公務員はクビになる?懲戒免職・処分の事例と試用期間・採用予定者の注意点を解説

公務員はその身分の安定性が魅力とされる一方で、法令や規律に違反した場合には厳正な処分が下されます。

特に悪質なケースでは「懲戒処分」として処分内容が公表され、場合によっては氏名までも明かされることがあります。

本記事では、公務員が懲戒処分を受けるケースや実際の処分事例、そして採用予定者や試用期間中の注意点について、元県職員(9年)が詳しく解説します。

将来、公務員を目指す方やすでに内定を得ている方は、ぜひ参考にしてください。

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公務員の懲戒処分とは?

公務員には、法律に基づいて定められた「懲戒処分」の制度があります。

これは、職務上の非行や法令違反などに対して、公務員としての信用や秩序を守るために行われる処分です。

公務員の懲戒処分には以下の4種類があります。

(「人事院HP服務・懲戒制度」より)

後の方ほど重い処分となります。

  1. 戒告:軽い処分で、その責任を確認し、将来を戒める
  2. 減給:1年以下の期間、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から差し引かれる
  3. 停職:1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与も支給されない
  4. 免職(懲戒免職):職を失う処分、いわゆるクビ

このほか軽微な処分(内規に定められている)として、

  • 訓告
  • 厳重注意
  • 口頭注意

などがあります。

懲戒処分と分限処分の違い

懲戒処分とは別に、「分限処分」という制度もあります。

懲罰的な懲戒処分とは違い、公務の効率性を保つことを目的に行われる処分です。例えば、心身故障のため病気休職が続いている職員で、病状は回復せず、職務の遂行に支障がある場合は分限処分が行われ、職員の意に反して免職となる場合があります。※公務員の休職期間の限度は3年が目安。国家公務員は休職期間が3年を経過する際に、指定する医師2名が治癒し難い心身の故障と診断した場合は降格または免職となる。

公務員の懲戒処分の事例

実際に発生した公務員の懲戒処分の事例をいくつか紹介します。

これらは人事院や都道府県、市町村などが公表しているものです

(※「人事院懲戒処分の事由別処分事例」、「北海道庁の過去3年の懲戒処分一覧」、「東京都総務局職員の懲戒処分等について」などより抜粋)

【免職(クビ)】

  • 病気休暇の不正取得(約138日間)
  • 飲酒運転(内容によっては停職)
  • 強盗未遂(コンビニ強盗未遂)
  • 強制わいせつ
  • 窃盗(備品のデジタルを売却)
伯爵さん
飲酒運転は基本アウト、即クビです。絶対やっちゃ駄目!

【停職】

  • 正答な理由のない欠勤(31日3時間15分) 停職6月
  • 窃盗(書籍万引) 停職5月
  • 痴漢 停職4月
  • 児童ポルノ 停職1月
  • 18歳未満の少女といかがわしい行為 停職6月
  • 盗撮(トイレにビデオ設置) 停職4月
  • 盗撮(スマホでスカートの下から) 停職1月
  • わいせつな行為 停職3月
  • チケットの転売(約4,700万円の売上) 停職3月
  • 窃盗(衣料品8万円相当) 停職
  • 酒気帯び運転の車に同乗 停職

【減給】

  • 正答な理由のない欠勤(13日) 減給3月
  • 暴行(部下の態度に立腹、暴行) 減給2月
  • アパートを賃貸(営利企業従事許可を得ず) 減給1月
  • セクハラ(卑猥なメールを繰り返し送信) 減給6月
  • セクハラ(女性にメール) 減給1/5・1月
  • 無断謝礼(知人の経営する会社を手伝った謝礼を受取る) 減給3月
  • 速度違反の報告を怠る(30km/h以上の速度超過) 減給1月
  • 速度違反など(37km/h超過) 減給1月
伯爵さん
速度違反も要注意です。高速道路で110キロで走っていて捕まったら30キロオーバーで減給です

【戒告】

  • パワハラ(自尊心を傷つける言動)
  • 職場内暴力行為(部下に暴言を吐き、足を蹴る)
  • 通勤手当の不正受給(バス通勤で通勤届を申請していたが実際は自家用車通勤)
  • 正答な理由のない欠勤(1日)
  • 交通事故(公務中、信号無視対面衝突)
  • 交通事故(自損事故、公用車の一部損傷)
  • アルバイト(有料山岳ガイド、関連雑誌の連載)
  • スピード違反(50km/h超過)

懲戒処分の重さは、非違行為の内容だけでなく、その動機や悪質性、継続性、社会的影響、本人の反省の態度などを総合的に判断して決められます。

伯爵さん
事例に挙げた中には「それ免職にしたほうがいいんじゃないの?」あるいは「それも懲戒処分の対象なの?」など色々な意見が出そうで、処分の内容を決定する側も難しそうだなとも感じました

懲戒処分の基準と判断要素

懲戒処分を行う際には、国家公務員の場合は人事院が示す「懲戒処分の指針」に基づいて判断されます。

地方公務員の場合も、それぞれの自治体が指針や内規を設けています。

処分の判断には、以下のような要素が考慮されます:

  • 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
  • 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
  • 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
  • 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
  • 過去に非違行為を行っているか

等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。

(引用:人事院「懲戒処分の指針について」

となっています。

伯爵さん
「普段の行いや反省の様子」なども総合的にみて判断とのことで、情状酌量の余地もありそうな指針ですね

懲戒処分の公表と影響

懲戒処分が行われた場合、その内容は基本的に「公表」されます。

【公表内容】

  • 発生年月日
  • 職層
  • 所属局名
  • 年齢及び性別
  • 事件概要
  • 処分内容
  • 処分年月日
伯爵さん
個人が識別されないことを基本としています

通常は匿名での公表ですが、免職を行った場合、又は争議行為等、社会に及ぼす影響が大きい事案は、「氏名まで公表」されることもあります

(※東京都総務部人事部「懲戒処分の指針」より)

また、懲戒処分を受けると人事記録(人事カード)に残り、昇進・昇給に不利に働くことがあります。

たとえクビにならなくても、キャリアに大きな影響を及ぼすため注意が必要です。

試用期間中や採用予定者も油断は禁物

公務員になる前の段階、すなわち「採用予定者」や「試用期間中(条件付採用期間)」であっても、公務員としての倫理や行動が厳しく問われます。

特に多いのが、「道路交通法違反」による懲戒処分です。

その中でも「速度超過」が危ないです。

実際の速度超過で懲戒処分になった事例を参考までに挙げておきます。

  • 函館市:39km/h超過→減給1/10
  • 松本市:36km/h超過→戒告
  • 滝沢市:30km/h以上50km/h未満→戒告
  • 富山県:51km/h超過→戒告
  • さいたま市:40km/h超過→戒告
  • さいたま市:32km/h超過→戒告
  • 東京都:30km/h超過→戒告
  • 国家公務員:50km/h超過→戒告

これらは、現行犯だけでなく、オービスによる自動取り締まりでも対象になります。

「高速道路」や「40km規制の道路」では気をつけて運転していないと、簡単に30kmの速度超過になってしまいます。

警察の厄介になった場合は、上司に報告する義務があり、そこから人事課まで伝わります。

面倒くさい「始末書」も書かなくてはいけません。

そして、懲戒処分対象になると「人事カード」に記録され、退職までその記録が残り、出世に悪影響を及ぼします

新規採用者は4月から半年間は「試用期間(条件附採用期間)」扱いとなり、その間は公用車や自家用車での通勤を認めていない自治体があります

その間に仮に警察の厄介になってしまうと非常にまずいです。

同様に受験生や合格した採用予定者も十分注意してください。

まとめ:公務員を目指すなら、日常から慎重な行動を

懲戒処分は公務員にとって決して他人事ではありません。

実際に様々なケースで処分が行われており、その多くが「ちょっとした油断」「軽い気持ち」で起こした行動によるものです。

受験生や採用予定者、そして試用期間中の新規職員にとっては、採用の可否や正式採用に直結する重要な問題です。

将来のキャリアを守るためにも、日常生活から公務員としての自覚を持った行動を心がけましょう。

伯爵さん
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます☆

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