「公務員は傷病手当金をもらえない」と思っていませんか?
実は、条件を満たせば在職中はもちろん、退職後でも受給できる可能性があります。
私自身も退職後に実際に受給し、大きな支えとなりました。
この記事では、元公務員で受給者である私の実体験をもとに、傷病手当金(目安:給料の2/3程度)の申請方法や必要書類、注意点までを具体的に解説します。
同じように病気やケガで悩んでいる方の力になれれば幸いです。
主に、
- 病気が原因で退職を考えている公務員
- 病気が原因で退職した元公務員
- 傷病手当金の具体的な申請方法について知りたい公務員
に役立つ記事となっています。
- 傷病手当金は、病気などで働けなくなり、給料が減額・支給されなくなった場合に支給される
- もらっていた給料のおおよそ2/3が毎月支給される
- 1年6ヶ月間受給できる
- 退職後でも申請すれば受給できる
- 申請先は共済組合(申請書類には医師の証明が必要)
公務員の傷病手当金の概要と具体的な申請方法

公務員のメンタルヘルス状況
令和5年度における「精神及び行動の障害」による長期病休者数は10万人中約2,286人となっていて、15年前の2倍となっています。
引用データ:一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会「地方公務員健康状況等の現況」(令和6年度)
公務員の休職中の給料は?
次に、公務員がうつ病等で長期休職した場合の給料事情について、順を追って説明します。
(ここではうつ病などの精神疾患での期間を例にあげます。自治体で算定期間が異なりますので、あなたの自治体の休職制度をよく確認してください。)
【私が勤務していた県の例】
- 最初の180日間:「療養休暇」扱いとなり、この間は病気以前にもらっていた給料の100%が支給されます。(全額支給)
- 療養休暇180日間経過後の2年間:「休職」扱いとなり、給料の80%が支給されます。
- 2年間経過後の1年間:同じく「休職」扱いとなり、今度は給料の約2/3の「傷病手当金」が支給されます。
- 休職期間が3年経過すると、基本的に免職になり、公務員を退職することになります。
例えば、2025年4月1日から療養休暇を取得し始めた場合、おおよそ以下のような流れとなります。
種類 | 期間 | おおよその月日 | 給料 |
---|---|---|---|
療養休暇 | 180日 | 2025年4月~2025年9月 | 100% |
休職 | 2年 | 2025年10月~2027年9月 | 80% |
休職 | 1年 | 2027年10月~2028年9月 | なし(共済組合から約2/3の傷病手当支給) |
免職 | 3年経過後 | 2028年9月 | ー |
傷病手当金の概要
ここから傷病手当金の概要についてご紹介します。
傷病手当金とは?
組合員が公務によらない病気やケガで勤務を休み、報酬が減額されたり、支給されなくなったりした場合に、傷病手当金が支給されます。また、傷病手当金の受給終了後、同じ病気やケガで引き続き勤務することができない場合は、傷病手当金附加金が支給されます。
(引用:「地方職員共済組合HP」)
傷病手当金は、自治体が給料として支給するものではなく、加入している共済組合が支給するものです。
(国家公務員、地方公務員、市町村職員、学校職員いずれも何かしらの共済組合に加入しています)
支給対象となる病気やケガの種類
傷病手当金の支給対象となる病気やケガの種類については、以下のように一般的に認められています。
「働けない状態」が前提となるため、病気やケガの程度や状況によっても判断が変わりますが、主に以下が支給対象となります。
1. 病気やケガによる休業
- 入院や手術後など、治療を受けるために仕事を休まざるを得ない場合
- 慢性的な疾患(糖尿病、心臓病、肝炎など)や急性疾患(インフルエンザ、肺炎など)によって長期間働けない状態
- 外傷(骨折、捻挫、脱臼など)や交通事故によるケガなどで働けない状態
- 精神疾患(うつ病、パニック障害、適応障害など)による休職(精神的な病気も対象)
2. 妊娠・出産に関連する疾患
- 妊娠中のつわりや切迫流産などで働けない場合
- 出産後の産後うつや体調不良による療養が必要な場合
3. リハビリや後療法
- ケガや病気から回復するためのリハビリテーションや後療法(例:手術後の回復期に療養が必要な場合)
4. 精神的・心理的な問題
- うつ病や不安障害、精神的なストレスなどが原因で働けなくなった場合
- 精神的な疾患に関しても、治療やカウンセリングが必要と判断される場合に対象となります
5. 再発性の疾患
- 例えば、がんや喘息などの慢性疾患が再発し、長期間治療を要する場合も対象になることがあります
【注意点】
- 自己判断や軽い病気(風邪や軽度の体調不良など)では、傷病手当金の支給対象にはならないことが一般的です。支給には医師の診断と**「労務不能」**であることの証明が必要です。
- また、公務員の共済組合によって具体的な判断基準が異なることもありますので、共済組合に直接確認することが重要です。
この情報を基に、傷病手当金を申請する際には、しっかりと医師の診断書や必要書類を整え、労務不能の状態であることを証明することが求められます。
傷病手当金の支給額は?
おおよその目安ですが、もらっていた給料の2/3が毎月支給される形となります。
細かい計算方法は以下のとおりとなります。
1日につき、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近した継続した12ヶ月の各月の標準報酬の月額の平均額の1/22の額(10円未満四捨五入)の2/3の額(円位未満四捨五入)
(引用:「地方職員共済組合HP」)
傷病手当金の支給期間は?
傷病手当金は、病気やケガによる療養のため勤務することができなくなった日から起算して4日目から1年6か月間支給されます。
なお、出勤した期間は支給期間に算入されません、したがって出勤した日数分だけ支給期間を延長されます。
ただし、在職中に傷病手当金が支給されていた期間分は1年6ヶ月間から引かれます。
【重要】傷病手当は退職後も受給できる!
1年以上共済組合に加入していた人が、退職したときに傷病手当金を受給している時は、退職後も引き続き傷病手当金が支給されます。
この場合の「傷病手当金を受給している時」とは、傷病手当金の受給要件は満たしているが、給料などの方が高いため傷病手当金が支給されていない場合を含みます。
※休業中は、給料(2年間給料の80%が支給される)と傷病手当金の両方は受給できません
公務員退職後における傷病手当金の申請方法
それでは退職後に傷病手当金を受給するための具体的な申請方法を解説します。
申請先
「共済組合」に「毎月申請」が必要となります。
ただし、初めて共済組合に申請する際、申請書に旧所属の所属長の証明(押印)が必要なため、初回のみ、旧所属を経由し、証明をもらってから共済組合へ提出します。
医師の証明も必要
申請書には、就労不能状態を確認するために医師の証明が必要となりますので、事前に医師との調整も必要です。
退職前に職場の庶務担当と調整しておくとスムーズ
傷病手当金について、退職前に職場の庶務担当者(共済組合担当)と調整しておくと、退職後の申請がスムーズになります。
退職後に、傷病手当金のことを何も知らない庶務担当者に傷病手当金の申請書をいきなり送付しても手続きに時間を要することになります。
傷病手当金申請の流れ
【初回】
- 自分が傷病手当金がもらえる条件を満たしているかを共済組合or庶務担当者に確認(できれば退職前)
- 庶務担当などから傷病手当金の申請書をもらう(できれば退職前)
- 医師に申請書の証明欄に記入してもらう
- 所属長に申請書の証明欄に記入してもらう(庶務担当者に送付し依頼)(初回のみ)
- 共済組合に申請書を提出(初回は庶務担当者に共済組合に送ってもらえば良いです)
- 支給決定通知が共済組合から届く(1ヶ月程度で支給されます)
【2回目以降(毎月)】
- 医師に申請書の証明欄を記入してもらう
- 共済組合に提出(2回目以降は所属長の証明は不要)
- 支給決定通知が届く
傷病手当金に関する注意事項(Q&A)
ここで傷病手当金についてよくある以下の質問についてお答えします。
- 複数月まとめて請求できる?
- 請求してからどの程度で振込になる?
- 公務員の健康保険の任意継続を辞め、国民健康保険に加入している場合は?
- 退職後、傷病手当金のことを知らないまま数か月や半年経過していた場合は?
- 障害年金を受給している場合は?
- 傷病手当金を受給中に就労可能状態となったら?
- 傷病手当を受給中に公務員試験は受験可能?
- 公務員は失業手当は受給できない?
複数月まとめて請求できる?
まとめては請求できません、あくまで月ごとに申請します。
請求してからどの程度で振込になる?
あくまで私の場合の例ですが、申請から振込まで数週間程度でした(以下、私の実例です)。
【初回申請】
月日 | 内容 |
---|---|
3月2日 | 医師から証明欄に記入してもらう |
3月2日 | 申請書を提出 |
3月19日 | 共済組合より給付金決定通知書が届く |
3月29日 | 振込 |
【2回目申請時】
月日 | 内容 |
---|---|
4月7日 | 医師から証明欄に記入してもらう |
4月7日 | 申請書を共済組合に提出 |
4月23日 | 共済組合より給付金決定通知書が届く |
4月26日 | 振込 |
公務員の健康保険の任意継続を辞め、国民健康保険に加入している場合は?
受給できます。
退職後、傷病手当金のことを知らないまま数ヶ月や半年経過していた場合は?
受給できます。
障害年金を受給している場合は?
受給できません。
ただし、障害共済年金または障害厚生年金の額(障害等級が1級または2級の場合には、国民年金の障害基礎年金も支給されるので、その合算額)が受けることができる傷病手当金の額より少ない場合には、差額が支給されます。
傷病手当金を受給中に就労可能状態となったら?
受給がストップします。
就労可能となった(再就職した、パート・アルバイト・自営業等で労働を始めた場合)または傷病手当金受給の原因となった傷病等が治癒したとの医師の診断があった場合は、その後の傷病手当金は支給されません。
例えば短時間・軽作業など「部分的な就労」の場合でも、収入の有無に関わらず、「労務不能」ではないと判断されると支給停止となる可能性があります。ただし、就労内容や医師の意見によって判断が異なる場合があり、グレーゾーンも存在します。
一度復職した後に再び同じ病気・ケガで働けなくなった場合、一定期間内(同一傷病で1年6か月以内)なら再度受給できることもあります(継続給付)。
なお、退職後は傷病手当金附加金は支給されません。
傷病手当を受給中に公務員試験は受験可能?
傷病手当をもらっていても、公務員試験は受験可能です。
現在勤めている職場や職種が原因で病気を発症した場合、他の公務員に転職したい場合もあると思います。
または、一度公務員を退職して傷病手当を受給中だけど、公務員に出戻りたくなった場合も考えられます。
その場合でも、受験することは可能ですし、面接官も傷病手当のことは一切聞いてきませんし、既往歴等を聞くことは差別につながるので禁止されています。
公務員は失業手当は受給できない?
受給できません。
民間企業では社員は雇用保険に加入するので、退職後いわゆる「失業手当」が支給されます。(支給には条件があったり、手続きが必要です)
しかし、公務員は雇用保険の適用除外とされていて在職中に雇用保険料を払っていないので、退職後に失業手当がでず退職日の翌日から無給状態となります。
【関連記事】
公務員は雇用保険(失業保険)未加入なので失業給付はない!(退職時注意!)
傷病手当で分からない点がある場合はプロに個別相談!
傷病手当金は制度が複雑で、状況によって手続きや必要書類が異なります。
「これって本当に受給できるの?」「退職後でも大丈夫?」と不安を感じたら、自己判断せずに専門家に相談するのが安心です。
プロに相談し的確なアドバイスを受けることで、受給のチャンスを逃さずに済みます。
【特にプロへの相談をおすすめしたいケース】
- 退職後に申請したいが、受給条件に当てはまるか不安な場合
- 受給中に就労を始めたいが、支給停止になるか不明な場合
- 手続きが煩雑で、何をすればいいか分からない場合
- 共済組合とやりとりしているが、対応に疑問や不安がある場合
- 不支給決定に納得できず、再申請や異議申し立てを考えている場合
こうした場合、経験豊富なプロに相談することで、安心して手続きを進めることができます。
「ひとりで抱え込まず、まずは相談」がおすすめです。
相談先ですが、私は個別対応してくれる「退職コンシェルジュ」さんに相談するのが最適だと思います。
- 診断書の取得方法
- 退職方法
- 申請書類の書き方
- 拒否された場合の対処方法
など、きめ細やかなサポートをしてもらえます。
【サービスを受けた利用者の例】
前職:研究開発
退職理由:精神的にも体力的にもきつく「適応障害」と診断されたため
現在までの受給期間:約10カ月間
現在までの受給金額:合計170万円(毎月17万円)
前職:外資系企業の営業
退職理由:人間関係と営業売上のプレッシャーから体調不良になったため
現在までの受給期間:約6カ月間
現在までの受給金額:合計156万円(毎月26万円)
前職:看護師
退職理由:心身の体調不良のため
前職の月収:26~30万円
現在までの受給金額:約81~200万円
気になる方は↓
最後に
誰だって、メンタル疾患になんかなりたくありませんし、辞めたくて辞めたわけではありません。
なので、その病気の原因となった組織・職場からもらえるものは絶対にもらいましょう。
退職したあとだし、今さら、、、はよくないです。
傷病手当金の受給は共済組合の加入者の当然の権利ですので、退職後でもしっかり申請して受給しましょう。
傷病手当金がもらえれば、とりあえず1年6ヶ月間はもらっていた給料の2/3が支給されるので、貯金などはできないかもしれませんが、生活は十分成り立ちます。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます☆
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