市(大卒程度事務):4.3人に1人
- さいたま市(大卒程度行政事務):4.5人に1人
- 愛知県(行政Ⅰ):3.5人に1人
- 名古屋市(第Ⅰ類事務行政):2.9人に1人
など
【特徴】:全国展開の大手予備校で、論文や面接対策が充実
(HP:TAC)
伊藤塾
2024年国家総合職内定率:80.2%(本科講座受講生81名のうち内々定確認65名)
2024年国家一般職(行政区分)最終合格率:90.9%
【特徴】:総合職対策に強く、少人数制の手厚い指導
(HP:伊藤塾 )
大栄
2023年最終合格実績延べ人数:1,711名
2022年1次試験合格率:75.8%※
(※講座受講70%以上かつ模試全6回かつ2次対策全7回受講者の合格率)
2022年2次試験合格率:71.4%※
(※1次試験合格者で2次試験対策講座アウトプット編模擬面談1回以上実施者の合格率)
【特徴】:実践的な模擬面談やアウトプット重視
(HP:資格スクール大栄 )
東京アカデミー
2022年度公務員試験最終合格者実人数:2,916名
【特徴】:通学型での対面指導に強み
(HP:東京アカデミー)
EYE
2024年度最終合格率:85.1%(実人数 297名合格/349名受験中)
2024年度一次試験合格率:97.1%
【特徴】:担任制度が充実、講師との距離が近い
(HP:EYE)
アガルート
2024年内定実績:189名
- 国家総合職10名(厚生労働省・国土交通省)
- 国家専門職31名(国税専門官・裁判所事務官など)
- 国家一般職36名(金融庁・農林水産省・総務省など)
- 県庁51名(東京都・神奈川県・埼玉県・愛知県など)
- 市役所・村役場・警察消防76名(特別区・さいたま市・横浜市・川崎市など)
- 国立大学法人5名(筑波大学など)
1年で合格者数3倍(2022年70名→2023年210名→2024年189名)
内定率:全体約75%、大学生約80%
【特徴】:オンライン特化型で短期間合格を目指せる
(HP:アガルート)
クレアール
2023年合格者実人数:313名
【特徴】:動画講義とオンラインサポートが充実
(HP:クレアール)
ユーキャン
過去10年合格者数:1,099名
【特徴】:独学ベースの通信講座に強み
(HP:ユーキャン)
LEC
2024年合格者延べ人数:3,818名
【特徴】:長年の実績と多彩な講座ラインアップ
(HP:LEC )
公務員予備校合格実績比較表
予備校名 | 合格実績 |
---|---|
大原 | 最終合格(実人数):3,055名 |
TAC | 最終合格(実人数):3,099名 |
伊藤塾 | 最終合格率:90.9% |
大栄 | 最終合格率:71.4% |
東京アカデミー | 最終合格(実人数):2,916名 |
EYE | 最終合格率:97.1% |
アガルート | 最終合格率:80% |
クレアール | 最終合格(実人数):313名 |
ユーキャン | 過去10年最終合格:1,099名 |
LEC | 最終合格(延べ人数):3,818名 |
実人数と延べ人数が混じっているので、「どこの予備校が一番合格輩出数が多い」のかは分かりません。
また、通学タイプ・通信講座タイプなど受講スタイルも各予備校で異なります。
としても、私の肌感覚としては、各予備校でとんでもなくすごく差がついているという感じはしませんでした。
ちなみに、私が小中学校事務職(地方の県)に転職した際の同期たち(約20人)のなかには、大原専門学校生が4~5人いました。
合格率を公表している主要な公務員予備校(5社)
公務員予備校の中で、合格率を公式に公表しているのは以下の5社のみです。
合格率を公開していることは、その予備校が合格実績に自信を持っている証拠ともいえます。
- 大原
- 伊藤塾
- EYE
- 大栄
- アガルート
ただし、合格者数が多くても合格率が低ければ意味がありません。
そのため、合格実績を評価する際は、単なる合格者数だけでなく、合格率にも注目することが重要です。
また、あえて合格率を公表していない予備校もありますが、それが必ずしもその予備校が劣っているというわけではありません。
合格率は一つの指標に過ぎず、講師の質、サポート体制、学習環境なども重要な要素となります。
大原の合格実績
大原 の合格率は
となっています。
ただし、これは全国専門課程の学生さんの数値で、専門学校に通学する必要があり、お金や時間に余裕がある人でなければ厳しいという制約があります。
(もちろん、全ての予備校の通学タイプに言えることですが)
それを加味したとしても、95.5%は驚異的です。
ただし、最終合格率はHPを見る限り確認できませんでしたので、内定率が気になるところではあります。
※HPはこちら→「資格の大原」
伊藤塾の合格実績
伊藤塾の合格率は、
となっています。
伊藤塾は総合職の講座に定評があり、HPからもその自信が伝わってきました。
(自信があるからこそ、合格率を公表しているのだと思います)
総合職の採用を希望される方は、伊藤塾を優先して検討してみてもいいかもしれませんね。
総合職だけでなく、国一般職や地方上級などにも強いです。
2024年国家一般職(行政)最終合格率:90.9%
※HPはこちら→「伊藤塾」
EYEの合格実績
EYEの合格率は
となっています。
EYEさんの特徴としては、担任・講師陣のサポートが非常に手厚いということ。
合格者の声としても、「これだけ受講生と担任との距離が近い予備校はない」という声があがっています。
※HPはこちら→「EYE」
大栄の合格実績
資格スクール大栄 の合格率は
2022年1次試験合格率:75.8%(※1)
2022年2次試験合格率:71.4%(※2)
となっています。
(※1:講座受講70%以上かつ模試全6回かつ2次対策全7回受講者の合格率)
(※2:1次試験合格者で2次試験対策講座アウトプット編模擬面談1回以上実施者の合格率)
大栄では、通学講座とオンライン講座を選んで受講することが可能です。
オンライン講座を選んでも、通学講座と同じサポートが自宅で受けられます。
(オンライン講座が心配な方は、事前に無料体験も実施されているので資格スクール大栄 HPから申し込みをしてみてください。)
また、大栄さんではWEB資料請求した方に「公務員受験ガイドブック」をプレゼントしています。
ぜひ手に入れて参考にしてみてください。
(転載元:資格スクール大栄 HP)
アガルートの合格実績
- 内定実績:189名(国家総合職、専門職、一般職など)
- 内定率:75%(大学生は80%)
- 特徴:オンライン特化型で、短期間での合格を目指す受講生に最適。動画講義やオンライン質問サポートが充実しており、忙しい社会人や地方在住者にも対応。
※HPはこちら→「アガルート」
合格率を公表している予備校は、合格に対する自信の表れですが、これはあくまで一つの指標に過ぎません。
他にも講師の質、カリキュラムの充実度、サポート体制、費用対効果など、総合的に評価することが重要です。
また、合格率が高いからといって、必ずしも全ての受験生にとって最適な選択であるとは限りません。
各予備校の強みや特徴をしっかりと理解した上で、自分に合った学習スタイルや環境を選ぶことが、公務員試験合格への近道です。
(参考)大学生協公務員講座の合格実績
参考ですが、公務員予備校のほかに、各大学の生協が実施している「大学生協の公務員講座」があります。
こちらの合格実績は以下のとおりとなっています。
【2023年度公務員試験最終合格実績(全国の大学生協講座全体の数)】
合格総数9,511件
合格者5,089人
内訳:国家総合職437人、国家一般職2,226人、都道府県2,258人、政令指定都市/県庁所在地1,134人、市町村職員1,077人など
(数値引用:大学生協オリジナル公務員試験対策講座)
【参考記事↓】
公務員予備校に入っても落ちる人の特徴3選
公務員予備校に通っても、必ずしも全員が合格できるわけではありません。
むしろ、高い授業料を支払っても不合格に終わるケースも少なくありません。
ここでは、予備校に通っても合格できない典型的な特徴を3つ紹介します。
1. 高い授業料を払っただけで満足してしまう人
授業料を払ったことで安心してしまい、「予備校に通っているから大丈夫」と思ってしまう人は要注意です。
予備校はあくまでサポート機関であり、合格を保証するものではありません。
授業や講義に参加するだけでなく、復習や問題演習、自主学習が不可欠です。
2. 授業に参加するだけで合格できると思っている人
授業でインプットするだけでは不十分です。
公務員試験では、知識の暗記だけでなく、その知識を実際の問題に応用する力が求められます。
授業で学んだことをいかに定着させ、実践で活用できるかが合否を分けるポイントです。
特に面接対策や論文対策は、授業だけでは不十分な場合が多く、実践的な練習が必要です。
3. 筆記試験にばかり集中している人
筆記試験に合格することは大切ですが、公務員試験は筆記だけでなく面接や集団討論も重要です。
筆記対策にばかり時間を割いてしまい、面接対策を軽視する人は、不合格のリスクが高まります。
面接はコミュニケーション能力や人間性が問われるため、日頃からの準備が必要です。
予備校に入っただけで合格できると思うのは非常に危険です。
むしろ、予備校を有効活用するためには、自主的な学習と実践練習が不可欠です。
授業を受けるだけで満足せず、徹底的なアウトプットと反復練習を心がけましょう。
私は予備校を使わなくても独学で合格できた(独学を避けたほうがいい人11選)
ここまで公務員予備校の合格実績について解説してきましたが、実は私は独学で公務員試験に首席(地方上級技術職)と4位(社会人・小中学校事務枠)で合格した経験があります。
そのため、必ずしも全ての受験生に予備校が必要なわけではありません。
高いお金を払って予備校に行かなくても、やり方次第では独学で合格は可能です。
ただし、独学での合格が難しい人もいます。
以下の特徴に該当する場合は、予備校の活用を検討することをおすすめします。
【独学を避けたほうがいい人の特徴11選】
- 独学が苦手な人 – 一人で勉強することに抵抗がある、孤独に耐えられない人
- 講義形式で学びたい人 – 自分で計画を立てるのが苦手な人
- 要領が悪い人 – 効率的な学習方法が分からない、無駄な時間が多い人
- 勉強時間を確保できない人 – 日常の仕事や家事で勉強時間が取れない人
- 勉強法に自信がない人 – 効率的な学習方法やテクニックを知らない人
- 質問がしたい人 – 周りに質問できる人がいない環境で学ぶのが難しい人
- モチベーション維持が苦手な人 – 継続して勉強するのが苦手な人
- 面接が苦手な人 – 面接対策に対する不安が大きい人
- 高学歴ではない人 – 独学で結果を出せる学力が不足している人
- 基礎学力が不足している人 – センター試験や共通テストで70%以上の得点が難しい人
- 多忙な社会人 – 長時間の学習が難しい人、仕事と勉強の両立が困難な人
これらの特徴に該当する人は、予備校や通信講座の利用を検討する価値があります。
高い授業料がネックになるかもしれませんが、公務員になれば早期に元が取れる可能性が高いため、将来への投資と考えることも大切です。
予備校を利用するかどうかは個人の状況や学力、目標に応じて判断するべきですが、独学が難しいと感じる場合は、予備校の活用も選択肢に入れてみてください。
まとめ
公務員試験の合格を目指すにあたって、予備校選びは重要な要素ですが、それだけが合格への決定打ではありません。
本記事では、主要な公務員予備校の合格実績や特徴、さらには予備校に入っても落ちる人の共通点や独学での合格が難しい人の特徴について解説しました。
予備校選びのポイント
- 合格実績だけでなく、合格率や受講スタイルにも注目することが大切。
- 各予備校は通学型と通信型が混在しており、自分に合った学習スタイルを選ぶことがポイント。
- 実人数と延べ人数の違いに注意し、正確な合格実績を把握する。
- 合格率を公表している予備校は、合格に対する自信の表れ。
予備校に入っても合格できない人の特徴
- 自主学習を怠る人
- 授業を受けるだけで満足してしまう人
- 筆記試験対策に偏っている人
独学が難しい人の特徴
- モチベーションの維持が苦手な人
- 質問ができる環境がない人
- 基礎学力が不足している人
- 忙しくて勉強時間が確保できない人
最終的な判断
予備校に通うか独学で挑戦するかは、個々の状況や学力、目標に応じて異なります。
費用はかかるものの、予備校は効率的に学習を進めるための強力なサポートになります。
一方で、独学でも十分に合格可能なケースもあるため、自分の強みや弱みを正確に把握し、最適な学習方法を選ぶことが大切です。
今後のステップ
- 自分に合った予備校や通信講座を選ぶ
- 合格実績だけでなく、講師の質やサポート体制も考慮する
- 独学を選ぶ場合は、効率的な学習計画とモチベーション維持が重要
ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆さんが公務員試験に合格し、理想のキャリアを実現できることを心から応援しています。
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