今回の記事では、公務員の文書・資料作成に即役立つ参考書の中から、県職員を9年勤めた私が特に良いと思った本を3冊ご紹介します。
この記事は、
- 文書作成が苦手な若手公務員
- 文書作成のノウハウを知りたい公務員
- 様々な文書・資料の例文(雛形)を探している公務員
- 資料などのデザインで悩んでいる公務員
- 業務効率をあげて仕事をさくっと片付けたい公務員
に役立つ記事となっています。
【この記事を書いた人↓】
文書・資料作成は公務員の重要スキル
様々な仕事をしている公務員ですが、その中心は「文書・資料作成」です。
文書・資料といっても、
- 通知文
- 説明文
- 企画書
- 会議資料
- 議事録
- 司会進行表
- SNS
- 県民からの問い合わせに対する回答文
- 決裁文書
- プレスリリース
- 広報紙
- パンフレット
- ホームページ
など非常に多岐にわたります。
どの文書においても、その自治体の代表者として責任を持って書く必要があり、集中力や文書作成の知識が求められます。
また、公文書となると、書き方の細かいルールが決まっていてそれを全て覚えなくてはいけません。
新人のころは、上司から徹底的に指導されます。
数年も仕事をしていれば文書作成に慣れてきますが、わかりやすさを追求すると手が止まってしまう人が多いようです。
前例踏襲主義で前年のものとほとんど同じ内容で文書を作成する職員も多いのは事実ですが、少しでも良い文章に改善していく努力が求められます。
また、パソコンの前でもくもくと文書を作成しているイメージが強い公務員ですが、デザイン術が求められる場合もあります。
例えば、何かイベントを実施するときは、
- イベント開催の通知文
- プレスリリース
- イベントのチラシ、ポスター
- 広報誌に掲載したり
- 当日の案内板
- 企画書づくり
などが必要となり、予算がないときは職員自らが自力で作成しなくてはいけません。
しかし、日常業務で忙しく、デザインまでなかなかこだわれない人が多いのが実情です。
そこで、業務に即役立つ公務員専用の
「文書作成のノウハウ本」
「参考にできる例文がたくさん書かれた本」
「デザイン本」
を探していたところ、今回ご紹介する3冊の本に出会いましたので紹介していきます。
- 「悩まず書ける!伝わる!公務員のSNS・文章術」(著者 小田 順子)
- 「そのまま使える!公務員の文書・資料サンプルBOOK」(著者 秋田 将人)
- 「すぐに使える!公務員のデザイン大全」(著者 佐久間 智之)
【公務員専用】文章作成の参考書
まずおすすめする本は、元区役所職員で広報コンサルタント、新潟県柏崎市の広報戦略アドバイザーの経験をもつ方が書かれた以下の本です。
「悩まず書ける!伝わる!公務員のSNS・文章術」(著者 小田 順子)
この本では、
- 「クレーム・問い合わせへの回答文」の書き方
- 「手続きの説明文」の書き方
- 「参加者・意見や委員募集文」の書き方
- 「SNS投稿文」の書き方(ツイッターなど)
- 恥をかかないための日本語のルール
が網羅されています。
タイトルにSNSと大きく出ていたので、SNSに特化した本かなと思いましたが、SNSは一部のみでしたので注意してください。
この本では文書作成の際のかなり実践的なテクニックや具体的な事例が多数掲載されています。
ここで私がこれは役立つな~と思った一部を紹介します。
本書ではこのキーワード毎に丁寧に解説されています。
【クレーム回答文】
- 相手が聞いていないことは書かない
- 〇〇様とお名前で呼びかける
- 相手の書いた言葉を使って書く
- 自分が悪くないことを主張しても逆効果
- 相手への感謝の気持ちを文章で表現する
- お役所用語は「上から目線」になりがち
【説明文】
- 3つ以上は箇条書きに
- 見出しを立てる
- 専門用語は置き換える
- 易しく書く
- 短く書く
【SNS】
- 1文を短く書く
- 記号や顔文字を活用
- お役所用語はNG
- 動画も短く
- 反感を買うNGワードは使わない
文章術の本はたくさん出版されていますが、公務員に特化した本はあまり見かけたことがありませんでした。
【公務員専用】文書・資料の例文集
次におすすめする本は、現役の公務員で管理職をなされている方が書かれた以下の本です。
「そのまま使える!公務員の文書・資料サンプルBOOK」(著者 秋田 将人)
この本では、
- 文書・資料作成の鉄則
- 例文集(職場向け、上司向け、庁内向け、住民向け、議会向け) 合計50文例
が書かれています。
実際の例文を掲載するとともに、その文書のポイントとなる部分について解説してあります。
ここで私が「これは担当になったときに役立つ」と思った、本に掲載されている例文のタイトルを紹介します。
- 係内事務分掌表
- 歓送迎会開催の周知文書
- 施設見学会参加者募集の周知文書
- 事業進捗状況の報告書
- 会議録
- 行政視察報告書
- 研修報告書
- 保育園事故の報告書
- 施設の課題と今後の対応方針
- 研修事業の効果分析
- 想定問答集
- 新規事業の提案
- 予算要求資料
- HP掲載・総合計画の概要
- HP掲載・職員不祥事の謝罪
- 新たな補助制度開始の周知文書
- 住民説明会・開催の周知文書
- 住民説明会・会議次第
- 住民説明会・資料
- 議会向け資料
- 議員から個別に求められた資料
「あ~それ見ておきたいな、参考にしてみたいな」という文書があったのではないでしょうか。
このほかにも様々な種類の例文が掲載されています。
この例文集にでている例文をそのまま利用してもいいですし、この例文を基にさらに自分でアレンジを加えてオリジナリティあふれる文書を作成していくのもいいでしょう。
新人の方には、この事案には、こんな風に文書を作成すればいいのかという勉強にもなります。
いざ文書が必要になった際にさっと書けるスキルが身につきます。
文章術の本はたくさん出版されていますが、公務員に特化した例文集ははじめて見かけました。
現職公務員管理職の著者が書いているからこそ、文書中で求められているポイントが分かるので、新人さんからベテラン職員まで読んだその日からすぐ実践で活用できます。
【公務員専用】デザインの参考書
最後に紹介する本は、現役の公務員で、広報・プロモーションを担当されている方が書かれた以下の本です。
「すぐに使える!公務員のデザイン大全」(著者 佐久間 智之)
この本では、「10のデザインルール(基礎知識)」と以下のタイプの「具体例」が本当に豊富に掲載されています。
- 通知書
- お知らせ
- チラシ
- ポスター
- SNS
- ホームページ
- 広報誌
- 企画書
- パワーポイント
各ページに「悪い例」と「良い例」が見比べられるようになっていて、本当に分かりやすいです。
全157ページに、悪い例良い例が50個以上掲載されています。
この具体例をみるだけで、気をつけなければいけないことがすぐに分かるようになっています。
そのため、チラシやポスターづくりなどが必要となったら、その都度この本をちょっと見返してから作成することで出来栄えはだいぶ変わってくるでしょう。
ぶっちゃけ、私が作成してきたデザインはほとんど悪い例に分類されていました。^^;
デザインの本はたくさん出版されていますが、現役の公務員が書かれた公務員用のデザイン本はほぼありません。
現役の公務員が書いているからこそ、参考になるポイントが多いですし、読んだその日からすぐ実践で活用できます。
参考までに、2種類の具体例を挙げておきます。
(本書購入すると4種類のテンプレートがword形式でダウンロードできるようになります。)
どちらもあきらかに見やすいですよね。
文字の量、色の使い方、デザイン、本当に参考になります。
本書ではこういった具体例が多数掲載されています。
まとめ
ここまで公務員専用の文章・資料作成に関する参考書を3冊紹介しました。
文章作成力や資料作成力を向上させるには、
- 文章術のコツを知ること
- たくさんの優良事例(例文)を見ること
が大切です。
今回おすすめした本のなかには、具体的な事例が多数登場します。
悪い回答例、良い回答例が見比べられるようになっているので、理解度も向上します。
日々、多忙を極める業務の中で、文章の一語一句に気を回していられない気持ちもよく分かります。
ですが、あなたが出す文章・資料は自治体を代表して書くものです。
その通知文ひとつで住民からの公務員や行政をみる目が変わってくると思います。
たかが文章、されど文章。
スキルアップの一環として、文章術などを高めることも公務員としての責務だと思います。
ぜひ楽しみながら文書作成・資料作成をマスターしてみてください。
最後に、今回のおすすめした本の著者の言葉を引用して終わりにしたいと思います。
あなたの書いた文章は、次のように言われたことはありませんか。
「わかりにくい」「お役所っぽい」「読む気がしない」
このような文章は、問い合わせやクレーム対応などの無駄な仕事を増やします。さらに結局、きちんと手続きしてもらえなかったり、参加してもらえなかったりと効果も期待できません。そんなことにならないよう、本書では、「効率的&効果的な文章の書き方」をお伝えします。