2019年に金融庁の報告書に端を発した老後2000万円問題で、老後の蓄えが心配になった方は多いと思います。
そこで、再び脚光を浴びているのが「個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)」です。
豊かな老後を過ごすためにも今から備えを始めるよう政府も推奨しています。
そんな個人型確定拠出年金(以下、iDeCo・イデコ)ですが、今回は、初心者に注意してほしい点や私から見たデメリットをご紹介します。
周りの人達が始めたからと言って、流されて加入するとあとで痛い目に合うかも知れません。
十分制度を理解してから加入するようにしましょう。
イデコとは?
【iDeCo普及推進キャラクター 「イデコちゃん」】
注意点やデメリットを解説する前に、まずはイデコやそのメリットについて、サクッとご紹介します。
イデコとは?
iDeCoは、自分で決めた額を積み立てながら、その掛金を自分で運用していくことで、将来に向けた資産形成を進めていける年金制度です。原則、年金資産は60歳から受け取ることができます。
2021年9月時点でのイデコの加入者は、約217万人となっています。
(※運営管理機関連絡協議会作成の確定拠出年金の統計資料。iDeCo公式サイトより)
イデコの魅力~税制優遇~
iDeCoの魅力の一つとして以下の3つの税制優遇があります。
- 住民税や所得税が安くなる(掛け金が全額所得控除)
- 運用益(増えたお金)は非課税(株式投資だと約20%の税がかかります)
- 60歳以降に受け取るときも大きな控除(年金タイプは公的年金等控除、一時金タイプは退職所得控除など)
軽減額の目安は、以下のとおりです。
掛金が仮に毎月1万円で、所得税(20%)・住民税(10%)とすると、年間36000円、税が軽減されます。
また、サラリーマン、公務員、専業主婦、自営業者、学生と様々な人が加入できます。
そして掛け金は、毎月5000円(額は自分で設定可能)から始めることができ、その掛け金の安さもメリットの一つです。
イデコの注意点・デメリット(9個)
ここからはイデコの注意点・デメリットをご紹介します。
ここで紹介することをよく理解してからイデコ加入や商品選びをしましょう。
デメリット1:損失を生じる恐れがある(元本割れ)
iDeCoには、「元本確保型」の商品もありますが、投資信託等の商品を選んだ場合は元本割れする可能性があります。
(※元本とは元手となるお金のことです、つまり掛けた額。)
例えば、毎月の掛け金が1万円で投資信託型の商品を選択している場合、掛けたお金は投資先の株価に応じて日々変動していきます。
当然、上がることもあれば下がることもありえます。
20歳から60歳まで毎月1万円ずつ掛けていたとすると、1万円×12ヶ月×40年で480万円になります。しかし、運用成績が悪く、毎月500円の損が40年間続いていたとすると、500円×12ヶ月×40年で24万円となり、受取時にはマイナスとってしまいます。これに手数料等がかかってきますので、さらに損失が拡大しますね。「老後のために始めたiDeCoだったのに、、、。」となる可能性があることは知っておいてください。
デメリット2:掛け金の変更は年1回だけ
掛金は、5000円以上1000円単位で自分で自由に設定できます。
もちろん、加入後にも変更は可能です。
ただし、変更は毎年1月から12月までに間で年1回のみで注意が必要です。
ちなみに、掛金の上限金額(月)は職業などで異なります。
- 自営業者や学生等(第1号被保険者) 68000円
- 企業年金がない会社員(第2号被保険者) 23000円
- 企業型確定拠出年金に加入している会社員 20000円
- 確定給付企業年金、厚生年金基金のみに加入している会社員 12000円
- 公務員等 12000円
- 専業主婦(夫)等(第3号被保険者) 23000円
デメリット3:加入できない、もしくは脱退になるケースがある
該当する人は多くありませんが、イデコに加入できない場合もあります。
- 農業者年金の被保険者
- 国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている人(障害基礎年金を受給されている人等は加入可能)
- 企業型確定拠出年金に加入している人(企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入可。)
- 60歳以上の人
デメリット4:途中で引き出すことができない
イデコは原則として60歳になるまでの間、運用資産を引き出すことは出来ません。(脱退一時金を除く)
ここがもっとも注意してほしい点です。
- 家を買う
- 車を買う
- 結婚式に使いたい
- 子供の学費
など大きな出費が必要になった場合でも原則は引き出せませんので要注意です!
iDeCo加入者等が一定以上の障害状態になった場合や加入者等が死亡した場合は、60歳前でも、障害給付金や死亡一時金を受給できます。
引用:iDeCo公式サイト
デメリット5:運用コストがかかる(手数料0円でも完全無料ではない)
iDeCoには、加入時、移換時、日々の口座管理などに様々な手数料がかかります。(ちょっとだけ複雑)
iDeCoは長期運用が基本ですので、毎月の手数料が例え少額でも何十年もすると相当の額になっていきます。
場合によっては、運用益がでていても、手数料を差し引くと損してしまう場合もないわけではありません。
基本的に以下の3つの手数料がかかります。
国民年金基金連合会の手数料
国民年金基金連合会はiDeCoの実施者です。
そこに事務費用を払う必要があります。
- 加入・移換時手数料(初回1回のみ):2829円
- 収入時手数料(掛け金の収納の都度):105円
- 還付手数料(その都度):1048円
運営管理機関(金融機関等)の手数料
口座管理をする金融機関等のサービスや手数料の内容等は、選ぶ金融機関等によって違いがあります。
また、事務委託先金融機関手数料(iDeCoの資産を管理する信託銀行の管理手数料)が別途かかります。
運用商品の手数料
運用商品によっては、投資信託の信託報酬等の手数料がかかる場合があります。
◎加入時・移換時の手数料 国民年金基金連合会2829円+SBI証券0円=2829円
◎口座管理手数料 国民年金基金連合会105円/収納1回+SBI証券0円+事務委託先金融機関66円=171円
【おすすめ】イデコ取扱金融機関(運営管理手数料無料)
デメリット6:開始手続きに時間がかかる
よし、早速iDeCoを始めようと思っても、今日申込みをして翌日できる、とはいきません。
申し込み手続きは2ヶ月ぐらいはかかります。
iDeCoの存在を知って、掛金を決めて、資産運用の基礎を勉強して、運用商品を選び、金融機関を選ぶ、そして申込みして2ヶ月、、、。
デメリット7:受け取り年齢に注意!60歳から受け取れない人もいる
iDeCoに加入していた期間等で年金資産受け取り可能年齢が変わります。
例えば、以下のようになっています。
- 加入期間10年以上 60歳から
- 加入期間6年以上8年未満 62歳から
- 加入期間2年以上4年未満 64歳から
なお、iDeCoの年金資産の受け取り方は以下の3種類があります。
- 定期的に受け取る(年金タイプ)
- 一括で受け取る(一時金タイプ)
- 年金タイプと一時金タイプを併用(できない金融機関等もあります)
デメリット8:金融機関、商品選びが難しい

デメリット9:転職や退職時などの移換手続き
企業型確定拠出年金に加入していた人が就職や退職などで加入者資格を喪失した場合に、iDeCoに加入するには6ヶ月以内に手続きが必要になります。
これを怠ると、「自動移換」が行われ、運用資産は国民年金基金連合会に移換されます。
そして、自動移換された場合は下記のデメリットがありますので注意しましょう。
- 資産の運用ができず資産が増えていかない。
- 管理手数料が取られる。
- 自動移換中の期間は老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されないので、受給開始年齢が遅くなる可能性がある。
まとめ
以上、イデコの様々な注意点・デメリットをご紹介しました。
これらを十分理解したうえで、自分のニーズに合わせた商品や配分を考えていきましょう。
自分の歳や家族構成などの環境で選ぶ商品は変わってくると思います。
- 若いうちは少しリスクを上げて高リターンを目指す
- 50代では極力ローリスク・ローリターンで運用していく
など色々と考えられます。
答えは人それぞれで違います、正解はありません。
ただ全ては自己責任なので、自分が納得し後悔しない商品を選ぶ、それが一番大事です。
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【参考文献・サイト】
【公務員】確定拠出年金イデコの金融機関の選び方&おすすめの金融機関を紹介
【公務員】確定拠出年金イデコ初心者が読んでおくべきおすすめの本!(入門書)