今回の記事では公務員における「パワハラの定義・具体例・事例」について、シンプルにご紹介します。
- 人事院で公表しているパワハラの定義・具体例・相談事例を紹介
- 元県庁職員の私自身が受けたパワハラ経験を紹介
- パワハラを受けた場合の対処法
【執筆者↓】
パワハラの定義
パワハラの定義について、人事院では以下のように定めています。
「パワー・ハラスメント」とは職務に関する優越的な関係を背景として行われる(※1)、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動(※2)であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。(人事院規則10-16第2条)
※1:職務に関する優越的な関係を背景として行われる言動の例
- 職務上の地位が上位の職員による言動
- 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験をゆうしており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な状況下でなされるもの
- 同僚又は部下からの集団による行為で、これに対抗又は拒絶することが困難であるもの
※2:業務上必要かつ相当な範囲を超える言動の例
- 明らかに業務上必要性がない言動
- 業務の目的を大きく逸脱した言動
- 業務の目的を達成するための手段として不適当な言動
- 当該行為の回数・時間、当該言動の行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
パワハラの具体例(人事院)
人事院で示されている具体的なパワハラの例をご紹介します。
暴力・傷害
- 書類で頭を叩く。
- 部下を殴ったり、蹴ったりする。
- 相手に物を投げつける。
暴言・名誉毀損・侮辱
- 人格を否定するような罵詈雑言を浴びせる。
- 他の職員の前で無能なやつだと言ったり、土下座をさせたりする。
- 相手を罵倒・侮辱するような内容の電子メール等を複数の職員宛てに送信する。
執拗な非難
- 改善点を具体的に指示することなく、何日間にもわたって繰り返し文書の書き直しを命じる。←私、経験あり
- 長時間厳しく叱責し続ける。←私、経験あり
威圧的な行為
- 部下達の前で、書類を何度も激しく机に叩きつける。
- 自分の意に沿った発言をするまで怒鳴り続けたり、自分のミスを有無を言わさず部下に責任転嫁したりする。←私、経験あり
実現不可能・無駄な業務の強要
- これまで分担して行ってきた大量の業務を未経験の部下に全部押しつけ、期限内に全て処理するよう厳命する。
- 緊急性がないにもかかわらず、毎週のように土曜日や日曜日に出勤することを命じる。
- 部下に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる。←私、経験あり
仕事を与えない・隔離・仲間外し・無視
- 気に入らない部下に仕事をさせない。
- 気に入らない部下を無視し、会議にも参加させない。
- 課員全員に送付する業務連絡のメールを特定の職員にだけ送付しない。
- 意に沿わない職員を他の職員から隔離する。
個の侵害
- 個人に委ねられるべき私生活に関する事柄について、仕事上の不利益を示唆して干渉する。
- 他人に知られたくない職員本人や家族の個人情報を言いふらす。
以上、かなり具体的にパワハラが示されていました。
記事を読まれている方も一度や二度経験があるのではないでしょうか。
これらの事例に該当し、耐えきれない場合は、早めに相談したり、周囲に助けを求めましょう。
パワハラの事例(国公職場におけるパワハラ実態調査結果)
ここで日本国家公務員労働組合連合会が実施した「国公職場におけるセクハラ・パワハラ実態調査(アンケート調査)」で職員から寄せられたパワハラ事例を紹介します。
引用:公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会資料
- 強烈な大声での暴言(なにやってるんだよ馬鹿等)を吐いている上司がいた
- 切れやすく、自己をコントロールできない管理職にふさわしくない上司がいる
- 非常勤職員が、職員に、無視されたり、にらまれたり、大声で暴言をはかれたりした
- うつ病から職場復帰し、まだ投薬中であるのに、上司から仕事ができないと言われた
- 上司から他の職員がいる前で「お前はどこに行っても務まらない」と言われた
- パワハラをする人が、職場の相談員であったため、ただただ、耐えた
- ストレスで休みたい旨を申し出た際、「そんな理由で休むんですか」と言われた
- パワハラ事例を所属長に相談したが「あなたの考えすぎだよ」と回答された
(逆パワハラ)
- 職責が下位の者が身勝手な言動により上位の者を責め苦痛を与えている事例がある
- 異動したての上司に部下が「こんなことも知らないのか」と言った発言がされていた
- 育休から復帰した部下に、「業務を半減しろ」などと言われ、ひどい上司と訴えられた
もしかすると人によってはそんなこと日常茶飯事でいちいちパワハラに該当せず相談しないという人もいるかもしれません。
人それぞれで受け取り方は違うだろうし、ストレス耐性も違います。
私のパワハラ経験談
私の公務員時代もパワハラと感じるものがありました。
正式にパワハラに該当するかはわかりませんが、精神的苦痛を受け続けたこと+過労により体調を崩しました。
少し具体例を紹介します。
人によってはパワハラに感じないかもしれません。
- 他の職員がいる中で、事業の進捗状況が悪いことに腹を立てた上司からゴミ箱を蹴リ飛ばされる。(係長)
- 地下の書庫に呼び出され、高圧的に業務の進め方についてネチネチと30分以上詰められる。(上司)
- 業務が溜まり残業で処理したいのに、「今日も飲み行くぞ」と言って居酒屋に行かされる。行かないと機嫌を損ね、次の日態度が悪い。ひどい時は週4~5で連れ回された。そして次の日書類が間に合っていないと怒る。(課長、係長、上司)
- 他の職員がいる状況で課長席の前にたたされ、ノルマ達成できなかったことを注意され、私が具体的な改善策を挙げられるまで勤務時間外以降も1時間以上立たされ続けた。(課長)
- なんでもない議事録を数日間にわたって書き直しを命じられた。どこを直せと言わない。(上司)
- たんなる復命書の書き直しを3日間続けさせられた。(上司)
- 説明会の資料を昨年度のものを参考に作成したら、作成していたのを知っていたのに「そう言えばあの資料は昨年とは違う感じで作成して」と言ってきて数日間が無駄になった。(上司)
- 県発行の図書を作成し1,000部以上納品までした段階で、知事のあいさつページが抜けていることが分かり(前任者の仕事)、課長が「どうするんだ、これじゃ発行はダメだ」と怒ったままになり、他の業務ができなくなった。いまさらどうしようもないことをどうにかするよう強要してきた。(課長)
基本的にパワハラを監視しなければいけない管理職は見て見ぬ振り。
なんとなく相談すると「自分の頃はもっとヒドかった」と言い、「そのぐらい我慢しろ」と言わんばかりの態度でした。
まとめ ~パワハラで悩んでいる人へ~
今回、具体的なパワハラの例をご紹介しました。
公務員だけでなく、会社員の方にも参考にしてもらえたらなと思います。
管理職には日頃から職場内のハラスメント防止に努めなければならないとされていますが、その管理職がパワハラをしていることは往々にしてあります。
正直、職場内だけで解決するのは困難です。
そのためパワハラで悩んでいる人は、管理職のさらにうえのポスト(所長、部長、局長など)に直接相談するのも良いと思います。
また、「相談機関」を利用することをおすすめします。
国家公務員では、各府省にハラスメントに関する苦情相談を受ける相談員や窓口があります。
- 各府省の苦情相談員や窓口
- 各府省の人事当局(秘書課、人事課などに直接相談も可能)
- 人事院(苦情相談、こころの健康相談)
もちろん、地方公務員にも相談を受ける相談員や窓口があります。
パワハラを受けている人は自分から被害にあっていること・悩んでいることを相談する人は少ないと思います。
ですので、「周囲の人」が助けてあげることも大切です。
そして、一番大切なことは自分が体調を崩してしまう前に行動を起こすことです!
うつ病などの精神疾患に一度なってしまうと完治はしません(良くなってきても「寛解」どまり)。
どうしようもない場合は、退職という選択肢もあるということを忘れないでくださいね、逃げ場はいくらでもあります。
【参考記事】
- 【公務員の辞め方】県職員の退職までの具体的な流れをまとめました(体験談)
- 公務員を辞めたいときは誰に相談したほうがいいか(経験談)
- 公務員を退職した理由は?後悔はしてる?(元県庁職員の本音)
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