2019年に老後2000万円問題が話題となりました。
公務員はなんとなく退職金や年金が多く、老後も安泰と思っている人も多いかもしれません。
今回の記事では、人事院が公表している「退職公務員生活状況調査令和2年度」を用いて、公務員の退職後の生活実態をご紹介します。
(データは一般職国家公務員の60歳定年退職者のうち4688人を対象としています)
- 公務員の退職後の収支はどんな感じ?
- 支出の内訳はどんな感じ?
- ゆとりある生活はできる?
このようなことが分かる記事となっています。
記事の信頼性:この記事は元県庁職員(約9年間勤務)が書いています。
公務員は定年退職後も働き続けないと生活費が赤字に!?
それでは、公務員の退職後の生活の実態をご紹介していきます。
家計状況アンケート結果
退職後の生活費の状況ですが、まずは「家計の状況に関するアンケート結果」をご覧ください。
(就労者は定年後に別の職について働いている元公務員)
家計の状況 | 就労者 | 非就労者 |
---|---|---|
十分ゆとりがある | 3.2% | 8.7% |
いくらかゆとりがある | 14.3% | 12.3% |
ゆとりはないが、赤字でもない | 40.3% | 35.2% |
毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る | 23.5% | 15.5% |
どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい | 16.7% | 27.6% |
不明 | 2.1% | 0.8% |
(出典:退職公務員生活状況調査令和2年度)
「ゆとりがある」と答えた退職公務員は約2割でした。
ゆとりある安定した生活を送っているのは、ほんの一部の元公務員だということが分かります。
生活費の状況(収入・支出)
続いて、収入・支出の平均額をご覧ください。
就労者の世帯 | 非就労者の世帯 | ||
---|---|---|---|
平均収入月額 | 平均支出月額 | 平均収入月額 | 平均支出月額 |
38.8万円 | 38.0万円 | 22.9万円 | 34.2万円 |
(出典:退職公務員生活状況調査令和2年度)
定年退職後も働きつづけている世帯でようやく収入が支出をギリギリ超えています。
しかし、定年後働いていない世帯では約11万円の赤字家計となっています。
なぜこれほどまでに赤字となってしまうのか、それは、年金の満額支給は65歳だからです。
そのため、年金が満額入りだす65歳までは
- 定年後も働き続ける
- 退職金や貯金を切り崩す
どちらかを選択しなければなりません。
このことを知らずに、働きもせず退職金もどーんと一気に使い果たすと、、、考えただけで恐ろしいです。
支出内訳
ちなみに、退職後働いていない元公務員世帯の支出内訳(34.2万円)は以下のとおりとなっています。
支出項目 | 金額(万円) |
---|---|
食料 | 6.7 |
住居(家賃・ローン返済) | 3.3 |
光熱・水道 | 2.4 |
日用雑貨等 | 1.8 |
保健医療 | 2.0 |
交通・通信 | 2.1 |
子供の教育 | 2.3 |
教養娯楽 | 1.8 |
税金(所得税・住民税など) | 4.7 |
社会保険料 | 4.1 |
その他 | 3.0 |
(出典:退職公務員生活状況調査令和2年度)
個人的にはちょっと食費が高いように感じます。
退職後はこれまでのように安定収入がなくなるので、生活費の見直しをすることが必要になりそうです。
極論、これまでの生活を維持し続けたいなら、働き続けるしかありません。
しかし、これまでに資産運用をしっかりとしてきて、貯金に余裕がある勝ち組退職公務員は、年金がなくても以下のようなゆとりのある暮らしを始めていることでしょう。
- 家を買い
- 車を買い
- 海外旅行に行き
- 好きなものを買い
- 好きなものを食べる
- そしてお金を気にせず趣味に没頭など
ちなみに、公務員の退職金は平均で2000万円程度となっています。
- 国家公務員(行政職・定年退職)21,227,000円
- 地方公務員(行政職・定年退職)22,078,000円
【参考記事】
【退職金】公務員なら老後2000万円問題は大丈夫!(定年退職・自己都合別退職金を紹介)
【参考】定年退職前にもっと知っておけば良かったと思うこと
参考ですが、元公務員が退職前に知っておけば良かったと後悔していることは以下のとおりです。(複数回答)
項目 | 割合(%) |
---|---|
年金・保険に関する情報 | 54.2 |
資産運用に関する情報 | 35.0 |
税金・相続に関する情報 | 29.7 |
定年退職後の生活の心構え | 23.6 |
再任用制度や再就職等の仕事に関する情報 | 22.5 |
介護等の情報 | 15.4 |
健康管理の情報 | 14.8 |
余暇活動についての情報、ボランティア等の社会参加の方法 | 8.6 |
その他 | 2.6 |
特にない | 19.7 |
(出典:退職公務員生活状況調査令和2年度)
ゆとりある老後のためには資産運用が必要不可欠
公務員の退職後はゆとりがないことが分かりました。
年金が満額支給される65歳以上になれば、収支は落ち着いてきます。
しかし、それまでは働くor貯金を食いつぶすしかありません。
老後、ゆとりある生活を送りたいと思う公務員は、現役中に早めに資産運用を開始することをおすすめします。
公務員は兼業などは許可制となっていますが、資産運用については積極的に取り組むよう国から奨励されています。
資産運用についてはイデコ(個人型確定拠出年金)など様々なタイプのものがありますので、自分に合ったものをお金の勉強をしながら見つけてみてください。
【参考記事】公務員が確定拠出年金iDeCo(イデコ)に加入するメリット5選!元県庁職員FPが解説