【県職員の異動のリアル】頻度・内示日・希望は通る?元公務員が解説!

県職員として働く上で避けて通れないのが「異動」です。

異動があるとは聞いていても、

「どのくらいの頻度なのか」

「希望は通るのか」

「いつ知らされるのか」

「引越しは必要?」

など、詳しい実態はなかなか見えてきませんよね。

この記事では、筆者が約9年間県職員として勤務した経験をもとに、県職員の異動に関するリアルな情報をお届けします。

  • 異動の頻度とサイクル

  • 異動の内示日(いつ知らされるのか)

  • 異動の希望はどれくらい通る?

  • 異動に伴う引越しや手当

  • 出世と異動の関係

  • 異動は断れるの?

  • 異動のメリット・デメリット

県職員を目指す受験生、新採用の方、そして異動を控えた現役職員の方にも参考になる内容となっています。

※本記事は筆者が勤務していた県の実情をもとにしています。他の自治体では異なる場合もあるため、あくまで一例としてご覧ください。

伯爵さん
私も約9年間の県職員生活で3回異動しました
ねこさん
だいたい3年ごとしたんだね

異動の頻度はどのくらい?【年数の目安と傾向】

まず最も気になるのが「異動はどのくらいの頻度であるのか?」という点です。

筆者の勤務していた県では、おおよそ以下のようなサイクルが目安とされていました。

区分異動の目安
新規採用職員3年
若手~中堅職員2~4年
係長クラス1~3年
課長級以上1~2年

実際には業務の都合や人事方針により多少の前後はありますが、大多数の職員はこのペースで異動していました。

また、毎年全体の3分の1ほどの職員が異動対象になる印象です。新しい職場に移ることで、業務の幅や経験を広げることが求められています。

伯爵さん
ちなみに新規採用職員だけは最初の3年間は同じ部署で働くことになっていました。特殊な事情を除いて、私の同期もほぼ全員3年間異動はありませんでした。

異動の内示日はいつ?【ドタバタの引越し準備】

カレンダーのテキスト

異動先が正式に知らされるのは「内示日(ないじび)」と呼ばれる日です。

筆者の勤務していた県では以下のようなスケジュールでした。

  • 一般職員の内示日:3月16日頃

  • 課長級以上の管理職の内示日:3月25日頃

内示が出るまでは基本的に一切の情報は伏せられており、正式な発表をもって異動先がわかります。

そのため、異動に伴って引越しが必要となる場合は、約2週間(3月16日〜4月1日)の間に以下のすべてを済ませる必要があります。

  • 引継書の作成

  • 引継(後任への引継ぎ、前任からの引継ぎ)
  • 残務整理

  • 引越し業者の手配

  • 荷造り・荷解き

  • 転居手続き(住民票・ライフラインなど)

この短期間での対応はかなり大変で、「怒涛の2週間」となる職員も少なくありません。

異動にともなう引越し費用は?【赴任旅費制度】

異動で引越しが必要となった場合、「赴任旅費(ふにんりょひ)」という形で引越し費用が支給されます。

ただし以下の点に注意が必要です。

  • 引越し費用は距離や家族構成により算出される

  • 引越し繁忙期(3月下旬)は業者代が高騰し、持ち出しがあることも

  • 「自己都合の引越し」は対象外

赴任旅費が支給されるのはあくまで「業務命令による異動に伴う引越し」の場合に限られます。

詳しくは以下の記事で解説しています。

公務員の引越し手当(赴任旅費)ってどのくらい?支給されない場合とは?

異動先の希望は通る?

異動には「希望調査」があります。

筆者の県では、11月ごろに管理職との面談が実施され、そこで「第5希望」までの異動希望先を伝えることができました。

ただし、希望がそのまま通るわけではありません

人員配置のバランスや各部署の都合により、まったく希望していない部署に配属されることも珍しくありません。

一方で、以下のような事情がある場合は配慮される傾向があります。

  • 介護や病気など家庭の事情

  • 育児や妊娠に伴う異動制限

ただし「住宅購入後だから引越したくない」といった理由はあまり考慮されません。

実際、マイホームを購入した翌年に異動というケースはよくあります。

伯爵さん
私は幸運な方で、3回ともほぼ希望通り異動できました

出世コースと異動の違い【県庁内だけで昇進する人たち】

県職員にはいわゆる「出世コース」があります。

このルートに乗った職員は、原則として出先機関には行かず、県庁本庁内で異動を繰り返します(行政職)。

また、国(総務省や経済産業省など)への出向もあります。

出世コースに乗りやすい人材の特徴:

  • 東大・京大・有名私大卒

  • 採用試験の成績上位

  • 面接で本庁希望を強く訴えた

こういった方々は、1年目から本庁勤務となり、上司の評価が高ければそのまま昇進街道に乗ることができます。

一方、一般的な職員は「県庁 ⇄ 出先機関」のローテーションで異動があり、そのたびに引越しを伴うケースも多くなります。

異動を拒否することはできる?

結論からいうと、原則として異動の拒否はできません

地方公務員法では「人事異動は任命権者の裁量」と定められており、異動辞令は業務命令です。

筆者の在職中でも、異動を拒否した職員は見たことがありません。

しかし、噂で聞きましたが、異動を拒否した職員もいるらしいです。

ですが、拒否をした場合でも、管理職がどうにかこうにか説得して最終的に受け入れてもらう形になります。

異動のメリットは?【リセットできるチャンス】

異動と聞くとネガティブな印象が強いですが、実は大きなメリットもあります。

メリット1:人間関係のリセットができる

今の職場で上司や同僚と相性が悪く、ストレスを感じている場合、異動は救いになります。

  • パワハラ上司から離れられる

  • 嫌な関係先(業者・住民など)から解放される

逆に人間関係が良好だった職場から離れるのは寂しい面もありますが、メンタル面で悩んでいる方には大きな転機になります。

伯爵さん
私は仕事内容よりも職場の人間関係のほうがストレスになることが多かったので、異動先の人間関係はかなり気になるところでした

メリット2:業務内容の変更で気分一新

公務員の仕事は非常に幅広く、希望している仕事ができなかったり、嫌な仕事や相性が合わない仕事も多いと思います。

異動をして全く異なるタイプの業務を担当できれば、心機一転でき、リフレッシュすることができます。

つい昨日まで出先機関で税務の徴収をしていたのに、今日からは県庁の観光促進の部署で働くなんてことも普通にあり得ます。

「今の業務がつまらなくて辞めようと思っている」「モチベーションが下がっている」そんな若手職員の方は、つぎの異動まで我慢してみてからでも遅くはないと思います。

上司や同僚、業務内容、働く場所が変われば、見違えてやりがいが上がる場合もありますよ!

まとめ:異動を前向きにとらえよう

県職員にとって異動は避けられない制度ですが、見方を変えればキャリアを広げるチャンスでもあります。

  • 異動は2〜3年に一度

  • 内示は3月中旬〜下旬

  • 引越しには手当あり

  • 希望は一応聞かれるが通るとは限らない

  • 人間関係や業務内容をリセットできるメリットあり

異動に振り回される側面もありますが、前向きにとらえて新しい環境に飛び込めば、思いがけない出会いややりがいに出会えることもありますよ!

伯爵さん
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!
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