公務員の引継書の作り方&注意点(初めて引継ぎする人向け)

ねこさん
今年、異動が決まったんだけど、引継書をどうやって作っていいのかよく分からないんだよね、作り方教えて!
伯爵さん
私は前任者から分かりづらい引継書を渡されて大変苦労した経験があります。あなたにはそうなってほしくないので、今回は分かりやすく丁寧な引継書の作成方法を紹介するね!

 

今回の記事では、公務員の引継書の作り方と注意点について、元公務員(約9年)が解説します。

 

この記事は、

  • 初めて引継書を作成する人
  • 効率よく短期間で分かりやすい引継書を作成したい人

などに役立つ記事となっています。

 

この記事を書いた人

プロフィール

 

スポンサーリンク

引継書作成や引継ぎの際の注意点

まずは引継書を作成するにあたり、注意したほうがいい点について、以下にご紹介します。

 

【引継書作成時の注意点】

  1. 異動が内示されてからは、業務や残務処理に追われて、引継書を作成している余裕が全くない
  2. しっかりとしたものを作成しておかないと後任者からクレームがくる
  3. まずは前年度もらった引継書を参考にする
  4. 引継ぎ前に必ず上司・係長のチェックを受ける
  5. 引継ぎの際は上司・係長にも同席してもらう
  6. 引継ぎを受けるときの注意点

 

引継書を作成している余裕が全くない

異動が発表されてから引継ぎまでには2週間もありません。(私の県の場合)

 

日々の通常業務をしているなかで、隙間時間や残業で引継書を作成していく必要があります。

 

引継書作成には、個人差もあると思いますが、丸2~3日程度はかかると想定しておいたほうがいいでしょう。

 

伯爵さん
とにかく、引継書作成には圧倒的に時間の余裕がないことを心に留めておいてください

 

しっかりとしたものを作成しておかないと後任者からクレームがくる

引継書の出来次第では、4月に入ってから鬼電のように毎日後任者から電話が来ることがあります。

 

場合によっては、後任者が異動先の事務所まで質問をしに来たり、前任者が後任者のもとへわざわざ出張して手ほどきをしている場合も見かけたことがあります。

 

時間的余裕がないのはわかりますが、後々のことを考えて、しっかりとした引継書を作成しておきましょう

 

伯爵さん
私の前任者が総務省に出向したのですが、内容の薄い引継書しか渡されず、4月は週に何回か電話をしたこともありました。国に電話しなければならず、お互いにいい気持ちではありませんでしたね^^;

 

まずは前年度もらった引継書を参考にする

効率よく引継書を作成するには、前任者からもらった引継書を参考にするのが手っ取り早いです。

 

この際、その引継書の電子データがあれば、さらに効率的に引継書が作成できます。

 

ただし、しっかりとした引継書をもらうことができなかった場合は一から作成したほうがいいでしょう。

 

自分のときの前任者がへっぽこ引継書を渡してきたからといって、自分が後任者にへっぽこ引継書を渡すマネは止めましょう。

 

引継書の出来次第で評価や信頼度が大きく変わってきますので

 

伯爵さん
私は3回引継書を作成しましたが、全て一から引継書を作成し直しました

 

引き継ぎ前に上司・係長にチェックを受けておく

引継書が完成したら、そのまま引継ぎしてしまうのではなく、事前に上司や係長に「こんな感じで引き継ぎします」と引継書を確認してもらいましょう

 

伯爵さん
時間的余裕がないなかで、係長まで確認が終わっている引継書ができればかなり優秀です

 

引継ぎの際は上司や係長にも同席してもらう

説明漏れ等をなくすためにも、初めての引継ぎには上司や係長に必ず同席してもらうようにしましょう。

 

このほうが後任者も安心できますし、係内で意思疎通がしやすくなります

 

伯爵さん
特に、初めての異動となる若手職員は、あらかじめ上司や係長に同席をお願いしておきましょう

 

引継ぎを受けるときの注意点

引継ぎは半日程度かけて行いますが、その日で全てを引き継ぐことは時間的に無理です。

 

そのため、特に知っておかなくてはいけない下記のことは、必ず前任者に質問するようにしましょう。

 

  • 懸念事項
  • 4月初旬の事務処理
  • クレーマー関係

 

伯爵さん
特に、異動直後の4月第一週の事務処理事項については、十分打ち合わせをしておきましょう。でないと異動当日からドタバタします

 

あと、よく忘れがちなのが「名刺」です。

 

自分が今の職場で作っていかなくてはいけないのか、異動先の職場で準備してくれるのか、よく前任者と調整してください。

 

この調整がうまくいってないと、新しい職場での異動のあいさつまわりの際に、名刺ができていない悲惨な状態になります。(私も一回やらかしました(T_T))

 

引継書の作り方

それでは引継書の作り方をご紹介します。

 

業務内容で引継書の型も変わってくると思いますので、ここで紹介する引継書の作り方は一例としてください。

 

まず、引継書の基本的な型、必要な項目は以下のものとなります。

  1. 本年度実績
  2. 次年度事業計画
  3. 年間スケジュール
  4. 各業務マニュアル
  5. 関係部署・担当者
  6. パスワード関係

 

これらのことをなるべく端的にまとめ、最終的にフラットファイルなどにファイリングして渡します。

 

この際、必ず相手用と自分用の2部引継書を作成しておきましょう。

 

後任者から電話がかかってきた際に、「引継書の何ページのここがよく分からない」と問い合わせを受けることもあります。

 

それでは各項目の書き方について、それぞれ解説していきます。

 

決裁用の鑑を一番上に作成します。

 

この書き方については、各自治体の文書の手引などで書き方が決まっているので、そのとおり書いてください。

 

本年度実績

本年度の実績をエクセルなどの表で作成すると良いでしょう。

 

前年度比などもあわせて書いておくとGoodです。

 

【本年度実績の例】

市町村名施設名台数(前年度比)補助金額(前年度比)
○○市○○○○(○○%)○○○(○○%)
○○市○○○○(○○%)○○○(○○%)
〇〇市○○○○(○○%)○○○(○○%)
合計○(○○%)○○○(○○%)

 

次年度事業計画

すでに決まっている次年度の事業計画もエクセルなどの表で作成して引継書に掲載すると良いです。

 

伯爵さん
予算書や事業資料などがあれば、一緒にファイリングしましょう。非常に参考になります

 

年間スケジュール

4月から3月までの月単位でのスケジュールをできるだけ細かくまとめておきます。

 

「○月には〇〇という事務があり、締切はいつ頃まで」というような内容を表にして記載しておくと分かりやすいです。

 

【年間スケジュール例】

事務内容事務手続き番号(業務マニュアルページ)
4月〇〇任用式(開催日○日)(事務処理は完了済み)1(3ページ)
〇〇使用料の納入(締め切り4月○日)2(4ページ)
〇〇の数量等の調査(締め切り5月○日)3(5ページ)
5月担当者会議(5月○日)4(6ページ)

 

業務マニュアル

年間スケジュールに沿って、時系列・事業ごと・事務ごとに業務マニュアルをまとめます。

 

  • 事務の具体的な流れ
  • 事務のポイント(注意事項、懸念事項)
  • 文書ファイル・電子データの保存場所

などを書いておきましょう。

 

例えば、

【事務手続き番号1 〇〇任用式】

○月○日14時に開催。

〇〇任用式と並行して行われますので、当日の流れについては〇〇係と調整してください。

14時より任用式を〇〇号室会議室で、任用式終了が終わりしだい〇〇号室会議室にて打合せ会議を行ってください。

任用予定者には通知済みです。

任用式の準備はしておきます。

いずれの任用者もベテランの方なので、業務については十分理解していますので、打合せというよりは顔合わせ程度と考えてもらえばいいです。

任用が終わりましたら〇〇部長へ任用報告を行ってください。

 

▽参考ファイル名:令和○年度〇〇事業 (〇〇格納庫○棚)

▽電子データ:\〇〇係\〇〇\R○業務

▽本庁担当部署:〇〇課〇〇主査

 

関係部署・担当者

関係部署や担当者も電話番号やメールアドレスとともに忘れずに引継書に書いておきましょう。

 

  • 本庁
  • 出先機関
  • 市町村
  • 会社
  • NPO

など

 

伯爵さん
名刺ファイルの原本は後任者に渡しますが、一応自分用にコピーを取っておくと何かあったときに便利です

 

パスワード関係

これも忘れがちですが、様々なログイン用パスワードなどをまとめて記載しておきましょう。

 

伯爵さん
パスワードの扱いには十分注意しましょう。機密書類とか㊙と併記しておくといいです

 

まとめ

カレンダーのテキスト

異動が決まったら、とにかく引継書作成を早めに開始しましょう

 

日頃から業務マニュアルを作成しておいたり、異動対象となりそうな年はあらかじめ引継書を作成しておくと非常に楽になります。

 

段取りよく進めないと、残業の嵐や土日出勤でてんてこ舞いになります、しかもそこに引っ越しの準備や残務整理まで押し寄せてきて、、、。

 

くれぐれも早めに準備に取り掛かりましょう。

 

伯爵さん
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます☆
【関連記事】