今回の記事では、公務員の引継書の作り方と注意点について、解説します。
この記事は、
初めて引継書を作成する人
効率よく分かりやすい引継書を作成したい人
などに役立つ記事となっています。
引継や引継書作成時の6個の注意点
まずは引継書を作成するにあたり、注意したほうがいい下記の6点について、ご紹介します。
- とにかく引継書を作成している余裕がない
- しっかりとしたものを作成しておかないと後任者からクレームがくる
- まずは前年度もらったものを参考にする
- 引き継ぎ前に必ず上司・係長のチェックを受ける
- 引継ぎの際は上司・係長にも同席してもらう
- 引き継ぎを受けるときの注意点
その1:とにかく引継書を作成している余裕がない
異動が発表されてから引継ぎまでには2週間もありません。
日々の業務をしているなかで、空いた時間や残業をしてなんとか引継ぎを作成していく必要があります。
作成には、個人差もあると思いますが、丸2~3日はかかると想定しておいたほうがいいでしょう。
その2:しっかりとしたものを作成しておかないと後任者からクレームがくる
引継書の出来次第では4月に入ってから鬼電のように毎日後任者から電話が来ることがあります。
場合によっては、後任者が異動先の事務所まで質問をしに来たり、前任者が後任者のもとへわざわざ出張して手ほどきをしている人も見かけたことがあります。
時間的余裕がないのはわかりますが、後々のことを考えて、しっかりとした引継書を作成しておくようにしましょう。
その3:まずは前年度もらったものを参考に引継書を作成する
効率よく引継書を作成するには、前年度に前任者からもらった引継書を参考にするのが手っ取り早いです。
この際、その引継書の電子データがあれば、さらに効率的に引継書が作成できます。
ただし、しっかりとした引継書をもらうことができなかった場合は一から作成したほうがいいでしょう。
自分のときの前任者がへっぽこ引継書を渡してきたからといって、自分が後任者にへっぽこ引継書を渡すマネはよしておいたほうがいいです。
評価や信頼度に大きく関わってきますので。
その4:引き継ぎ前に上司・係長にチェックを受けておく
引継書が完成したら、そのまま引き継いてしまうのではなく、事前に上司や係長に「こんな感じで引き継ぎします」と引継書を確認してもらうようにしましょう。
時間的余裕がないなかで、ここまでできればかなり優秀なほうです。
その5:引継ぎの際は上司や係長にも同席してもらう
説明漏れ等をなくすためにも、初めての引継ぎには上司や係長に必ず同席してもらうようにしましょう。
このほうが後任者も安心できますし、係で意思疎通がしやすくなります。
その6:引き継ぎを受けるときの注意点
引継ぎは半日程度かけて行いますが、その日で全てを引き継ぐことは時間的に無理です。
そのため、特に知っておかなくてはいけない下記のことは、必ず質問するようにしましょう。
- 懸念事項
- 4月初旬の事務処理
- クレーマー関係
引継書の作り方
それでは引継書の作り方をご紹介します。
業務内容で引継書の型も変わってくると思いますので、ここで紹介する引継書の作り方は一例としてください。
まず、引継書の基本的な型、必要な項目は以下のものが基本となります。
- 鑑
- 本年度実績
- 次年度事業計画
- 年間スケジュール
- 各業務マニュアル
- 関係部署・相手方
- パスワード関係
これらのことをなるべく端的にまとめ、最終的にフラットファイルなどにファイリングして渡します。
この際、必ず2部作成しておき、相手方用と自分用のものを用意しておきましょう。
後任者から電話がかかってきた際に、「引継書の何ページのここがよく分からない」とか問い合わせをうけることもありますので。
それでは各項目の書き方について、それぞれ解説していきます。
鑑
決裁用の鑑を一番上に作成します。
この書き方については、各自治体の文書の手引などで書き方が決まっていると思いますのでそのとおり書いてください。
ちなみに私の県では以下のように書いていました。
事務引継書
令和○年○月○日
所属長 様
前任者 ○○
後任者 〇〇
令和○年○月○日付け人事異動に伴う事務引継ぎを別紙のとおり行いました。
本年度実績
本年度の実績をエクセルなどの表で作成すると良いでしょう。
前年度比などもあわせて書いておくとGoodです。
次年度事業計画
すでに決まっている次年度の事業計画もエクセルなどの表で作成して引継書に掲載すると良いです。
年間スケジュール
4月から3月までの月単位でのスケジュールをできるだけ細かくまとめておきます。
「○月には〇〇という事務があり、締切はいつ頃まで」というような内容を表にして記載しておくと分かりやすいです。
例えば、
月 | 事務内容 | 事務手続き番号(業務マニュアルページ) |
---|---|---|
4月 | 〇〇任用式(開催日○日)(事務処理は完了済み) | 1(3ページ) |
〇〇使用料の納入(締め切り4月○日) | 2(4ページ) | |
〇〇の数量等の調査(締め切り5月○日) | 3(5ページ) | |
5月 | 担当者会議(5月○日) | 4(6ページ) |
各業務マニュアル
年間スケジュールに沿って、時系列・事業ごと・事務ごとに業務マニュアルをまとめます。
- 事務の具体的な流れ
- 事務のポイント(注意事項、懸念事項)
- 文書ファイル・電子データの保存場所
などを書いておきましょう。
例えば、
【事務手続き番号1 〇〇任用式】
○月○日14時に開催。
〇〇任用式と並行して行われますので、当日の流れについては〇〇係と調整してください。
14時より任用式を〇〇号室会議室で、任用式終了が終わりしだい〇〇号室会議室にて打合せ会議を行ってください。
任用予定者には通知済みです。
任用式の準備はしておきます。
いずれの任用者もベテランの方なので、業務については十分理解していますので、打合せというよりは顔合わせ程度と考えてもらえばいいです。
任用が終わりましたら〇〇部長へ任用報告を行ってください。
▽参考ファイル名:令和○年度〇〇事業 (〇〇格納庫○棚)
▽電子データ:\〇〇係\〇〇\R○業務
関係部署・相手方
関係部署や相手方も電話番号やメールアドレスとともに忘れずに書いておきましょう。
- 国
- 本庁
- 出先機関
- 市町村
- 事業者
など
パスワード関係
これも忘れがちですが、様々なログイン用パスワードなどをまとめて記載しておきましょう。
まとめ
異動が決まったら、とにかく引継書作成を早めに始めましょう。
日頃から業務マニュアルを作成しておいたり、異動対象となりそうな年はあらかじめ引継書を作成しておくと非常に楽になります。
段取りよく進めないと、残業の嵐や土日出勤でてんてこ舞いになります、しかもそこに引っ越しの準備や残務整理まで押し寄せてきて、、、。
くれぐれも早めに準備に取り掛かりましょう。