「上司の叱責が毎日続いてつらい」
「同僚から無視されて仕事にならない」──
こうした悩みを抱えながらも、「公務員だから」「自分が弱いだけかもしれない」と我慢していませんか?
私(伯爵)は県庁で9年間勤務していましたが、その中でパワハラまがいの行為を何度も経験しました。
課長の前で1時間以上立たされたり、書類を何度も投げ返されたり、会議で名指しで叱責されたり──当時は「修業だ」「自分が未熟だから」と思い込み、相談すらできませんでした。
しかし、今思えばそれは明らかなハラスメントでした。
しかも、上司本人に悪意の自覚がないケースが多いのです。
だからこそ、「どこからがパワハラなのか」を明確に知っておく必要があります。
本記事では、
人事院が定めるパワハラの定義と判断基準
実際に公務員の職場で起きている具体的な例
被害を受けたときの対処法と相談窓口
を、元県職員・公務員試験アドバイザーの立場から、リアルな体験と公式情報をもとに分かりやすく解説します。
- 人事院で公表しているパワハラの定義・具体例・相談事例を紹介
- 元県庁職員の私自身が受けたパワハラ経験を紹介
- パワハラを受けた場合の対処法
【執筆者↓】

- 1 公務員におけるパワハラの定義と判断基準
- 2 【実例付き】公務員のパワハラ具体例7タイプ
- 3 【現場の声】国公職場アンケートで明らかになったパワハラ実態
- 4 私のパワハラ経験談
- 5 パワハラを受けたときの正しい対処法【実践チェックリスト付き】
- 6 公務員のパワハラを防ぐためにできること【職場全体の視点】
- 7 まとめ:我慢は美徳ではない。行動こそがあなたを守る
公務員におけるパワハラの定義と判断基準

人事院が定める「パワハラ」の正式定義
まずは、国家公務員の人事を所管する人事院が定める「パワー・ハラスメント」の定義を確認しましょう。
「パワー・ハラスメント」とは職務に関する優越的な関係を背景として行われる(※1)、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動(※2)であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。(人事院規則10-16第2条)
この定義をかみ砕くと、以下の3つの条件をすべて満たすものが「パワハラ」と判断されます。
| 判断要素 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 優越的関係 | 地位や経験など、力関係に差がある | 上司→部下、ベテラン→新人、複数人→一人 |
| ② 業務上必要性を超える | 業務目的から逸脱した行為 | 過剰な叱責、人格否定、長時間の説教など |
| ③ 苦痛・勤務環境の悪化 | 精神的・身体的苦痛がある | 不眠、出勤拒否、体調不良など |
「優越的関係」は上司だけではない
「パワハラ=上司から部下」と思われがちですが、同僚・部下によるハラスメントも該当します。
たとえば、次のようなケースです。
ベテラン職員が新人を「無視」「孤立」させる
チームで一人の職員を標的にする
部下が知識やスキルを盾に上司を馬鹿にする(いわゆる“逆パワハラ”)
つまり、「職務上の立場」「経験」「人数」など、力のバランスが崩れた状態での不当な言動は、すべてパワハラの可能性があります。
「業務上必要性を超える言動」とは?
「業務上必要な指導」と「パワハラ」の境界は非常にあいまいです。
そこで、人事院は次のような行為を明確に“範囲を超える”としています。
明らかに業務上の必要性がない言動(例:プライベートな容姿の悪口)
業務目的を大きく逸脱した言動(例:失敗に対する人格否定)
手段として不適切な言動(例:怒鳴り続ける・暴力を振るう)
回数や時間が過度(例:何度も同じミスを責め立てる)
つまり、「目的」と「手段」が釣り合っていなければ、それは指導ではなくパワハラになります。
【実例付き】公務員のパワハラ具体例7タイプ

公務員の世界では「表面上は穏やか」でも、実際には陰湿で継続的なパワハラが行われているケースが少なくありません。
ここでは、人事院が示す分類と、私(伯爵)が実際に見聞き・経験した実例をあわせて紹介します。
① 暴力・暴言系:もっとも分かりやすいハラスメント
最も典型的なのが暴力・暴言タイプのパワハラです。
身体的な暴力だけでなく、言葉の暴力も立派なパワハラに該当します。
人事院が示す具体例
- 書類で頭を叩く。
- 部下を殴ったり、蹴ったりする。
- 相手に物を投げつける。
- 人格を否定するような罵詈雑言を浴びせる。
- 他の職員の前で無能なやつだと言ったり、土下座をさせたりする。
- 相手を罵倒・侮辱するような内容の電子メール等を複数の職員宛てに送信する。
伯爵の実体験
このような公然の場での罵倒は、周囲の人にも心理的ストレスを与え、職場全体の士気を下げます。
「怒鳴られて当然」「昔はもっと厳しかった」と言う上司もいますが、それはただの暴力の正当化にすぎません。
② 執拗な叱責・過剰な指導
「業務上の指導」と「パワハラ」の境界が最もあいまいなのがこのタイプです。
しかし、人事院では「目的を逸脱し、過剰に繰り返す叱責」をパワハラと明確に定義しています。
人事院が示す具体例
- 改善点を具体的に指示することなく、何日間にもわたって繰り返し文書の書き直しを命じる。←私、経験あり
- 長時間厳しく叱責し続ける。←私、経験あり
- 部下達の前で、書類を何度も激しく机に叩きつける。
- 自分の意に沿った発言をするまで怒鳴り続けたり、自分のミスを有無を言わさず部下に責任転嫁したりする。←私、経験あり
伯爵の実体験
このように、「教育」「指導」という名目での執拗な叱責は、業務指導ではなく精神的な追い詰めです。
人事院の見解でも「社会通念上許容される範囲を超える」場合、明確にパワハラと認定されます。
③ 隔離・無視・業務外し
このタイプは見た目ではわかりにくく、被害者が声を上げにくいパターンです。
具体例
- 気に入らない部下に仕事をさせない。
- 気に入らない部下を無視し、会議にも参加させない。
- 課員全員に送付する業務連絡のメールを特定の職員にだけ送付しない。
- 意に沿わない職員を他の職員から隔離する。
これは本人の能力や性格の問題ではなく、組織ぐるみの孤立化戦略の一種です。
精神的に非常にダメージが大きく、うつ病発症の引き金になることもあります。
④ 過大な業務の押しつけ・実現不可能な要求
公務員職場では、「上司が部下に無理な仕事を押し付ける」タイプのパワハラも多発しています。
具体例
- これまで分担して行ってきた大量の業務を未経験の部下に全部押しつけ、期限内に全て処理するよう厳命する。
- 緊急性がないにもかかわらず、毎週のように土曜日や日曜日に出勤することを命じる。
- 部下に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる。←私、経験あり
伯爵の実体験
「公務員は楽」と言われがちですが、実際の現場では過剰なノルマ型パワハラが横行しています。
⑤ 私生活への干渉・人格侵害
一見“雑談”のように見えても、プライベートへの過度な踏み込みは立派なハラスメントです。
具体例
- 個人に委ねられるべき私生活に関する事柄について、仕事上の不利益を示唆して干渉する。
- 他人に知られたくない職員本人や家族の個人情報を言いふらす。
これらは仕事の成果と無関係な個人領域への侵入であり、人事院も明確に「個の侵害」と分類しています。
⑥ 逆パワハラ(部下→上司)
あまり知られていませんが、公務員の世界でも「逆パワハラ」が存在します。
具体例
ベテラン部下が新任上司を嘲笑・無視
部下がグループで上司に反発し、業務指示を無視
SNS上で上司を誹謗中傷
事例(国家公務員労組アンケートより)
「部下が育休復帰後に業務量を減らすよう要求し、拒否した上司を“ハラスメント上司”と訴えた」
どちらの立場であっても、立場を利用した精神的圧力はすべてパワハラです。
⑦ 組織的黙認:見て見ぬふりもハラスメント
最後に、最も根が深いのがこのタイプ。
パワハラを見ても何も言わない上司・同僚の存在が、被害を拡大させます。
伯爵の実体験
その一言で、「あ、この職場では誰も助けてくれない」と感じ、完全に心が折れました。
人事院も「見て見ぬふりの結果、職場環境を害した場合はハラスメントの一因となる」と明記しています。
つまり、沈黙もまた加担行為です。
☑ チェックリスト:あなたの職場は大丈夫?
以下の項目のうち、3つ以上当てはまるなら要注意です。
上司や同僚の顔色を常にうかがっている
職場で笑う時間がほとんどない
理由もなく仕事を外される・叱責される
帰宅後も上司の顔を思い出して憂うつになる
相談できる人が職場にいない
1つでも「思い当たる節がある」場合は、あなたの心が危険信号を出しているサインかもしれません。
【現場の声】国公職場アンケートで明らかになったパワハラ実態

公務員の職場では「パワハラはない」と表向きに言われることが多いですが、実際には深刻な被害が隠れています。
ここで日本国家公務員労働組合連合会が実施した「国公職場におけるセクハラ・パワハラ実態調査(アンケート調査)」で職員から寄せられたパワハラ事例を紹介します。
引用:公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会資料
- 強烈な大声での暴言(なにやってるんだよ馬鹿等)を吐いている上司がいた
- 切れやすく、自己をコントロールできない管理職にふさわしくない上司がいる
- 非常勤職員が、職員に、無視されたり、にらまれたり、大声で暴言をはかれたりした
- うつ病から職場復帰し、まだ投薬中であるのに、上司から仕事ができないと言われた
- 上司から他の職員がいる前で「お前はどこに行っても務まらない」と言われた
- パワハラをする人が、職場の相談員であったため、ただただ、耐えた
- ストレスで休みたい旨を申し出た際、「そんな理由で休むんですか」と言われた
- パワハラ事例を所属長に相談したが「あなたの考えすぎだよ」と回答された
(逆パワハラ)
- 職責が下位の者が身勝手な言動により上位の者を責め苦痛を与えている事例がある
- 異動したての上司に部下が「こんなことも知らないのか」と言った発言がされていた
- 育休から復帰した部下に、「業務を半減しろ」などと言われ、ひどい上司と訴えられた
もしかすると人によってはそんなこと日常茶飯事でいちいちパワハラに該当せず相談しないという人もいるかもしれません。
人それぞれで受け取り方は違うだろうし、ストレス耐性も違います。
私のパワハラ経験談

私の公務員時代もパワハラと感じるものがありました。
正式にパワハラに該当するかはわかりませんが、精神的苦痛を受け続けたこと+過労により体調を崩しました。
少し具体例を紹介します。
人によってはパワハラに感じないかもしれません。
- 他の職員がいる中で、事業の進捗状況が悪いことに腹を立てた上司からゴミ箱を蹴リ飛ばされる。(係長)
- 地下の書庫に呼び出され、高圧的に業務の進め方についてネチネチと30分以上詰められる。(上司)
- 業務が溜まり残業で処理したいのに、「今日も飲み行くぞ」と言って居酒屋に行かされる。行かないと機嫌を損ね、次の日態度が悪い。ひどい時は週4~5で連れ回された。そして次の日書類が間に合っていないと怒る。(課長、係長、上司)
- 他の職員がいる状況で課長席の前にたたされ、ノルマ達成できなかったことを注意され、私が具体的な改善策を挙げられるまで勤務時間外以降も1時間以上立たされ続けた。(課長)
- なんでもない議事録を数日間にわたって書き直しを命じられた。どこを直せと言わない。(上司)
- たんなる復命書の書き直しを3日間続けさせられた。(上司)
- 説明会の資料を昨年度のものを参考に作成したら、作成していたのを知っていたのに「そう言えばあの資料は昨年とは違う感じで作成して」と言ってきて数日間が無駄になった。(上司)
- 県発行の図書を作成し1,000部以上納品までした段階で、知事のあいさつページが抜けていることが分かり(前任者の仕事)、課長が「どうするんだ、これじゃ発行はダメだ」と怒ったままになり、他の業務ができなくなった。いまさらどうしようもないことをどうにかするよう強要してきた。(課長)
基本的にパワハラを監視しなければいけない管理職は見て見ぬ振り。
なんとなく相談すると「自分の頃はもっとヒドかった」と言い、「そのぐらい我慢しろ」と言わんばかりの態度でした。
その後、私は不眠・食欲不振に陥り、病院でうつ病と診断されました。
休職を経て、「このままでは壊れる」と感じ、最終的に退職しました。
退職してようやく、自分が受けていたのは“指導”ではなく“パワハラ”だったと気づきました。
そして、「逃げる=負け」ではなく、「逃げる=自分を守る選択」なのだと理解しました。
パワハラを受けたときの正しい対処法【実践チェックリスト付き】

パワハラを受けたとき、多くの人は「これくらい我慢しよう」「言っても変わらない」と思いがちです。
しかし、それは加害者の思うつぼです。
あなたの心と健康を守るために、今すぐできる具体的なステップを紹介します。
Step1:証拠を残す ―「感情」よりも「記録」で守る
パワハラの多くは、証拠がないと認められにくいのが現実です。
そのため、冷静に記録を残すことが最優先です。
✅ 記録の残し方
発言内容や日時をメモ帳・スマホに記録
メール・チャット・LINEなどのログを保存
書類や音声を無断削除されないようクラウド保存
同僚に目撃証言をお願いする(メモでも可)
💡 ポイント:
「何月何日、どんな言葉を、どの場面で言われたか」を具体的に書くと、証拠価値が飛躍的に高まります。
📝 記録テンプレート例
| 日時 | 加害者 | 内容 | 対応・感情 |
|---|---|---|---|
| 2025/4/12 10:30 | ○○課長 | 会議中に「お前はバカか」と言われた | 恐怖・涙が出た |
Step2:信頼できる相談窓口へ ―「一人で抱えない」が鉄則
公務員には、公式な相談ルートが複数存在します。
たとえ加害者が上司でも、あなたが相談してよい窓口は必ずあります。
国家公務員の場合
- 各府省の苦情相談員や窓口
- 各府省の人事当局(秘書課、人事課などに直接相談も可能)
- 人事院(苦情相談、こころの健康相談)
地方公務員の場合
自治体の人事課・職員課の相談窓口
各都道府県・市町村のメンタルヘルス窓口
労働組合・共済組合(内部通報を匿名で行える場合も)
Step3:医師・専門家に相談 ― メンタル不調は“証拠”にもなる
心身の不調が出てきたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
診断書は、今後の人事院や労災申請、退職・休職の際に重要な証拠になります。
受診先の例
精神科/心療内科
産業医(職場指定の場合)
Step4:状況が改善しない場合 ―「異動」や「退職」も視野に
相談しても改善されない場合、異動や退職という選択肢を検討することも必要です。
心が壊れてしまってからでは遅いからです。
異動を希望する場合
人事課・上位管理職に直接申し出る
「業務上支障」ではなく「心身不調」を理由にする方が通りやすい
相談履歴・診断書を添付すると説得力が増す
退職を検討する場合
早まらず、まず休職制度の利用を確認
退職前に公務員共済組合・退職手当制度を確認
退職後の生活支援(失業給付・障害年金など)も要チェック
Step5:外部機関の活用 ― 職場外の“第三者”が味方になる
もし職場の相談窓口に信頼が置けない場合、外部の専門機関を利用しましょう。
無料で相談できる機関
| 機関名 | 内容 |
|---|---|
| 人事院「苦情相談」 | 国家公務員のハラスメント・勤務問題 |
| 法務省「みんなの人権110番」 | 人権侵害・ハラスメント全般 |
| 労働局(総合労働相談コーナー) | 労災・職場トラブル一般 |
Step6:日常ケア ― 心を守る“セルフリカバリー”の習慣
パワハラの被害は、目に見えない形で心をむしばんでいきます。
だからこそ、自分で自分を守る「心のケア」が欠かせません。
伯爵流・セルフケア法
朝散歩←効果抜群
読書
運動
家族や信頼できる友人に小さく打ち明ける
SNSや匿名掲示板に依存しすぎない
- 認知行動療法の入門書を読み、実践してみる←効果的
✅ 実践チェックリスト(保存推奨)
| 状況 | やるべきこと |
|---|---|
| パワハラを受けている | 証拠を残す/日付・内容を記録 |
| 精神的にツラい | 早めに医師へ相談/診断書をもらう |
| 職場に信頼できる人がいない | 外部機関に相談 |
| 改善されない | 異動・休職・退職を検討 |
| 限界を感じる | 命を最優先に、「逃げる(退職・転職)」選択も正解 |
公務員のパワハラを防ぐためにできること【職場全体の視点】
パワハラは、個人の性格や感情の問題ではなく、職場文化と組織構造の問題です。
一人の上司が変わっても、職場の空気が変わらなければ、また別の形で再発します。
ここでは、私が県庁職員として9年間働いた経験から感じた「パワハラを根本からなくすための考え方」を整理します。
① 被害者ができること ― 「沈黙しない」ことが最初の一歩
パワハラが起きたとき、最もつらいのは「誰も助けてくれない」という孤独感です。
しかし、沈黙こそが加害者の行動を助長する最大の要因になります。
行動のポイント
「我慢する=賢明」ではない。
メモ・録音・メールを残し、相談できる人を1人でも確保する。
小さな違和感でも「これっておかしい」と声を上げる。
② 加害者にならないために ― 「指導」と「人格攻撃」を混同しない
パワハラ加害者の多くは、「自分は部下を育てているだけ」と思っています。
しかし、指導と攻撃の違いを理解していないケースが非常に多いです。
指導とパワハラの違い
| 観点 | 正しい指導 | パワハラ的言動 |
|---|---|---|
| 目的 | 業務の改善 | 感情の発散・支配 |
| 方法 | 冷静に、具体的な助言 | 怒鳴る・貶める・人格否定・具体性の全くない指導 |
| 結果 | 成長につながる | 恐怖・委縮・離職につながる |
上司や先輩職員ほど、「昔の指導法」を無意識に踏襲してしまいがちです。
“怒ること=教育”ではないという認識を全員が共有する必要があります。
💡 ワンポイント
定期的に「自分の指導は相手を傷つけていないか?」とセルフチェックを。
③ 周囲の職員ができること ― 「見て見ぬふり」をやめる勇気
パワハラの現場には、必ず「見ている人」がいます。
そして、その沈黙が被害者をより孤立させます。
周囲の立場でできる行動
被害者に「大丈夫?」と一言声をかける
相談窓口を紹介する
自分が相談・通報しても構わない(匿名可)
④ 組織として取り組むべきこと ― 「意識改革」と「制度運用」
多くの自治体ではすでにハラスメント防止規程が整備されていますが、それを「形だけ」で終わらせてはいけません。
組織が取るべき具体策
定期的なハラスメント研修
→ 管理職だけでなく、全職員を対象に実施。匿名相談制度の整備
→ 報復を恐れず相談できる仕組みを作る。加害者への再教育・人事評価反映
→ ハラスメント行為が確認された場合は昇任評価に反映。職員アンケートによる実態把握
→ 定期的に「職場の風通し度」を測定。
組織が「本気で守る姿勢」を見せない限り、職員は安心して働けません。
“沈黙が文化になる前に、行動が文化になる組織”を作ることが鍵です。
⑤ 「お互いさま」の職場文化をつくる
公務員の職場は上下関係が強く、命令系統が明確です。
そのため、一度空気が悪くなると誰も声を出せなくなります。
パワハラ防止の最も有効な対策は、「お互いさま」という文化を根付かせること。
つまり――
「叱責よりもサポート」
「恐怖よりも信頼」で人が動く職場
この意識が共有されれば、自然とハラスメントは減っていきます。
まとめ:我慢は美徳ではない。行動こそがあなたを守る
「自分が我慢すれば」「もう少し耐えれば」――
そう思い続けてきた公務員の方を、私は数多く見てきました。
しかし、我慢は状況を変える力ではありません。
むしろ、あなたの心と体を静かに蝕み、職場の問題を放置することにつながります。
パワハラは、“誰かの問題”ではなく、“職場全体の課題”です。
あなたが声を上げることは、同じように苦しむ誰かを救う行動でもあります。
行動する勇気が、未来を変える
私自身も、かつて上司の言葉に怯え、眠れない日々を過ごしました。
「相談しても無駄」と思い込んでいたあの頃、もしあのとき、「1本の電話をかけていたら」「親しい同僚に相談できていたら」――
もっと早く、もっと楽に生きられたかもしれません。
あなたも、今日からできます。
まず1行、手帳に「つらかったこと」を書く
信頼できる人に「少し話を聞いて」と伝える
勇気を出して、相談窓口に連絡する
その小さな行動が、あなたを守る第一歩です。
「逃げる」は敗北ではない
もし職場の環境が変わらないなら、退職も立派な解決策です。
環境を変えることで、再び笑顔を取り戻せる人を私はたくさん見てきました。
逃げてもいい。
逃げることは「負け」ではなく、自分を守るための勇気ある決断です。
【参考記事】
