本記事では、非常勤職員(国家公務員)の仕事内容や待遇などを元公務員&元非常勤職員が自身の経験をもとに紹介します。
主に、
- 公務員の非常勤職員に興味がある人
- 公務員浪人でどの仕事をしながら勉強しようか迷っている人
に参考になる記事となっています。
なお、ここで紹介するのは国家公務員の非常勤職員の情報となりますのでご注意ください。
この記事は元県職員&元学校事務職員&元非常勤職員の伯爵が執筆しています
- 身分は公務員なので、懲戒処分や守秘義務などに注意。
- 給料は15~20万円程度
- ボーナス、通勤手当、年次休暇(10日)、夏季休暇、育児休暇、病気休暇あり
- 副業はOK!
- 任期は1年、更新は3年まで
- 正規雇用の公務員になるには採用試験に合格しないとダメ
国家公務員の非常勤職員とは?
それではまずは非常勤職員の基本について、いろいろと紹介していきます。
(以下の情報は「人事院 国家公務員の非常勤職員の制度等について」「人事院採用情報NAVI 期間業務職員制度の概要」「私の経験」を参考にしています。)
非常勤職員の定義
まず第一に、非常勤職員は「非正規雇用」です。
常勤職員(正規雇用公務員)のように、定年退職までずっと公務員でいられるわけではありません。
非常勤職員のなかで、一会計年度内に限って臨時的に置かれる職員を期間業務職員と呼びます。
基本的に、期間業務職員は非常勤職員と同じだと思ってもらって構いません。
非常勤職員の身分
身分は常勤職員(正規雇用公務員)と変わりません。
つまり、公務員倫理を守る必要があります。
① 国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正な職務執行に当たること
② 職務や地位を私的利益のために用いないこと
③ 国民の疑惑や不信を招くような行為をしないこと
④ 公共の利益の増進を目指し、全力を挙げて職務に取り組むこと
⑤ 勤務時間外でも、公務の信用への影響を認識して行動すること
非常勤職員の仕事
非常勤職員の仕事は「行政事務補助」が多いようです。
私の職場では、私を含め非常勤職員が5人いましたが、全員事務補助をしていました。
(仕事内容の詳細は後述します)
勤務時間
非常勤職員には2種類いて、それぞれで勤務時間が定められています。
- 期間業務職員 →1日に7時間45分を超えず、1週間当たり38時間45分を超えない範囲とされています。
- パートタイム職員 →1週間当たり38時間45分の4分の3を超えない範囲内で任意に設定されます。
期間業務職員の勤務時間は常勤職員と同じで、「8時30分から17時15分まで」となっています。
休憩時間は「12時から13時までの1時間」です。
給与
非常勤職員の給与は常勤職員より安いです。
これまでの職歴次第で月給や時給が異なりますが、だいたい月給15万~20万円あたりになります。
私は時給制でしたが、元県職員だったことが考慮され、マックス時給の1210円で勤務していました。
休暇
はっきりいって、非常勤職員の待遇は常勤職員と比べると悪いです。
以下、非常勤職員が取得できる主な休暇です。
- 【年次休暇】採用から半年経過後に10日間付与、つまりそれまでは休暇はなし。20日を限度として1年間繰り越すことが可能。
- 【夏季休暇】連続した3日間取得できます。
- 【忌引休暇】亡くなられた方との関係性で休暇日数が異なります。
- 【育児休暇】在職期間1年以上等の要件を満たしていれば、子が1歳に達するまで休業が可能です。
- 【病気休暇】無給ですが10日間取得できます。ちなみに常勤職員は有給で90日間取得できます。
手当
- 【ボーナス】常勤職員と同様に、期末手当と勤勉手当が支給されます。
- 【残業代】常勤職員と同様に支給されます。(基本非常勤職員は残業しません)
- 【退職手当】条件はありますが、支給されます。
- 【通勤手当】支給されます。
- 【住居手当】支給なし。
- 【寒冷地手当】支給なし。
雇用保険
非常勤職員は全員雇用保険に加入します。
そのため、退職後は失業手当が受給できます。
共済組合
非常勤職員も要件※はありますが、共済組合に加入できます。
※要件
- 週20時間以上勤務
- 月額賃金8.8万円以上など
共済組合に入ると、共済組合の医療保険に入れたり、福祉事業(健康診査など)を受けられるメリットがあります。
非常勤職員の具体的な仕事内容(経験談)
ここでは、私が実際勤務した国土交通省の現地機関での具体的な非常勤職員の仕事内容をご紹介します。
- お茶出し
- データ入出力
- 文書作成
- 資料作成
- 電話応対
- 来客対応
- 消耗品管理・発注
- HP更新作業
- ゴミ捨て
- 公用車管理
- 勤務時間管理
- 郵便物の処理・発送
- 弁当注文・配膳
- 会議の準備
- 健康相談対応
- メールのやりとり
- コピー機の用紙補充
- 請求書処理
- 背表紙作成
- 名刺作成
- ストーブ灯油給油
- 蛍光灯交換
- 消毒液補充
- ポスター掲示
その他雑務をしていました。
基本的に、常勤職員の事務の補助が仕事です。
常勤職員がわざわざ自らやらなくてもいい仕事が非常勤職員におりてきます。
非常勤職員がした仕事は、基本的に常勤職員が再チェックする形となっていたので、安心して仕事ができていました。
仕事の質と量ですが、私が元県職員で行政事務に慣れていたということもありますが、本当に楽ちんな仕事でした。
勤務して数週間は覚えることがあったので、ちょっとバタバタしましたが、その後はストレスなく日々業務を行っていました。
ちなみに、wordやExcelなどPCスキルの基本知識がないと仕事になりません。
あと、2週間に1日だけ在宅勤務の日もありました。
非常勤職員は副業OK!
非常勤職員は常勤職員と違い、副業(兼業)が認められています。
(常勤職員は国家公務員法第104条で副業が禁止されています)
非常勤職員(国家公務員法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)及び臨時的職員については、同法第百四条の規定は、適用しない。
(引用:e-Gov法令検索 職員の兼業の許可に関する法令)
このため、掛け持ちでアルバイトをしてもいいですし、ブログやYoutubeやせどりやライターや不動産投資などでバリバリ稼いでOKです。
非常勤職員の任期と更新
非常勤職員は基本的に一会計年度内での任期となっています。
つまり、4月1日に採用となり来年の3月31日までが任期となります。
その後、その職場で非常勤職員を続けたい場合、希望を出し認められれば、面接等なしで来年度もそのまま採用(更新)となります。
ただし、更新は3年までで、それ以降も同じ職場で働きたい場合は、再度公募に応募して面接を受ける必要があります。
また、民間企業では「無期転換ルール」があり、企業との間で有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者から希望があれば無期契約に変わります。
しかし、非常勤職員として働く公務員には、これには該当しないので注意してください。
非常勤職員から常勤職員(正規雇用公務員)への登用はない
よく「長いこと非常勤職員をしていれば、常勤職員に登用されますか?」と聞かれますが、答えは「無理」(可能性ゼロ)です。
常勤の国家公務員になるには、どうしても国家公務員採用試験(筆記試験、面接試験、官庁訪問など)に合格する必要があります。
また、非常勤職員をしていたからといって、採用試験で有利に扱われることはないです。
ただし、非常勤職員をやりながら公務員を目指すのはすごくアリだと思います。
なぜかというと、公務員の仕事内容が把握できて、志望動機や自己PRを考える際に役立つから。
「こういう業務で私のこういうスキルが役立てます」と面接でアピールできれば、評価もよくなります。
非常勤職員になるには?
原則として公募で採用されます。
(人事院採用情報NAVI、ハローワーク、民間のネット求人などに募集情報が掲載されます。)
基本、「書類審査」と「面接1回」で、採用が決まります。
筆記試験はないので、ご安心ください。(府省によってはあるかも、、、)
ただし、
・官職に必要とされる知識・経験、技能等の内容から公募により難い場合は、公募による必要がない
・面接及び前年度の勤務実績に基づき、能力の実証を行うことができると明らかに認められる場合は、公募による必要がない
・公募によらない採用は、平等取扱の原則及び成績主義の原則を踏まえ、同一の者について連続2回を限度とするよう努める(引用:e-Gov法令検索「人事院規則8-12第46条」)
となっていて、公募によらない場合もあります。
さらに、障害者の方に朗報ですが、障害者枠での非常勤職員の募集もあります。
まとめ
ここまで、国家公務員の非常勤職員の紹介をしてきました。
基本的に、地方公務員の非常勤職員もほぼ同様と考えてもらって構いません。
私の県職員時代もたくさんの非常勤職員の方と一緒に働いていましたが、仕事の内容的には国と大きく変わらないです。
(国の非常勤職員よりも県の非常勤職員のほうがもう少し専門的な仕事を任されていました)
結論、仕事を探されている方、公務員試験を受験予定の方には、非常勤職員はおすすめだと思います。
人間関係の良し悪しは入ってみないことには分かりませんが、仕事内容自体は簡単な事務補助なので、ストレスなく働けると思います。
ただし、非常勤職員は人気があるので、応募が殺到し、倍率はかなり高めになるので、そのつもりで面接に挑んでください。
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