公務員試験の受験を考えている方の中には、
「併願できるおすすめ先を知りたい」
「独立行政法人って、公務員と何が違うの?」
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
私は元県職員として9年間、公務員として働いてきましたが、在職中も周囲には「独立行政法人」へ転職・併願受験した同僚が何人もいました。
実はこの「独立行政法人」、公務員試験の併願先として非常に相性が良いのです。
その理由は3つあります。
公務員試験と出題範囲・筆記形式が近い
年齢制限がゆるく、社会人や再挑戦組にもチャンスがある
採用法人数が多く、採用時期も分散しているため、併願がしやすい
しかも、近年は「安定+やりがい」を両立できる職場として人気が上昇中。
給与・福利厚生も公務員並みの水準にある法人が多く、「民間ではなく、もう一つの安定キャリア」として注目されています。
本記事では、次のような悩みを解決します。
公務員試験と併願できる「独立行政法人」を知りたい
公務員系と非公務員系の違いを理解したい
自分に合った併願戦略を立てたい
元県職員(9年)かつ公務員試験アドバイザーの立場から、実際の制度・試験傾向・併願パターンをわかりやすく解説します。
また、社会人や独学受験生の方でも実践できるスケジュール戦略も紹介します。
この記事を読むことで、「どの独立行政法人を併願すべきか」「どう準備を進めるか」が明確になります。
あなたの合格戦略をより確実にする一助となれば幸いです。
- 独立行政法人には、公務員系と非公務員系がある
- 公務員系独立行政法人の職員 → 公務員試験
- 非公務員系独立行政法人の職員 → 法人独自の採用試験
- 独立行政法人では中途採用が積極的に行われていて年齢制限が緩い → 併願や転職先におすすめ
この記事を書いてる人

「独立行政法人」とは?基本を理解しよう
定義と制度の枠組み(独立行政法人通則法)
まず、「独立行政法人」とは何かを明確にしておきましょう。
独立行政法人は、国の仕事のうち「国が直接行うほどではないが、確実に実施すべき事業」を、効率的に遂行するために設立された法人です。
独立行政法人通則法 第2条
この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの(以下この条において「公共上の事務等」という。)を効果的かつ効率的に行わせるため、中期目標管理法人、国立研究開発法人又は行政執行法人として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。
つまり、民間企業のように独立性を持ちながら、国の方針に基づき公共性の高い事業を行う「国の特別法人」といえます。
代表的な例には、国立病院機構・宇宙航空研究開発機構(JAXA)・理化学研究所・日本学生支援機構(JASSO)などがあります。
公務員系 vs 非公務員系 ― 身分と待遇の違い
独立行政法人の職員には、実は2つのタイプがあります。
| 区分 | 身分 | 採用方式 | 主な法人例 |
|---|---|---|---|
| 公務員系独立行政法人 | 国家公務員 | 国家公務員試験(総合職・一般職)経由 | 造幣局、国立公文書館、農林水産消費安全技術センターなど |
| 非公務員系独立行政法人 | 民間職員(非公務員) | 各法人独自の採用試験 | JAXA、日本学生支援機構、労働者健康安全機構など |
公務員系の場合は「国家公務員法」の適用を受けるため、身分や給与体系は国の公務員とほぼ同等です。
一方、非公務員系は「独自の給与規定」や「民間型の昇進制度」を持つなど、より柔軟な組織運営を行っています。
最新データで見る独立行政法人の数・採用状況
2025年現在、日本には86の独立行政法人があります(令和7年4月1日時点)。
そのうち、国家公務員が勤務する「公務員系独法」は7法人です。
| 分類 | 法人数 | 主な所管省庁 |
|---|---|---|
| 公務員系 | 7法人 | 総務省、財務省、農林水産省、防衛省など |
| 非公務員系 | 79法人 | 文部科学省、厚生労働省、国土交通省など |
民間企業のように通年採用を行う法人も多く、年齢制限も「35歳以下」「40歳未満」といった緩やかな条件が目立ちます。
社会人経験者・第二新卒・地方在住者にとっても受験チャンスが多いのが大きな特徴です。
独立行政法人一覧(令和7年4月1日現在)
○がついている法人は、国家公務員が働いている公務員系独立行政法人になります。
| 所管 | 独立行政法人 |
|---|---|
| 内閣府 |
|
| 消費者庁 |
|
| 総務省 |
|
| 外務省 |
|
| 財務省 |
|
| 文部科学省 |
|
| 厚生労働省 |
|
| 農林水産省 |
|
| 経済産業省 |
|
| 国土交通省 |
|
| 環境省 |
|
| 防衛省 |
|
出典:総務省HP「独立行政法人等」データ集 独立行政法人一覧(令和7年4月1日現在)
採用形態の特徴:柔軟な「中途採用」と「職種多様性」
独立行政法人の採用形態は、公務員試験と異なり「書類選考+面接」が中心です。
職種は研究職・技術職・事務職・福祉職など幅広く、実務経験を評価する法人も多くあります。
特に以下のような方に向いています。
公務員試験の勉強を続けながら、安定した就職口を確保したい人
民間企業での経験を活かしながら、公共性の高い仕事に関わりたい人
年齢やキャリア制限で公務員試験の受験資格が難しい社会人
💡 ポイント
独立行政法人は「公務員の安定性」と「民間の柔軟性」を兼ね備えた働き方ができる場所。
「もうひとつの安定キャリア」として注目されています。
元県職員の視点:現場で感じた「独立行政法人」の存在感
私が県職員として林業分野に勤務していた際も、森林総合研究所などの独立行政法人と連携する場面が多くありました。
これらの法人は国の政策を専門的に支える立場にあり、研究・技術・支援業務を担う「縁の下の力持ち」的存在です。
また、現職の県職員が転職するケースもなくはありません。
特に中堅層(30代~40代)では、「研究に専念したい」「より専門性を活かしたい」という理由で独法への転職を選ぶ方もいました。
なぜ「併願先」として有力なのか?公務員試験受験生の視点から

公務員試験の併願とは?
「併願」とは、同時期に複数の自治体・機関・法人を受験することを指します。
公務員試験は自治体ごとに日程が異なるため、うまくスケジュールを組めば複数受験が可能です。
特に国家公務員・地方公務員・独立行政法人・大学法人などの試験を組み合わせることで、合格のチャンスを最大化できます。
独立行政法人を併願に組み込むことで、筆記・面接の練習機会を増やすと同時に、「合格保険」としての安心感も得られます。
独立行政法人を併願先に加えるメリット
① 試験内容が公務員試験と似ている
多くの独立行政法人(特に事務職)は、SPIや一般常識試験・適性検査を採用しています。
出題傾向は公務員試験の教養試験(数的処理・文章理解など)と重なるため、「同じ勉強で両方対応できる」ことが最大のメリットです。
② 年齢制限がゆるい&社会人経験を評価
公務員試験では「30歳未満」など年齢制限が厳しい区分が多い一方、独立行政法人では「35歳以下」「40歳未満」「社会人経験5年以上」など、幅広い年齢層を対象にした採用枠があります。
そのため、社会人経験を積んでから再挑戦する人にもチャンスがあります。
③ 採用法人が多く、時期も分散している
独立行政法人は86法人あり、募集時期がバラバラです。
春採用・秋採用・通年採用が混在しているため、「公務員試験が終わった後に独法を受ける」といった戦略も立てられます。
筆記試験・面接日程が重なりにくいのも大きな利点です。
④ 給与・福利厚生も公務員並み
独法職員の給与は法人ごとに異なりますが、概ね国家公務員の俸給表を参考に設定されています。
加えて住宅手当・扶養手当・賞与(年間4か月前後)なども整備されており、民間企業以上の安定性を誇ります。
⑤ 将来の転職・再就職でも評価されやすい
独立行政法人は国の事業を担う公的機関であるため、履歴書に書いた際の信頼性も高いです。
「民間→独法→公務員」や「公務員→独法→研究職」といったキャリアチェンジも十分可能です。
デメリット・注意点も押さえておこう
どんな選択にもメリット・デメリットがあります。
独立行政法人を併願する際は、以下の点に注意が必要です。
| 注意点 | 解説 |
|---|---|
| 試験日・応募時期が法人ごとに異なる | 年に数回しか募集しない法人もあるため、早めの情報収集が必須。 |
| 採用人数が少ない法人も多い | 各法人5~10名など小規模採用もあり、倍率が高くなるケースも。 |
| 非公務員系は異動・転勤が多い場合も | 全国拠点を持つ法人では、初任地が希望通りにならないこともある。 |
| 公務員とは違い「任期制」や「契約社員枠」も存在 | 募集要項で正規・任期制をしっかり確認する必要あり。 |
とはいえ、これらを理解して応募すれば、十分に対策可能です。
むしろ、募集情報をこまめにチェックし、条件に合う法人を複数受験することで、チャンスを大幅に増やせます。
社会人・独学受験生にとっての狙い目パターン
特に社会人や独学受験生には、以下のような「併願パターン」がおすすめです。
| タイプ | 主な狙い方 | おすすめ法人例 |
|---|---|---|
| 教養試験中心で準備したい人 | 公務員教養試験+SPI併用で併願 | 労働者健康安全機構、日本学生支援機構 |
| 研究・技術系を志望する理系出身者 | 公務員専門試験+独法研究職 | JAXA、理化学研究所、農研機構 |
| 地方勤務希望 | 各地に支所・出先機関のある独法を選択 | 国立病院機構、水産研究・教育機構 |
| 公務員併願+転職も視野に入れたい社会人 | 公務員受験+秋募集の独法 | 中小企業基盤整備機構、JOGMECなど |
「併願先」としての戦略的な魅力まとめ
教養試験とSPIが重なるため、勉強の効率が高い
年齢制限が緩く、社会人・再挑戦組も狙える
採用時期が分散していて、スケジュール的に併願しやすい
給与・待遇・安定性が公務員並み
採用法人が多く、自分に合った分野を選べる
これらの理由から、独立行政法人は「公務員試験の第二志望」ではなく、同列の選択肢として真剣に検討すべき存在です。
併願を成功させるための戦略&選び方
併願先として「どの法人」を選ぶか:チェックリスト形式
独立行政法人は全部で87法人あり、所管省庁も分野もさまざまです。
「どこを併願すべきか分からない」という受験生のために、まずは次のチェックリストで方向性を定めましょう。
| チェック項目 | YESの場合のおすすめ |
|---|---|
| 研究や分析が好き | 理化学研究所、JAXA、国立環境研究所 |
| 教育・学生支援に関心がある | 日本学生支援機構、国立青少年教育振興機構 |
| 医療・福祉に貢献したい | 国立病院機構、労働者健康安全機構 |
| 技術・エンジニアリング系が得意 | 産業技術総合研究所、製品評価技術基盤機構(NITE) |
| 地域振興・中小企業支援に興味あり | 中小企業基盤整備機構、JOGMEC |
| 自然・環境・農業分野に関心あり | 森林研究・整備機構、水産研究・教育機構、農研機構 |
👉 POINT:
得意分野・学部・関心テーマを基準に「3〜5法人」に絞り込むのが現実的です。
法人の一覧や募集情報は、総務省の公式データ集または「KoumuWIN」で最新情報を確認しましょう。
総務省HP「独立行政法人等」データ集 独立行政法人一覧(令和7年4月1日現在)←全部の独立行政法人の一覧を見たいなら
公務員試験情報サイト「KoumuWIN」←現在募集中の独立行政法人がすぐ分かる
試験区分・日程・重なり回避の戦略
独立行政法人の採用試験は、公務員試験と日程が被らないケースが多く、戦略的な併願が可能です。
以下のように年間スケジュールを意識して計画を立てましょう。
📅 一般的なスケジュール例(例:2025年度)
| 時期 | 試験内容 | 対応戦略 |
|---|---|---|
| 4月〜6月 | 国家一般職・地方上級試験申込・筆記 | 公務員試験中心に勉強。独法は情報収集のみ。 |
| 7月〜8月 | 公務員試験面接・結果発表 | 独法の秋採用情報をチェック。 |
| 9月〜11月 | 多くの独立行政法人が募集開始 | 書類提出・SPI・面接準備を並行。 |
| 12月〜翌年2月 | 独法の採用面接ピーク | 公務員合格組は入庁準備、独法併願者は最終面接へ。 |
書類・面接のポイント:公務員と独法の違いを意識
公務員試験では「地域貢献・公共奉仕」が中心テーマですが、独立行政法人では「専門性・ミッションへの共感・成果志向」が重視されます。
| 比較項目 | 公務員試験 | 独立行政法人 |
|---|---|---|
| 面接の主軸 | 公共性・チームワーク・安定志向 | 専門性・成果意識・民間的柔軟さ |
| 志望動機 | 「地域を支えたい」「安定した職に就きたい」 | 「○○分野で研究・支援を通じ社会貢献したい」 |
| 評価ポイント | 公務員らしい誠実さ・協調性 | 実務力・即戦力・プロ意識 |
たとえば「国立病院機構」を志望するなら、単に「医療に携わりたい」ではなく、「公的医療を安定的に提供する体制を支えたい」「地域医療と国の制度をつなぐ役割に魅力を感じる」といった表現が好印象です。
フローチャート:あなたに合う併願タイプ診断
┗ YES → Q2へ / NO → Q3へ
Q2. 民間経験や専門スキルがある?
┗ YES → 「社会人採用型独法」へ(例:中小企業基盤整備機構、JOGMEC)
┗ NO → 「年齢制限緩めの独法」へ(例:労働者健康安全機構)
Q3. 研究・技術分野に興味がある?
┗ YES → 「研究系独法」へ(例:JAXA、理研、農研機構)
┗ NO → 「一般事務系独法」へ(例:日本学生支援機構、国立青少年教育振興機構)
筆者からのアドバイス:戦略的に「3軸」で考える
私が指導してきた受験生や元同僚を見ていると、併願成功者はみな「3軸」で戦略を立てていました。
① 分野軸:教育・福祉・研究・技術など、自分の専門と関係する分野を優先
② タイミング軸:筆記終了後や面接待機中に応募できる法人を優先
③ 難易度軸:倍率が高すぎず、安定的に採用を行っている法人を狙う
この3つを意識すれば、無駄な出願や勉強の重複を避け、合格確率を大きく高められます。
採用試験の実例と傾向を知ろう
最近の採用傾向:中途採用が増加・年齢制限が緩和
近年、独立行政法人では「即戦力人材」や「社会人経験者」を対象にした採用が増加しています。
少子化による若手不足、業務の専門化、デジタル化対応などの影響により、30代後半でも応募できる法人が急増しているのが特徴です。
| 傾向 | 解説 |
|---|---|
| 年齢制限が緩い | 多くの法人で「35歳以下」や「40歳未満」と設定。再挑戦組にも門戸が開かれている。 |
| 中途採用・経験者採用が増加 | 民間経験や専門スキルを評価するケースが増えている。 |
| 通年採用・追加募集が多い | 欠員補充やプロジェクト採用で、年度途中の募集が頻繁。 |
| 試験内容が多様化 | 書類・SPI・面接中心で、筆記重視から総合評価型へ移行。 |
💡 POINT:
「筆記試験が苦手な人」でもチャンスがあるのが独法の魅力。
書類や面接で“人柄・実務力・専門性”を見られる傾向にあります。
2025年度の採用試験例(代表的3法人)
【例①】中小企業基盤整備機構(中小機構)
応募期間:令和7年11月3日まで
受験資格:大卒以上・実務経験5年以上
試験内容:書類選考 → 適性検査(Web) → 面接(2〜3回)
特徴:全国の中小企業支援センターに配置。公務員OBや民間出身者も多い。
【例②】労働者健康安全機構(JPSA)
応募期間:令和7年10月14日まで
受験資格:学歴不問・30歳未満(例外規定あり)
試験内容:書類選考 → 基礎能力検査・適性検査 → 面接
特徴:労災病院などを運営。医療・福祉系志望者にも人気。
【例③】海上・港湾・航空技術研究所(NMRI)
応募期間:令和7年11月3日まで
受験資格:大学卒相当以上
試験内容:書類選考 → 1次面接 → 2次面接
特徴:技術・研究職中心。理系出身者に特に人気。
試験科目・評価基準の傾向
独立行政法人の採用試験は、公務員試験とは異なり「トータルバランス評価」が主流です。
以下のような構成が一般的です。
| 試験項目 | 内容 | 対策ポイント |
|---|---|---|
| 書類審査 | エントリーシート・職務経歴書 | 公務員面接カードの内容を応用。志望動機を「法人の使命」に合わせる。 |
| 適性検査(SPI/Webテスト) | 言語・非言語・性格診断 | 公務員の教養試験(判断・数的処理)で基礎力を磨ける。 |
| 面接(1〜3回) | 個別・集団・最終 | 「公共性+専門性」を両立した話し方を意識。成果よりもプロセスを重視。 |
💬 筆者のワンポイント
面接では「なぜ公務員ではなく独法なのか」を必ず聞かれます。
回答のコツは、“民間と公務員の中間的ポジションで、専門性を活かしたい”という軸を明確にすることです。
例)
「国の政策を現場で実現する立場として、より専門性を発揮できる環境に魅力を感じたためです。」
合格者の特徴:求められる人物像
合格者に共通しているのは、「安定だけを求めていない」点です。
独立行政法人は、国の支援を受けつつも成果を求められる半官半民組織。
そのため、次のような人物像が評価されます。
| 求められる資質 | 具体的行動例 |
|---|---|
| 公的使命への共感 | 「国の課題を自分ごととして捉えられる」姿勢 |
| 実務力・対応力 | 数字や成果に責任を持ち、PDCAを回せる |
| 専門性+協調性 | 他職種と協働しながら成果を出す姿勢 |
| 自立・自己管理力 | 「指示待ち」ではなく主体的に動ける人材 |
転職視点から見た「独立行政法人」職員のキャリアパス
独法の職員は、公務員や民間企業と比べてもキャリアパスが非常に多様です。
| キャリアの方向性 | 内容 |
|---|---|
| 公務員 → 独法 | 公的業務の専門化・研究分野への転向 |
| 独法 → 公務員 | 経験を活かして地方公務員や国機関へ転職 |
| 独法 → 民間企業 | 技術・研究・管理系でのキャリアアップ |
| 独法内での昇進 | 主任 → 係長 → 主査 → 課長補佐 → 管理職へ昇格 |
多くの法人では「評価制度」が導入されており、成果次第で若手でも昇進できる仕組みがあります。
また、官公庁・大学・研究機関との人事交流も盛んで、キャリアの幅を広げやすい点も魅力です。
💡 将来性の視点
公務員試験合格を目指しながら「並行して安定・専門・実績を積めるキャリア」として、独法は極めて現実的な選択肢です。
独立行政法人採用試験の傾向まとめ
筆記試験重視から「人物重視」へ移行
社会人・経験者採用の比率が増加中
採用スケジュールが分散しており、併願しやすい
面接では「専門性」「主体性」「公共性」をセットで評価
🎯 結論:
独立行政法人の採用は、“公務員試験の延長線”として考えるのがベスト。
同じ勉強・同じ志望動機をベースに、より多くのチャンスを得られる戦略的な選択肢です。
併願後・入社後に知っておきたいこと
内定後〜入社までの流れとスケジュール感
独立行政法人の採用スケジュールは、法人ごとに大きく異なりますが、おおむね以下の流れで進みます。
| フェーズ | 時期(目安) | 内容 |
|---|---|---|
| 内定通知 | 10月〜翌年2月頃 | 書類・面接選考の後、内々定または正式内定を通知。 |
| 条件提示 | 内定後数週間程度 | 給与・勤務地・勤務開始日などの詳細説明。 |
| 採用手続き | 入社1〜2か月前 | 身元確認書類・誓約書・健康診断など。 |
| 入社式・研修 | 4月または随時 | 法人によっては年度途中採用もあり。 |
💡 ポイント
公務員試験の合否発表後(夏〜秋)に独法の募集が集中するため、「公務員不合格→独法内定」というパターンが多いです。
また、現職の公務員が独法に転職する場合は「退職手続き」に1か月程度は要するため、早めの調整が必要です。
給与・福利厚生・勤務時間 ― 公務員との比較
独立行政法人の待遇は、法人ごとに多少異なりますが、国家公務員に準じた安定的な水準が維持されています。
| 項目 | 独立行政法人(例) | 国家公務員(例) |
|---|---|---|
| 初任給(大卒) | 約22万〜25万円前後 | 約23万円前後 |
| 賞与 | 年2回(4.2か月前後) | 年2回(4.4か月前後) |
| 年間休日 | 約120日以上 | 約120日以上 |
| 住宅手当・扶養手当 | 多くの法人で支給 | 全員対象 |
| 残業時間 | 月10〜20時間程度 | 月10〜15時間程度 |
| 退職金制度 | 共済組合または独自制度 | 国家公務員共済組合 |
🧾 平均年収の目安(参考:各法人公開データ)
国立病院機構:約630万円
JAXA:約740万円
日本学生支援機構:約580万円
中小企業基盤整備機構:約700万円
民間企業と比べると年功的な給与体系ですが、昇進・職務評価によって年収アップのチャンスも十分あります。
また、テレワーク・フレックス導入が進んでおり、ワークライフバランスが取りやすい点も近年の強みです。
転勤・異動の実態
「独立行政法人に入ったら転勤が多いのでは?」という不安を持つ方も多いでしょう。
実際は法人の種類によって異なります。
| 分類 | 転勤頻度 | コメント |
|---|---|---|
| 全国型(例:国立病院機構、JASSO、JOGMEC) | 3〜5年ごと | 各地の拠点・病院・研究所などを異動 |
| 本部集中型(例:理研、JAXA、国立環境研究所) | ほぼなし | 研究拠点が限定的なため転勤少なめ |
| 地方拠点少なめ(例:統計センター、造幣局など) | 希望地考慮あり | 技術職・管理職での異動中心 |
「公務員」との違い:身分・人事制度・働き方
独立行政法人職員は、名称こそ「準公務員」と呼ばれることがありますが、法律上は非公務員(民間職員)扱いの法人も多いです。
このため、勤務の柔軟さ・成果評価の仕組みが、公務員よりも民間寄りになっています。
| 比較項目 | 公務員 | 独立行政法人職員 |
|---|---|---|
| 身分 | 国家・地方公務員法による | 各法人の設置法・就業規則による |
| 異動・転勤 | 定期的に発令 | 法人内での希望考慮あり |
| 評価制度 | 年功+実績 | 成果・業績評価制度あり |
| 副業・兼業 | 原則禁止 | 条件付きで許可制(例:講師・執筆可) |
| 休暇制度 | 国家公務員準拠 | 同等または上回る制度が多い |
💡 メリット
仕事の裁量が大きく、実績次第で早期昇進も可能。
一方で「成果責任」も発生するため、完全な安定志向には向かない面もあります。
職員のキャリア形成とスキルアップ制度
多くの独立行政法人では、人材育成に力を入れており、以下のような制度が整備されています。
階層別研修(新任・中堅・管理職)
外部講座・資格取得支援(通信講座費用補助・英語研修など)
大学院派遣制度(研究系法人に多い)
公務員・大学との人事交流制度
これらを活用することで、入社後もキャリアアップの道が広がります。
「安定+専門性」の両立を実現できるのが、独立行政法人ならではの魅力です。
こんな人に向いている/向いていない
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 公共性を大切にしながら成果を出したい人 | 完全な年功序列やルール重視を望む人 |
| 専門性を活かしたい理系・技術系出身者 | 異動・転勤をまったくしたくない人 |
| 自分の裁量で仕事を進めたい人 | 指示待ち型・受け身のタイプ |
| 公務員試験と並行して受験したい社会人 | 準備期間を短く済ませたい人 |
💬 筆者コメント
「公務員の安定と民間の柔軟さ、その中間に立つのが独法職員」だと私は感じています。
どちらの良さも享受できる環境だからこそ、自己管理と目的意識が重要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 独立行政法人の職員は「公務員」ですか?
独立行政法人の職員は、一部を除いて公務員ではありません。
国家公務員の身分を持つ「公務員系独立行政法人」(例:造幣局・統計センター・農林水産消費安全技術センターなど)も存在しますが、大多数の独立行政法人(JAXA・理研・国立病院機構・JOGMECなど)は「非公務員型」と呼ばれる民間職員です。
ただし、給与・退職金・福利厚生などの待遇は公務員に準じており、実質的には公務員に近い安定性があります。
Q2. 独立行政法人は「公務員試験の勉強」で合格できますか?
はい、可能です。
特に事務系の独立行政法人では、SPI・一般常識試験などが出題されます。
公務員試験の「教養科目(数的処理・判断推理・文章理解)」と重なる範囲が多く、同じ教材・同じ勉強法で対応できます。
Q3. 独立行政法人と地方公務員を同時に受験できますか?
できます。
むしろ、併願戦略として非常におすすめです。
多くの独立行政法人は秋(9〜11月)採用が中心で、地方公務員試験(6〜7月)とは日程が重なりません。
そのため、「地方公務員試験を受けて結果待ちの間に独法へ応募する」という流れがスムーズです。
Q4. 独立行政法人は転勤や異動が多いですか?
法人の種類によります。
全国に拠点がある法人(国立病院機構、JASSO、JOGMECなど)は3〜5年周期の異動がありますが、研究・技術系(JAXA・理研・環境研究所など)は転勤がほとんどありません。
Q5. 独立行政法人に入ると、公務員への転職は不利になりますか?
いいえ、むしろ有利に働く場合があります。
独法職員としての経験は、「公的業務に携わった実績」として高く評価されます。
特に研究・政策・技術分野の経験は、国家公務員・地方公務員の中途採用や再チャレンジ時にプラス要素になります。
🧭 例:
JOGMEC → 経済産業省・資源エネルギー庁
理化学研究所 → 文部科学省職員
国立病院機構 → 厚労省地方支分部局
Q6. 独立行政法人の情報はどこで探せばいいですか?
以下の3つを活用するのが効率的です。
KoumuWIN(公務員試験情報サイト)
→ 全国の独立行政法人・大学法人・公務員試験の募集情報を一覧化。各法人の公式サイト(採用情報ページ)
→ 「独立行政法人名+採用」で検索。ハローワーク・リクナビNEXT
→ 「独立行政法人」をキーワードにすると、通年採用案件も表示。
💬 筆者メモ
私も受験指導時には「KoumuWIN」を愛用しています。
独法の新着情報は日々更新されるため、週1チェックが理想です。
まとめ・次のアクション
この記事のまとめ
本記事では、「公務員試験の併願先としての独立行政法人」について詳しく解説してきました。
最後にポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 独立行政法人とは | 国の重要な事業を効率的に行うために設立された公的法人(全部で87法人) |
| 公務員との違い | 一部は公務員、ほとんどは非公務員。安定性は同等クラス |
| 試験内容 | 書類・SPI・面接中心(教養試験と重なる範囲が多い) |
| 併願のメリット | 勉強の重複が多く、スケジュールも重なりにくい |
| 採用の傾向 | 中途・社会人採用が増加、年齢制限も緩やか |
| 向いている人 | 公共性を大切にしつつ専門性を活かしたい人 |
| 採用時期 | 秋〜冬(9月〜11月)募集が多く、公務員試験後に併願しやすい |
💡 結論:独立行政法人は「もう一つの公的キャリア」
公務員試験と独立行政法人の併願は、リスク分散だけでなく、「自分の専門性を社会で活かす」ための現実的な選択肢でもあります。
こんな人は今すぐ併願を検討すべき!
公務員試験に挑戦中だが、確実に合格できる保証がなく不安な人
年齢的に公務員試験の受験資格が厳しくなってきた社会人
民間よりも安定しつつ、やりがいのある仕事を求めている人
公務員の面接で「専門性をもっと発揮したい」と感じた経験がある人
独法の受験は、公務員試験と並行しても十分可能です。
むしろ、教養科目や面接対策が重なるため、効率的に準備できます。
公務員試験と独法併願の成功ルート(モデルプラン)
| 月 | 公務員試験対策 | 独法対策 | コメント |
|---|---|---|---|
| 1〜6月 | 教養試験・専門試験の学習 | 情報収集 | 勉強の軸を作る時期 |
| 7〜8月 | 面接練習・模擬面接 | 法人研究・SPI対策開始 | 公務員試験結果待ちの間に準備 |
| 9〜11月 | 合格発表・進路決定 | 独法出願ピーク | 独法応募・面接対策を本格化 |
| 12〜翌3月 | 公務員入庁準備 | 独法最終面接〜内定 | セカンドチャンス期間 |
このように、年間スケジュールを意識して動けば、「公務員試験が不合格でも次に進める」体制が整います。
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